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序章~二人の唄詠い~

唄を詠いながら旅をしている青年達のお話。

これといって舞台のモデルはありませんが、雰囲気としては平安時代が一番近いかも。

作中であまり登場人物の顔立ちの描写などははっきり書きませんが、どこかの他サイト様で見れるかも^^


彼らの服装は文官礼服がモデルになっています。

唄詠い本領発揮のときは狩衣仕様に。

狩衣は書いてて楽しいですねぇ…^q^q^q^



広い、広い空の下。




遥か遠くの王宮まで届くという、その声。





悲しみを背負う者のもとへ、唄を送る。






孤独だった過去の自分を重ねるように愛でるその姿。






人々は、彼に言った。








まるで、孤独が似合うリンドウの花のようだと。





























小さな街があった。

舗装された大きな街路の脇に小さな住居が点々と並んでいる。

木造建築がほとんどで、屋根には瓦が使われている。

そのほとんどが古びて、木材が変色して黒くなっていた。

街路は近くの森に向かって見える限りまで果てなく続いており、一本道になっていた。

太陽の光は若干強く、農作業をしている人々は度々汗を拭う。

少し薄着の服装が目立ち、子供達は疲れを知らないように駆け回っていた。


そんな中、山とは反対の方角から人影が二人現れた。

逆光なのと二人が下を向いているのであまり顔は見えないが、男だろう。

すらりとした長身の一人と、身長は平均的だがガッシリとした体つきの一人。

「熱い…っ…」

後者が声を漏らす。

それもそのはずだ。もうすぐ夏だというのに二人の格好は防寒対策をしていると言ってもおかしくないぐらいに厚着なのだ。

道行く人々が怪訝そうな視線を送っていると、いきなり長身の方が顔をあげて声を張り上げた。

「すいませーん!!この街の代表者の方に会いたいんですがー!どなたか案内してもらえませんでしょうかー!」

どこか澄んでいて、低音で心地の良い声音だった。

その声に誘われたのか周辺にいた若い女達が何事かと集まってくる。

さきほどまで農作業をしていたのか田んぼ着の者や、上流階級のものと思われる艶やかな着物を着た娘までいた。

そんな中、一人の老婆が人込みを割るようにして二人の方へ近づく。

「…あんたら、どこからやってきたんだい?」

そう問うと、長身の方が「あー…」と苦笑いを浮かべながら頬を掻く仕草をする。

「どこというか…根無し草なんですよ」

「旅人か」

「いや、普通の旅人とは違うんですけど…」

なんとも歯切れ悪く言葉に困っていると、横にいた体格のいい方が今度は声を張り上げる。

「俺たちは唄詠いをしながら旅してるんだ!とくにここにいらっしゃる兄様は凄いんだぜ!!」

「あっ、こら唱柧うだく!!簡単にばらすな!!」

「…?変わった名だね」

「あ、ええ。こいつはもともと西の果ての生まれで…」

「そうかいそうかい、えらく遠いところから…

見たところまだまだ若いのに唄詠いをしているなんて珍しいのぅ。

…して、あんたの名前はなんていうんだい?」

老婆が聞くと、長身の方は一瞬はた、という顔をすると、すぐに唇に弧を描きながら

「本当はそう簡単に正体をばらしたくないんですが…

このバカが先にばらしてしまったので自己紹介しておきます」

唱柧を軽く睨みながら、再び老婆へ視線を戻す。

「極東の生まれ、生まれたときから唄詠いの道を進んでおります。名を、鼕煌とうこうと申します」


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