女魔王、戦闘開始
前回のあらすじ
女型の巨人に捕えられたエレンを奪還するべく、そのあとを追うミカサ。
そこにリヴァイが追いつき、巨人を仕留めることをあきらめ、エレンを救い出すことに目的を絞る。リヴァイは人間とは思えない驚異的な動きで、ついに女型の巨人の動きを止めることに成功する。ミカサは、止めを刺そうと攻撃に入るが……。
……ごめんなさい嘘です。
「シャラ!捕まるよりマシだ!川に飛び込むんだ!」
トムが大男と対峙じながら声をあげるが、しらん。私は加勢すると決めた。
「よし、捕まえっご!?」
男が私の肩に触れようとした瞬間、私は即座に振り向き、男の腹部に拳をねじ込んだ。
ばんっと体内の何かが破裂したのが分かった。男は大きく仰け反り、橋の上へ倒れこむ。口をパクパクさせながら震えている。声を出していないとこをみると、衝撃で肺も破裂したのかな?
口から血を吐きながらもがき苦しんでいて、哀れというか見苦しかったので右胸……心臓のあたりを目掛け、思いっきり足で踏みつけて止めを刺してやった。
ドンッ、という音と供に血潮が飛び散る。男は二、三度痙攣したのち、動かなくなった。
男の体内から足を引き抜きつつ、トムを励ましてやった。
「トム、アンタはそこのダサい胸当てつけた大男と、対岸にいる屑を橋の上で釘付けにしておきなさい。ここなら幅が細いから、正面の相手にだけ集中できるでしょ?」
私が男を殴り飛ばし、止めを刺したのを、すっとぼけた顔で見つめるトム。よそ見すんなよ、胸当てに殺されるぞ……って大丈夫か。胸当てもこっちを驚愕の表情で見ていた。
「シャ、シャラ今……何を!?」
「何をって、殺したのよ。見ればわかるでしょうに。ほら、目の前の敵に集中しなさい。ちゃんと食い止めておきなさいよ?すぐ戻ってきてあげるから」
私はトムが囲まれない内に、後方を掃除して戻ってくるつもりだ。
トム一人でどれだけ持ちこたえられるかわからないが、こんなところで死ぬようなら、所詮そこまでの男だったということだ。
「あ、おい女!てめぇ一体何をした!?」
下っ端山賊の誰かが叫んだ。
「しつこいわね。殺したって言ってるでしょ?」
後方を向いて、男達を睨みつけると、明らかに動揺しているのが分かった。
「ほら、どうしたの?私を抱きたいんでしょ?」
微笑みながら一歩踏み出し、男共に近づく。男共も先程とは違い、警戒しながら各々武器を構えている。
「くそっ気をつけろ!この女、魔法か何かで体を強化してるかもしれねーぞ!」
「へっ魔法だと分かりゃ簡単だ!あの年じゃ大した魔力を持ってねえ筈だ。いずれ魔力が尽きる」
「いやまて、今は情報を集めてからでも遅くは……」
なにやら揉めてる。怖気づいたか?
すると、何人かがじりじりと距離を詰めてきた。どうやら私が魔法で身体能力を強化していると判断し、数人がかりで魔力切れを起こすまで、押さえつけようとしているらしい。
残念、全くの見当違いよ。私は現在、何の魔法も使っていない。勿論呪いも。
こいつら大して強くなさそうだし、こっち側の奴らはさっさと消そうか。反対側にいる奴らに期待しよう。
私は、にぃっと笑いながら、駆け出した。
試験が一歩一歩確実に迫っています。誰か助けてください。




