女魔王、街へ侵入
遅くなりました……一週間に二話と言いながら、このざまです。本当に申し訳ない……。
前回のあらすじ:下着着けてない&ドレスで壁のぼり
「よっこらしょっ」
防壁のてっぺんに手を掛け、体を持ち上げる。
そのまま転がるように体を回転させると、ついに防壁の上部へ到達することができた。
服を叩いて埃を落とし、きょろきょろと周囲を窺う。誰もいないようだ。
よし、さっさと食材手に入れてトムに届けよう。
最優先目標はミルクとチーズで、具の肉と野菜はできるだけ多く。私のお腹が限界を迎える前にトムに届け、夕飯を作ってもらわねば。
防壁の内側の縁に立ち、考える。
時は既に夜、おそらく市場などでは手に入らないだろう……狙うは飲食店だ。
街の大通りは……あった。一番明るく、大きなあの通りだろう。
私は壁を思いっきり蹴り、夜の街に飛び込んだ。
大きな建物の屋根に身を竦ませて着地し、すぐに駆け出す。屋根から屋根へ飛び回り、大通りへ向かった。
やっぱり移動は屋根が良いよね。早いし邪魔なものが無いし。
時々、伸ばしたままの両手足の爪を使って壁を登ったりしながら移動を続け、ついに大通りに面する建物の屋根へとたどり着いた。
眼下には魔法灯やら篝火やらで照らされた大通りを歩く人や馬車が見える。
随分と賑わっているらしい。がやがやと響く声がうるさい。
とりあえず狭くて暗い裏路地に飛び降り、乱れた髪と服を整える。やはり人前では最低限身だしなみを整えるべきだと思ったからだ。
懐から赤い靴を引っ張り出し、足の裏の埃を叩き落としてから履いた。
「よし」
私は久しぶりの街歩きに少しわくわくしながら、裏路地から大通りに出た。
石畳を歩くたびに赤い靴がコツコツと音を立てる。この音好き。
中々綺麗な町並みを楽しみながら、食材が手に入りそうな場所を探す。
色んな看板が見えるが、残念ながら千年前とは違う文字らしく、私には読むことができなかった。なんか悔しいような寂しいような……そこまででもないような?
その時、視界に入った看板に酒らしき絵が描いてあるのを見つけた。
あ、もしかして酒場?酒場ならチーズとかあるわよね?
それに千年ぶりにちょっとワインとか飲みたい。入ってみよ……そこまで考えたとき、私は気付いた。
そういえば私……お金持ってないわ。
やっと投稿できました。一週間に一回すら更新できないとか。
次回は週末か来週か……。




