葉子と翔太21ー葉子のへや
冬期講習や冬合宿を終えて、三学期が始まった。
毎日遅くまで塾に通うので、学校の授業中は眠くなる事も多い。
でも塾では成績が徐々に上がり始めて、勉強が楽しくなってきた。
一月の合同模試の結果も良くなっていた。
嬉しくなってノアに報告したら、イズミくんが画面を覗き込んできた。
「ノアってAIだろ?なんで報告してんの?」
「ノアにたくさん勉強教えてもらったから。ありがとうって伝えたいの」
「いや、AIはお礼を言われても、何とも思わないだろ……」
イズミくんは不思議そうな顔をして去っていった。
……変に思われたかな。
なんだか、ちょっとだけ恥ずかしい。
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家に帰ってから、追加の夕飯を軽く食べて、お風呂に入った。
今日はなんだか、少し疲れた。
「葉子、髪まだ濡れてるよ」
ドライヤーを持ったママが、後ろに座った。
「乾かしてあげようか?」
「……うん」
温かい風と、シャンプーのにおい。
ママの手の感触。気が緩んで、なんだか眠くなる。
「はい、できた」
「ありがと」
部屋に戻ってから、シロにもご飯をあげる。
ーーテストの結果、良かったよ。
《良かったニャ。気分の上がる歌でも歌おうか?》
《♪〜》
陽気なリズムで、シロが歌い出す。
シロの事も、好きだな。可愛いし、本当にキレイな声だ。
パパに買ってもらったスマホ。この中に、シロとノアがいる。
部屋を見渡せば、お気に入りの物がたくさんある。
ネコのぬいぐるみ。
何度も読んだ絵本。
枕元には、翔太に貰った目覚まし時計がある。
どれも、ただの「もの」だけど、大事なものだ。
イズミくんに言われた事を思い出す。
……まぁ、いっか。
私はシロとノアが好き。
本も歌も。ママに教えてもらった九九の歌も。
好きなものが増えていくのは、悪くない気がする。




