底辺の教養講座 その② 酒の種類
お酒はどうやって出来るか、ご存知かしら?
超ザックリ言うと
甘いものに菌がついて
発酵するとアルコールが出来てお酒になるのですわ!
【例】ぶどう→ワイン
そして、甘くないものも
色々がんばって甘くなったら
これまた発酵してお酒になるのですわ!
【例】お米→甘いドロドロしたやつ→日本酒
大麦→甘いドロドロしたやつ→ビール
甘いもの (糖分) に菌がついて発酵したらお酒になる、覚えたな?
◇◇◇
甘いものが発酵してできたお酒を
【醸造酒】(じょうぞうしゅ)
と呼びましてよ
おっと、名前なんて覚えなくて結構ですわ
それよりも知って欲しいのは
人類がいなくても醸造酒は
自然発生しうる存在だってことですの
おサルさんや動物さんも
飲んでいたかもしれないわよ、ホーホホホ!
まあ、それはともかく
基本、そのまんま飲むお酒だということですわ!
【醸造酒】(じょうぞうしゅ)の種類としては
ワイン・日本酒・ビール、などがございましてよ!
◇◇◇
小賢しい人類の錬金術師どもが
いや、魔導士の仕業かもしれない
森の動物たちが嗜んでいたお酒から
あるいはお酒になりにくい食材から
アルコールを抽出する術式を編み出しましたの!
つまり人工的に濃度の高い
凶悪な魔力 (度数) を持った
【蒸留酒】 (じょうりゅうしゅ)
というお酒を作れるようになりましたの!
お酒からお酒を造るという外法
なんでも酒にしようとする卑しき邪法
めっちゃいい加減な嘘説明をすると
ブドウ → ワイン → ブランデー
お米 → 日本酒 → 米焼酎
大麦 → ビール → ウィスキー
思考実験としてこのような方式を書いてみました
……実際こんな造り方は絶対してませんけど
聖なるお酒 【醸造酒】 は魔力度数 (アルコール)
10%前後と飲みやすいのに対し
魔の酒 【蒸留酒】 は魔力度数 50%前後
モノによってはそれ以上……って
それはもはや
ただのアルコールといって良いのでは?
……はい。
【蒸留酒】とはそのようなものであり
そうあれと望まれて作られたものです
もはや、純粋な麻薬
それでも、美味しくあれと
風味をつけたり
飲みやすくするため薄めたり
そうやって工夫して
その工夫すら楽しんで
酒の文化はより深く広がりを見せるのでした……
【醸造酒】と【蒸留酒】は覚えなくてもいいけど
まあ、そういう違いがあるんだなって知っといてね
んじゃ、本題いくよ!
◇◇◇
ビールは最高!
お酒は飲んでもビールは飲めないという人が
案外いるので驚いてましてよ!
いや、別に飲めなくてもいいんだけど……
無理して飲む必要はございませんが
ここは底辺の教養講座
底辺に相応しいビールの嗜み方を
ご教授いたしますわ、ホーホホホ!
ビールとは!
炭酸麦茶である!
味わうな!
乾いた喉に流し込め!
脂ぎった肉を、アチアチの焼き物を、塩っ辛いおかずを!
口いっぱい頬張って、ビールで流し込め!
駆け抜ける麦の残り香が、ビールの色気だ!
以上!
だからさ、海外のビールが薄いのもわかるんだよね
日本のビールは味が豊かすぎるんだよ
ビールに美味いもマズいもねえよ、っていうのが
世界的には多数派なんじゃないかな
とはいえ日本のビールに慣れ過ぎて
私は、いやきっと多くの日本ビール好きは
海外のビールが飲めなくなってるのよな
バドとか薄くて損した気分になるのよね……
スーパードライとかその辺バランスとってる感があって
薄いわけじゃないけど、濃さに頼らないって言うか……
あ、私は一番搾り一択です、はい。
◇◇◇
なろう初!
いや、もしかしたらエッセイ界初!
エッセイ内小説!
不定期連載!
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【貴族令嬢に乾杯 ~ふたりのワイングラス~】
貴族令嬢のソフィアは成人を迎えた今こそ、叶えたいことがありました。それは憧れのルイーザ第二王女さまとワインを飲むこと。そのために手を尽くし、王国で一番と謳われた白ワインを手に入れたのでした。
宮殿から馬車までずらりと並ぶメイドたち。ルイーザ第二王女がその間をしずしずと歩いておりますと、貴族令嬢のソフィアが近づいてまいります。二人はカーテシーでご挨拶。
「ルイーザ姫さま、ごきげん麗しくございます」
「あらソフィア、そういえば成人を迎えたばかりでしたわね、おめでとう」
「ルイーザ姫さま、その件でお願いがございます」
ソフィアは白ワインを両手に掲げ、跪 (ひざまず) き首を垂れました。
「どうか……このワインをご一緒したいのです」
「あらソフィアったら、そんなに畏まらなくても……」
「そしてどうか、ルイーザ姫さまを、お姉さまと呼ばせてください」
「私と、姉妹になりたい、と」
「はい、どうか、お姉さまになってください、おねがいします」
唐突のお願いに困惑するのは、周囲のメイドたちも同じでした。見かねてソフィアを追い返そうとするメイドを、ルイーザ第二王女は無言で制し、跪くソフィアに優しく声をかけました。
「よろしくってよ、では一緒に馬車へお乗りなさい」
馬車はソフィアとルイーザを乗せ、第二王女の住む邸宅へ向けて走り出しました。
◇
ここは大広間。ルイーザ第二王女と貴族令嬢ソフィアは、中央に置かれたテーブルを挟んで、豪華な椅子に腰かけています。周囲をメイドたちが取り囲み、年老いたメイド長が、二人のグラスに白ワインを注ぎ入れました。
ルイーザ第二王女には多めの量を。
ソフィアには少なめに。
そしてメイド長は口上を述べました。
「……そのグラスを、飲み干されると同時に、あなたはルイーザ第二王女様の妹となられます、すでに十二分なるお覚悟を持って、この場に望んでおられるとは存じますが……腹、定まりますれば、そのグラスを一気に飲み干し、懐中、深くお納め願います」
ん?
ソフィアは確かにルイーザ姫に対し、姉妹のような関係になりたいとは言いました。ですが、何か思っていたのとは違う気もします。ですが、あまりに張り詰めた大広間の空気は、ソフィアの疑問をワインより先に飲み込ませたのでした。
ルイーザ第二王女が先に、ワイングラスへ手を伸ばしました。その後で、ソフィアが飲む段取りだそうです。まあ、流れに合わせるしかないわ、そうソフィアが考えたとき、立ち並ぶメイドの一人が、大広間の中央に飛び出しました。
パンッ。
パンッ、パンッ。
白ワインの瓶は砕け、大広間に火薬の匂いが広がりました。大広間に飛び出したメイドの手には自動小銃が握られ、あっけにとられたメイドたちが彼女を取り押さえます。
ルイーザ第二王女は、その美しいドレスを鮮血に染め、椅子から崩れ落ちました。ソフィアは彼女を抱きあげ、必死で声をかけました。
「お、お姉さま、お姉さま……」
「ごめんねソフィア……せっかくの白ワイン……赤くなっちゃったわね……」
「お姉さまあああああああ!」
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(気が向いたらつづく)




