葉子と翔太29ーサヤカと葉子
学校の15分放課。
一組の担任の先生は、「15分放課は外で遊んで来なさい」と言う。
特に遊ぶ友達もいないので、校庭の隅の方で静かに過ごす。たまに、翔太かサヤカが声をかけてくれる時もある。
「ヨーコ、また1人なの?」
サヤカだ。今日はサヤカも一人みたいだ。
「ヨーコって、ショータと同じ塾通ってるんでしょ」
「うん」
サヤカが周りの様子を見ながら、声を落として言った。
「ショータの事、好きなの?」
体が固まる。
「同じ中学行くの?」
「……ううん。羽島くん、男子校受けるって」
何とか言葉を絞り出す。
「そうなんだ。じゃあ、卒業までに告白したら?スマホの連絡先、交換した?」
……告白なんて全然考えていなかった。
でも確かに、このままだと、小学校を卒業したら、もう会えない。
「まぁ、本当は私もちょっと、ショータの事好きだったけど。違う中学行くし。もういいかなって」
……サヤカ、翔太の事好きだったんだ。
「ヨーコは結局、教えてくれないの?私は教えたのに」
サヤカがむくれている。……なんて言おう。
「もういーよ、ほら、そろそろチャイム鳴るし、戻ろ」
なんて言えばいいか、いつも分からない。
でも、サヤカは私が何も言わなくても、勝手に喋る。だから、一緒にいられる。
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放課後。
家に帰って、学校の宿題を机に広げる。
塾が始まるまでに、終わらせたい。
……同じ塾に通ってから、翔太の事をどんどん好きになっている気がする。
でも、告白なんてとても出来そうにない。
名前さえ、呼ぶ事が出来ないのに。




