葉子と翔太35ー修学旅行
今日から、一泊二日の修学旅行だ。
行き先は鎌倉。アサミちゃんと吉田さんたちと同じ班だ。
バスで移動して、記念撮影をしたり、班で自由行動したりした。
アサミちゃんは吉田さんとずっと喋っているし、男子はよく分からない事で騒いでいる。
結局一組には馴染めないままだが、一人で過ごす事にはもう慣れている。
はぐれたり、ボーッとしたりしないように、予定や時計、地図を確認しながら、大人しくみんなについていく。
夜に学年合同のレクリエーションで、サヤカと翔太と少しだけ話せて嬉しかった。
二日目。
お土産を一人で選びながら、つい翔太の事を探してしまう。
いた。でも友達と一緒だ。一人だったとしても、声はかけられないけど。
仕方ないので、さっさとお土産を選ぶ。自分の家には、24枚入りの鎌倉クッキーでいいかな。おばあちゃんにも同じのにしよう。
クッキーの箱を持ったまま、お店の中をグルっと周る。
ネコのぬいぐるみストラップが気になって、手に取ってみる。この茶トラのネコ、ユイちゃん家のネコに似てる気がする。
「葉子、それ買うの?」
いつの間にか翔太が隣にいた。びっくりして顔を上げる。全然気づかなかった。
「ユイちゃんにどうかなって」
「神島か。いいんじゃない?」
「じゃあコレにしようかな」
となりの白いネコも手に取る。ちょっとシロに似てる気がする。
……お揃いにしようかな。友達とお揃い。ちょっと憧れだ。
「……こっちも買おうかな。自分用に」
「ちょっと葉子のネコに似てるな」
「羽島くんはもう決めた?」
「うん、おれも同じクッキー。家用だけど」
「イズミくんには、何か買ってく?」
「あいつも鎌倉行くって言ってたし、要らないんじゃない?」
そういうものなのか。ユイちゃんに買っていくの、変かな……。
「神島は喜びそうだから、いいと思うよ」
二組の男の子に声をかけられて、翔太は行ってしまったが、声をかけてくれた事が嬉しかった。
一人でレジに並びながら、心配だった修学旅行も、案外悪くなかったな、と思った。




