女魔王、軽く暴れる
前回のあらすじ:女魔王、撮影開始
賊の数は十……一人。ちゃちゃっとやっちゃおう。
じりじりと近づいてきた四人へ向かって駆け出す。まず一番距離が近い奴をバラそう。
「来やがれ!」
何やら円形の盾を構えて、挑発してきた。あんな物で私の攻撃を防ぐつもりらしい。舐めてんの?
石橋を右足で蹴り、一気に距離を詰め、その勢いのまま盾目掛けて手刀を突き入れた。手刀はいとも簡単に薄い盾を貫通し、男の左腕と口元を抉った。
「ぎゃああぁぁぁっぁああああ!?」
男は絶叫を上げて盾を離す。私は盾に貫通したままの腕を引き抜きながら、更に一歩踏み出し、追撃の蹴りを叩き込む。多分死んだだろう。
右から繰り出された槍をさらりと避け、ついでに脇で槍を挟んだ。
「!?」
槍を引き抜こうとしているが、私の脇にがっちりと挟まれた槍は、ピクリとも動かない。
私が体を大きく捻るとバキッっと乾いた音を立て、槍が中ほどで折れる。同時に手に持っていた壊れた盾を半分に折り、片手で尖った部分を男の首元に突き立てた。
次の瞬間ヒュンッと風切りの音を立てながら、真後ろから何かが飛んできた。咄嗟にしゃがんみ、ギリギリで躱す。どうやら矢を射ってきたらしい。
槍を挟んでいる方とは反対側の手で、折れた槍を持ち直し、振り向きながら射手へ槍を投げる。
槍は一直線に飛んで行き、十数メートル先にいた射手を貫いた。お、射手の後方にいた奴ごと貫通したらしい。ラッキー。
「「死ねええええええええっ!」」
槍を投擲した直後、左右から二人同時に剣を振り下ろしてきた。
大きく後ろへ跳ぶが、腕と肩にすこし掠った。
地面に足が着くと同時に、盾の残骸を投げ捨てて、両手に『魔爪』を掛ける。
「な、なんだよこの女……化け物か!?」
一瞬で鋭く伸びた私の爪を見て、失礼なことを言いやがった。
「可憐な女の子に対して化け物とは失礼ね。死んで詫びなさい」
両手を広げて飛び掛かり、二人の男を同時に切り裂く。右の男は反応が遅れ、私の爪によって手首を失い、左の男は剣で防いだもののぼろい鈍らでは、私に爪に耐えきれなかったらしい。剣と命を同時に失った。
まぁ、悲鳴を上げる右の男も、次の瞬間爪で心臓を突いたから、たいして変わらないか。
「ひ、ひぃ!?ば、化け物だ……こんな奴人間じゃねえ!!」
残った五人が、顔を真っ青にして怯え始めた。
失礼な奴らだ。私は化け物ではない。しいて言うなら……そう。
「化け物?……違う、私は悪魔よぉ」
にいっと笑顔で答えてやった。
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追記・本日で「女魔王の、世界一周暇潰しの旅」の投稿を初めてから一ヶ月経ちました。おかげさまで20000PV達成しました!ここまで読んで下さった方、お気に入り登録してくれた方、評価をつけてくれた方、ありがとうございます!




