女魔王、出発ス
前回のあらすじ:面白いことを探そう
歩き出してから数時間、とりあえず私は日が沈む方向へ適当に進んでいる。
鬱蒼とした雑木林を突っ切っているせいで、ドレスが尖った枝や棘のある草に引っかかって破れたりしたが、何も問題ない。ドレスが勝手に再生するからだ。
このドレスに掛かっている魔法は、『自動修復』。着用者の魔力を吸収し、それを糧に自動で修復される。おまけに、汚れ等も同時に取れるらしい。
これを作った人間は、相当優秀なやつなんでしょうね。センスは無いけど。
私自身もドレスしか身に着けていないので、素足や顔、腕などに細かい怪我を負うが、再生するので大丈夫だ。問題ない。
それにしてもこの雑木林はどこまで続くのだろう?疲れは無いが、変わらない景色にいい加減飽きてきた。いっそのことここ一帯を焼き払おうか?
私が本気でブレスを使おうか迷い始めたとき、やっと視界が開けた。
4、5メートルほどの幅の道に出たのだ。馬車か何かの車輪の跡がある……間違いなく人間が作った道だろう。
やはり人間は生き残っていたらしい。
しかし困った。空が赤く染まっている……そろそろ日暮れか。別に真っ暗になろうが夜行性の魔物に襲われようが平気だが、人間が動き回るのは明るい間だけだ。要するに人間を見つけづらいのだ。
人間を見つけなければ、美味しい食べ物を奪……貰うこともできない。困った。
流石の私も空腹は辛い。しかたない、そこら辺の魔物を狩ってブレスで炙って食べようか。
食べれそうな物を探しながら道を歩くこと数十分、どうやら現れたようだ。左右の茂みから、風で草が揺れる音に混じり獣の気配を感じる。千年ぶりの食事だわ。
「久しぶりだし、ちょっと手加減しよっと」
歩みを止めて立ち止まり、呪いを自分に掛ける。
『身体能力低下』『鳥目』『再生力制限』……先程まで軽かった体が重くなり、鮮明だった視界が急激に暗くなる。これで少しは楽しめるかしら?
私が立ち止まったのを合図に、周りの茂みから唸り声をあげながら獣が這い出てきた。数は……前方に五匹、後方に三、四匹かな?
殆ど沈みかけた日の光は薄暗く、姿ははっきりと確認できないが、おそらく相手の実力も測れない獣型の魔物の小さな群れだろう。低い唸り声をあげながらゆっくりと近づいてくる。
にぃっと私の口元が歪むのが自分でも分かった。
「私を襲う度胸は褒めてあげる。ご褒美に一匹残らず消してあげる」
うふふ……久しぶりに遊べそうだ。
次回、千年ぶりの戦闘!デュエルスタンバイ!