女魔王、大地に立つ
一話ごとの文字数が少ないので、最初の一週間は毎日更新します。
目が覚めたら真っ暗だった。
何でこんなに真っ暗なんだろう……あ、そう言えば封印されたんだっけ。
私が目を覚ましたってことは、少なくともあれから千年は経ったと言うことだ。でも残念ながら封印は解けていない。
「ふぁぁ……もう一眠りかしら?」
欠伸をして目を擦る。肩から服がずり落ちたが、別に誰かに見られる訳でもないのでそのままだ。
「ん?」
寝返りをうって再び呪いをかけようとしたその時、真っ暗な空間に白い線があるのを見つけた。縦に一本だけ延びている。
こんなのあったっけ?
よく調べようと近付いたら分かった……空間のズレだ。どうやら封印がいくらか劣化し初めているしい。
思ったより劣化が早いわね……今なら壊せるかも?
私は立ち上がり、白い線に狙いを定めて、勢いをつけて右手の親指を捻り込む。入った。
そのままぐりぐりと隙間を広げる。
しばらく弄っていると、握り拳位の大きさまで隙間が広がった。よし。
今度は両手を突っ込み、隙間の左右に引っ掻け、腰を落とし、両手両足にバランス良く力を込め……全力で抉じ開ける。
「うぐぉぉぉぉぉぉおおおおおお」
ミシミシと音を立て、真っ暗な空間がほんの少しずつ裂けて行く。もう少し。
「おおぉぉぉぉ…………りゃぁぁっ!!」
隙間が私の頭より一回り大きくなった次の瞬間、一気に引き裂けた。
真っ暗だった空間が徐々に明るくなり、やがて消えた。
「はぁ、はぁ……ふぅ……。こんなに早く封印が解けるとは思わなかったわね」
息を整えた私が目にした光景は、半壊した石造りの部屋だった。
天井は抜け落ちており、壁には蔦が絡みついていて苔だらけ。大量の蜘蛛の巣がそこらじゅうにある。
「こ汚い部屋ね。いったい誰が住んでたのかしら……」
いきなり汚い光景を見せられた私は、文句をたらしながら振り向き気付いた。崩れかけた壁に刻まれた魔王の紋章に。
「あ、私の家か」
そりゃ千年も経てばこうなるわよね……引っ越そうかしら。
ま、この日私は……女魔王シャラは復活した。
さて、これからどうしようかしら?
封印解除(物理)