17話 三者面談
三者面談の日。ぼくは朝から胃が痛かった。
「母さん、お願いだから今日は普通にしててよ。銃とか持ってこないでよ?」
「なによ、信用ないわねぇ。今日はちゃんと“教育的配慮”で行くから安心なさい」
その“教育的配慮”って言葉が一番信用ならないんだけど。
そして午後、教室のドアが開いた瞬間、担任の先生が凍りついた。
「……あの、保護者の方ですか?」
「はい、トモの母です。今日はよろしくお願いしますね。あ、これお土産のパイナップルです」
「……スモークグレネードですよね……」
母さんはにっこり笑って、先生の机の上に“お土産”を置いた。もちろんピンの抜けてないやつだけど、先生の顔色はすでに真っ青。
「トモくんはですね、いざという時に決断が出来ないと言うか……」
「なるほど。決断が――」
母さんは静かにうなずくと、カバンの中から何かを取り出した。それは、ダイナマイトの束とタイマー付きの起爆装置。
赤い数字が、ピッ、ピッ、と不穏なリズムで点滅している。
「さあトモちゃん、これは“いざという時の決断力”を養うシミュレーションよ」
「……は?」
「世間は甘くないの。将来、どんな状況でも冷静に“赤か青か”を選べる判断力が必要なのよ」
母さんはにっこり笑いながら、コードの束をぼくの前に差し出した。
赤と青、どちらかを切れば止まり、もう一方なら――たぶん、教室が吹き飛ぶ。
「さあ、どっちを切る?」
先生は完全にフリーズしていた。




