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13話 トモちゃんの彼女
朝からトモちゃんが部屋の掃除をしている。
どうやら、彼女が家に来るらしい。掃除はそのためだろう。
「どうしましょう、ねえトモちゃん。この服派手じゃない?」
母さんが鏡の前でくるりと回ってみせた。
真っ赤なワンピース。 返り血がついても目立たない、実用性と情熱の融合。
「なっ…なんで母さんが着飾っているんだよ!」
トモちゃんが掃除機のスイッチを切って、絶叫する。
「え?やっぱり派手?でも彼女、赤が好きって言ってたし…」
「いや、そうじゃなくて…その服、昨日の現場で着てたやつじゃん!まだ…ほら、袖のとこ…」
私は袖を見下ろした。
乾きかけた赤黒い染みが、花柄のように広がっていた。
「まぁ、芸術的ね。これなら“情熱のバラ”って言ってもバレないわよね?」
違う、そうじゃない。 僕の彼女が来るんだ。なぜ母さんが、なぜその服で、なぜそのテンションで待ち構えているのか。
まさか―― “嫁チェック”のために、戦闘服を選んだのか?
そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
母さんはぱっと顔を輝かせて、ワンピースの裾を整えながら言った。
「来たわ!トモちゃん、あなたの彼女さん、どんな子かしら~?」




