葉子と翔太33ー六年の夏合宿③
合宿最終日。
やっぱり1位はユイちゃんだった。全教科1位。
翔太は2科目と4科目の2位だった。
私は2科目3位と、4科目4位。二回名前を呼ばれて、景品は二つになった。
「クソー、オレやっぱ3位か。まぁいいや、開けてみよーぜ」
イズミくんに声をかけられて一緒に開ける。
ワイヤレスイヤホンとタオル。またタオルだ。
翔太はマグカップと目覚まし時計だった。
「また時計だ。葉子はタオルだし」
翔太が笑っている。
「交換する?」
翔太がマグカップを差し出して来た。黒地にシンプルなネコのデザイン。男の子でも使えそうだけど、いいのかな……。
「葉子って確かイヤホン持ってるよな?」
コクコクと頷く。
「じゃあこっち貰っていい?」
「うん……」
翔太と、イヤホンとマグカップを交換する。
……本当に交換する事になった。凄い。頑張って良かった。
「羽島、オレとも交換して」
イズミくんがクマのぬいぐるみを差し出した。
「ぬいぐるみ、使わないから」
「だよなぁ。神島は?」
ユイちゃんは一つも開けていなかった。
「いいよ、どれか選んで」
「マジで?じゃあお言葉に甘えて……コレ!」
国語1位と書かれた箱をイズミくんが開けた。
「弁当箱じゃん。新しいの欲しかったから丁度良かった」
イズミくんは嬉しそうだ。
ユイちゃんは、いつも通りな気がする。
帰りのバスもユイちゃんの隣に座った。
サキちゃんとトモエちゃんが前の席に座って、翔太とイズミくんが通路を挟んで隣の席に座った。
合宿、今年も楽しかったな。
そういえば去年は、シロにご飯をあげ忘れていたっけ。
スマホでシロにご飯をあげる。
いつものキャットフードなのに、なぜかシロは、《エビ美味しいニャ》と言っていた。
歌いながら、シロが踊っている。音を消しておいて良かった。
シロの歌が聴きたくなったので、自分のイヤホンをつけてから音源を再生する。
《♪エビ エビ しっぽもおいしい》
《♪サクサク おいしい エビフライ》
「葉子、何聴いてるの?」
通路越しに、翔太が話しかけてきた。
「……うーん、何だろ……エビのうた?」
翔太が不思議そうな顔をしてるので、イヤホンをしまって小さな音で再生してみた。
《♪エビ エビ エビ エビざんまい〜》
思ったより大きな音で再生されてしまい、慌てて止める。
楽しそうな顔で笑ってる翔太と目が合って、心臓が少し跳ねる。結局、イヤホンを半分貸して、一緒にいくつかシロの歌を聴いた。
家に帰ってから、ママに「このマグカップは、私専用だから」と伝えた。
後でパパにも伝えておこう。
ここまで読んで頂いて、ありがとうございます。
完結まで、毎日更新にします。




