卵が先か? 鶏が先か?
弟子がまた馬鹿な事を聞いて来た。
「先生、市井で卵が先か? 鶏が先か? って言う論争か起きてますが先生は何方が先だと思いますか?」
「そんなの決まっているではないか。
まったく、そんなくだらない事で儂を煩わせるな!」
「え? 決まっているんですか?」
「ハァー、お前は儂の弟子になって何年だ?」
「ええっと……」
「まったく、じゃ此れは何だ?」
「玉子です」
「そうだ、ついて来い」
儂は弟子の襟首を掴み、引きずるようにして何も無い部屋に連れ込む。
上も下も距離も時間も存在しない部屋の真ん中で、持って来た玉子を弟子の頭で割った。
玉子を割った途端、玉子の中に詰まっていた物がドンドン膨張して行く。
新しい宇宙が誕生したのだ。
ドンドン膨張して行く宇宙を指さして弟子に言う。
「見ろ、玉子から新しい宇宙が生まれたぞ、此れを見れば玉子が先か鶏が先かの答えがわかるだろう」
「は、はい……」