葉子のノート20ーある日の塾
ある日の塾。
「葉子って、計算早いよな」
「そうかな。確かに、掛け算は好きかも」
「そーいえば2年生の頃から早かったよな。なんかコツある?」
うーん、どうしよう。九九の歌の話は、誰にもした事がない。
翔太ならいいかな。
「子供の頃、ママが教えてくれたの。ひたすら足し算で解いて覚えるやり方」
「ん?つまり?」
「例えば、3の段なんだけど。さんいちがさん、さんにがろく。
これを足し算で計算して答えを書きながら歌う」
「計算が早くなると、歌もどんどん早くなる」
「マジか。おれ、子供の頃リズムが途中でゆっくりになる歌で覚えたせいで、
7の段とか計算遅かったんだよな」
「しかもそれ、高速で足し算繰り返すから結果的に足し算も早くなるよな。
……葉子のお母さんって何してる人?もしかしてめちゃくちゃ頭いい?」
「普通だと思うけど」
実際、ママはちょっと抜けてるところがあるし。
でも、翔太にママを褒められるのは悪い気はしない。
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夜。
「ねえママ。今日羽島くんにママが何の仕事してるか聞かれた」
「え?翔太くん?」
「今でも仲良しなのね。ママ安心しちゃった」
「普通だけど。塾一緒だし、話すだけ」
「ふーん」
ママがなんだかニヤニヤしている気がする。
今日も疲れたし、もう早くお風呂に入って寝よう。
あ、学校の宿題もやらなきゃ。




