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女魔王、運が良い

前回のあらすじ:初めてのおつかい。立体起動しながら。

 しまった。今の私は一文無しだった。

 うーん、すっかり忘れていた。どうしよう……そこら辺の人から盗むか脅すか奢ってもらうか……。

 通行の邪魔にならないように、道の端っこによって考える。


 あ!良く考えればあるじゃん。換金できそうなものが。

 私は、宝箱から持ってきた大きなゴミ・・の存在を思い出した。


 私はドレスの隠しポケットを探り、そこから拳程の大きさの赤く輝く大きな宝石を引っ張り出した。多分紅玉ルビーという宝石だったと思う。かなりの値打ちがあった筈だ。

 ふむ、これを換金できればお金が手に入るわね。


 私は酒場に後ろ髪を引かれながらも、換金できそうな場所を探すために大通りを進み始めた。

 左右に気を配りながら歩くが、それらしき場所は見当たらない。

 これだけ店があるならすぐ見つかると思ったんだけどなー。


 ……と、いうかさっきからすれ違う人や遠くの人からジロジロ見られてるんだけど何故?私の魅力のせいかしら?


 そんなこんなで宝石片手に不慣れな街を歩き続けた結果……。








 「おいおいそこのお嬢ちゃんよぉ、そんなに高価なもん見せびらかして歩いたら攫われるぜぇ?俺らがお家まで送ってやろうかぁ?」


 私はいつの間にか人通りの少ない路地に入っていて、ガラの悪い三人組……傭兵だかゴロツキだか分からない連中に絡まれた。

 あぁ、注目されてたのは宝石ごみのせいか。

 そりゃ目立つわよねぇ。美少女が一人で高価なもの持ってぶらついてたら。


 「そう怖がんなってお嬢ちゃ……」


 一人がニヤニヤしながら私の腕を鷲掴みにしやがった。汚い手で触んな。こっちは忙しいんだよ塵が。


 夜に大きな騒ぎを起こすと寝静まっている人に迷惑だろうと思い、早めに片付けることにした。

 腕を払うと同時に男に飛びつき、足で胴をホールド。おまけに両腕で口と後頭部をがっちりと掴んだ。


 「な、何しやッ……むごっ!?」


 「えいっ」


 腕に少し力を込め、掴んだままの頭を勢いよく回転させた。

 ゴキっと湿った音と何かが折れる衝撃が腕を伝って感じた。この音も好き。

 男の体が後ろ向きに崩れ落ち、私はそのまま足で着地した。


 男が倒れた瞬間、チャリンチャリン……と軽い金属音が響く。あ、硬貨だ。


 どうやら宝石を換金する必要はなくなったようだ。ラッキー。

 

 ギリギリ週末という宣言を守れました……。

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