9/20
9話 仏壇の押し売り
「奥さん、今だけ、今ならなんと半額でお届け!」
「でも~」
「さらに今すぐ契約してくれたら、同じ仏壇をなんと2つ付けてお値段そのまま!!」
「ほんと?」
「ほんとほんと!!」
「なら、買います!」
「ちょっと待った!」
すかさず、会話に割って入った、でないと、母さんは“お得”って言葉に弱くて、気づいたら家が仏壇で埋まってる未来が見える。
「でもトモちゃん、2つもおまけがついて来るのよ」
「その通りです、奥様。実質半額以下」
お母さんの言うとおりと、セールスマンが言う。
うなづく母さん。
貴女のために、主にウチの家計のために僕が断ってるのを考えて欲しい。
「それに、毎回亡くなった人を仏壇に飾ってたら、毎週2〜3個買わないと足りないでしょ?」
僕の言葉にセールスマンの顔が一瞬で青ざめる。母さんはうんうんとうなずきながら、
「そーねえ、またご近所と抗争があったら、ダース単位で必要になるわねぇ。置き場所、納屋で足りるかしら?」
僕と母さんの会話を聞いてたセールスマンは、ジリジリと後退りして、くるりと踵を返すと「また来ます!」と叫びながら走り去っていった。
「あ!まとめ買いの割引を聞くの忘れてたわ」




