二人のメイ探偵と手紙の予感
”今回の”主人公:健人くん。
彼は名探偵であり、迷探偵であった。
”今回の”助手的友人:蓮くん。
彼は探偵に憧れる”だけ”の名探偵であり迷探偵。
──そんな二人が黒猫を連れたちょと不吉な若い女性と出会ったtき、謎の手紙に隠された真実を解き明かす、。?
「あっすみません。ちゃんと前見てなくて、。」
──ドンッと、この道を”黒い猫とともに”歩く、少し着古しているような服を身にまとった若い女性とぶつかった。…黒猫って、、なんかちょっと不吉な予感がする、。
「ええ、大丈夫よ。
そんなことよりも君、少し眠たそうね。大丈夫?」
そう言い、彼女は手鏡を僕の顔の前に出した。
そのとき、なにか一緒に紙のようなものが落ちたように感じたが、少し地面に目をやってもそんなものは見当たらない。
そして、手鏡に視線を合わすと、確かに寝起きの顔をしていた。
少しだけ目をこすると、彼女からはいわゆる教師といったような、覇気のようなものを感じる佇まいに、その一方で、どこか温かさを感じられるような、そんな風貌が一瞬だけ感じられた。
「…はい。大丈夫です。ちょっと眠気がありますけど。」
──まばたきを3回、少し早めに数えて三秒じっと見つめたあと、またまばたきを3回。
そんな謎の仕草を俺に向けてしたあと、彼女はどこか悲しそうな、そんな乾いた笑みを浮かべながら、こう言った。
「……そう。それじゃあ気をつけてね、この道、割と暗いから。」
”暗いから”とそう言われ、少しだけ思案するように下を向くと、”1枚の紙切れを見つけた。”──
──1枚の、手紙のような紙を渡された。
破れている。あるいは、破られているようだった。
それは、とある日の塾に着いたとき。
仲の良い友達から、ある手紙のようなものの”解読”を頼まれた。
「なあ蓮。これちょっと見てくれよ」
「ん? どうした?」
「これなんだけど、どうも俺にはよくわからなくて、。…ひょっとしたら、お前なら解けるんじゃないかって思ったんだけど、、どうだ?
…ほら、お前”ミステリー”とか好きだろ?」
謎の手紙らしきもの:
─────────────
坊っちゃんへ、ごめんなさい。
「こころの置き手紙」
お金がね、ないんです。
だからね、楽しみだって言
あれ、できなくなっちゃっ
来年こそは、きっと、
─ ───────
…ふむ。一見ただの手紙にしか見えないが、、、
というか、なんで変な形をした紙なのだろう?
文字の右側だけが、横に引きちぎって破られたかのように整っていない、妙な形状。
それに猫の肉球のスタンプのように見える模様?が見られた。
「なあ健人、なんでこれは変な形状をしているんだ?」
「さあ、俺もわからない。”さっき”ここに来る途中女性とぶつかったんだけど、そのとき、恐らくその女性が落としたもので拾ったんだ。だけど気づいたら見失っちゃって。」
…はて、ヒントがまるでないな。
「…ひとまず、一つ気がかりなのは
この紙に夏目漱石の作品名と一致する単語があるということだな。」
「夏目漱石?」
「うん。お前も”坊っちゃん”くらいは知ってるだろう?」
「嗚呼。名前しか知らないけど。」
「そこで僕は、ある仮説が思い浮かんだ。
──この紙切れは確かに手紙。
けれど、これはただの手紙じゃあない。
”夏目漱石を使った巧妙なメッセージカード”だったんだ、。!
まず、簡単に説明すると”坊っちゃん”は社会の中での正直さとずるさを。
”こころ”は恋愛をきっかけに、人間のエゴや罪悪感を。最後に
”手紙”は言葉に隠れた本音から、微妙な距離の人間関係を描いた物語だ。
…それで考えると、”ごめんなさい。”っていう言葉には正直な気持ちと、ずるい気持ちというものが含まれていることになる。
次いで、”お金がね、ないんです。”っていう言葉には恋愛ごとでこれを書いた人が破産してしまったと考えられる。
最後に、”だからね、楽しみだって言”
これはまず、文が途中で切れてるけど、まあきっと”言っていたあれ(何か)ができなくなっちゃった。”と書いてあったんだろう。
だからこれもまた、”こころ”とも重なってると言えば重なってるけど、エゴとか罪悪感からきた文言だと思う。
”来年こそは、きっと”も、そう。
どこの誰と誰が、どんな人間関係なのかは分からないけれど、きっとなにか、狂ってしまったんだと、僕はそう思う。」
「…嗚呼、、聞いててなんか悲しくなってきたな、。」
「まあ、あくまで僕の憶測にすぎないし、もしもこれが事実だったとしても、僕らには何もできない。何かをする義理もないよ。
普段通り過ごせばいい。
…お前はいっつも頑固でお人好しなんだから何かやらかさないかこっちは心配なんだからな?」
「そう、だな、。ありがとう……」
──…ん? 待てよ、、そういえば今日、ここに来る前にぶつかった女性って、猫を連れていたよな、。夏目漱石といえば”吾輩は猫である”がデビュー作のはずだ。
そして恐らくこのメモのようなものを落としたのも彼女。……このとき、俺はなぜか普段の勉強に取り組む以上の頭の回転と、謎の緊迫感が強く感じられた。
──それにともなって、今日の様々な物事をさらに次々にと思い出す。
”…黒猫って、、なんかちょっと不吉な予感がする、。”
”ごめんなさい”
”お金がね、ないんです”
”あれ、できなくなっちゃっ”
”正直な気持ちと、ずr…”
”こころ”
”置き手紙”
”来年こそは、きっと”
”エゴ、罪悪感”──っ!
しかもあのとき、彼女は妙な目の動きをしていた
、。!
”──まばたきを3回、少し早めに数えて三秒じっと見つめたあと、またまばたきを3回。”
……まさかこれらはSOSか?!?
そんな考えが一度脳裏をよぎると、俺はもういてもたってもいられなくなってしまった。
もうすぐ授業は始まってしまう。けれど、そんなことはもうどうでも良かった。
気分はまるで”事件の謎を解いた瞬間の名探偵”のようだった。
急がなければ、。!
まだあの人と別れてから十分程度しか経っていない。ならば、余程切羽詰まっていない限り、”何か起きる”前に再び彼女のもとに出向くことが可能かもしれない。…急げっ! とにかく急げっ!!
──「…っ、はあはあはあ、、はあはあ、、、。
……居たっ!」
思ったとおりだった。彼女はケーキ屋が目の前にある公園のベンチに腰掛けていた。
あの手紙には”坊っちゃんへ”と”こころの置き手紙”、”来年こそは、きっと”と書かれてあった。
”坊っちゃんへ”が夏目漱石の作品だけを表すのではなく、シンプルに”坊っちゃん”(坊や)、すなわち子供のことを表すのではないか、また、”あれ”が指すのは、今日はその子が”誕生日なのでは”ないか、そう考えた。
そして、”来年こそは…”と”…置き手紙”
もしも苦しい生き方をしていて死にたいと思っての置き手紙ならば”来年の可能性”を示唆するようなことはしないだろうと、そう思ったのだ。
──だから、仮に辛くても、生きる意志はある。
ただの休み目的ならあのときぶつかった場所からそう遠くはない範囲にある気休めで居られる場所。こんな田舎とも都会とも言えないこの辺りにはこの公園しかない。…ビンゴだった。
「あのっ、。! すみませんっ、。!…はあはあは、、。」
「…え、。? あ、君はさっきの、、って大丈夫?どうしたのそんなに息を切らして!」
「嗚呼ごめんなさい。大丈夫です。心配はいりませんそれよりも──」少しだけ簡単に、彼女に俺がここに来た理由を綴った。
「……あ、嗚呼、。あの手紙、どうりでないと思ったわ。」…? ”どうりでないと思ったわ”??
どういう意味だ、。?あれを落としたのはわざとじゃないのか?というかなんでこの人はこんなにも冷静で居られるんだ、。?
ふと彼女の座る後ろの方に目をやると、衝撃のものがあった。
「……ケーキ、。?」
「ん? 嗚呼そうよ。 向かいのそこの店で買ったの。」
「どうして、。?」…思わず、聞いてしまった。普通は聞かないほうが良い。なにせそもそもがさっきぶつかったときに初めましてをした相手だ。どんな人か、どんな状況なのか、特に何も知らないのだからプライベートなことにズカズカと入り込むのは失礼だ。
けれど、彼女はあまり気にする様子もなく、淡々と答えてくれた。
「今日はね、息子の誕生日なの。」
「…息子さん、ですか、。」
「……そう。 今日で9歳。」
「それは、おめでとうございます。」
「…フフ。ありがとうございます。
きっとあの子も喜ぶわ。」
「…え?」
「だって、見ず知らずのあなたにも祝ってくれたのよ? 喜ばない人なんてきっといないわ。」
「…u。」声にもならない声で、ほとんど息を吐いた程度の声とともに、軽く会釈をする。
…だいぶ俺の息遣いが落落ち着いてきた頃、彼女はまるで、話し出すのに丁度いいタイミングを待っていたかのように、こう言った。
「…それにしても、まさかそんな勘違いをされちゃうとはね」
「…はい? 勘違い、、ですか?」
「ええ、だってあなた言ったじゃない。
”SOSを示してると思ったから”来たって。
それは違うわよ?」
「……は?」どういうことだ?と、率直に、そんな感想が頭を悩ませた。
意味がわからない。あれがSOSじゃないのならばあれは何だったんだ?なぜ彼女ここに居た?
「”坊っちゃん”が息子のことを表しているのは合ているの。それにお金がないのも。
けどね、息子はもう半年も前に亡くなっているの。」
「…は?」…え、。?亡くなっている?
またしても意味がわかない。本当に、あの手紙は何なのだ?
「あの手紙はね、先日今日に向けて書いたものだったの。
本当にお金には困っていたわ。
息子が生きていたときからあまり裕福とは言えなかった。けどちゃんとあのときまでは病気一つもしなくてすくすく育ってくれてた。
けど1年前に急病を発症して、半年間治療に励んだけれど、その甲斐もむなしく半年前に死亡が確認された。
息子が亡くなってから半年も経ったとはいえ、もともと裕福ではなかったから治療費やら何やらでここ最近苦しくて、息子の誕生日にケーキを買ってやれないと思ったのよ。だから謝罪の手紙の手紙を書いた。そしたらいつの間にかこの猫が破いちゃってた。気持ちは込めて書いたから、それでもいいかと思ってたんだけどね?
ふと携帯を見たら私の口座に振り込みがあって、見てみたら支払いが遅れていた息子の保険金が入っていたの。
「これは!」と思ったわ。息子が好きだったケーキをちゃんと買ってあげられた。
……本当に良かったわ。」
「…そうでしたか。すみません、変な憶測でいや話を…」
「いやいや、あなたは別に何も悪くないわ。
もうちゃんとけじめはつけたから。
心配してくれて、ありがとうございます。
君は、きっと将来、もっと勇敢で、優しい人になってるでしょうね。」
「…。」何も、感じなかったわけじゃない。けれど、これは言葉にする必要はないと思った。ただそれだけだ。
「それじゃあ、お元気で。あなたも、息子さんも。」…彼女は少し驚いたような表情をしたけれど、すぐに笑顔で「うん。君も、元気でね。」──
──約30分後、俺は軽く怒られていた。なぜならば、、、
「どうして遅刻したんだ?」塾講師が言った。
「すみません。少し寄り道してしまって、。」
「君はもう受験生なんだから、きちんとするんだぞ?」
「はーい。」
お読みいただきありがとうございます。
今回はメタ的な部分を強く出してみました!
どうでしたでしょうか?
謎が解けたよ〜って方、居ましたかね?
個人的には割と騙せるんじゃないかな〜と思って書きました。楽しめたでしょうか?良かったら反応等、お願いします!
それではまた。




