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人の一線を越えた経験


 ホーホホホ!


 わたくし、人としての一線を超えたことがございましてよ

 

 【激痛編】

 【断食編】


 以上、ふたつの経験について語らせて頂きますわ!




 【激痛編】


 ……とはいっても、単に骨折しただけですわ

 事故でしたの

 人体で最も大きな骨 (および全身)が

 バキバキに折れてしまいましたの


 とはいえ医学の進歩は凄まじく

 今は普通に歩けますし

 日常生活で大きな支障はございませんの


 まあ、阪神球団入りの夢は諦めましたけれども……


(注釈:筆者はセリーグとパリーグの区分けもついていない)


 それはともかく骨折なんですけれども

 大げさではなく一か月、発狂いたしましてよ

 精神疾患とかではなく

 逃げようのない痛みで絶え間なく悶絶

 気絶はしても睡眠なんて出来ませんでしてよ


 舌咽神経痛あるいは三叉神経痛という

 首が爆発したような痛みが炸裂する

 神の悪意としか表現しようのない

 病気になったこともありますけれども


 まあ、全身骨折に比べたらまだまだ小物

 激痛界の面汚しよ!


 とはいえバイク運転中に神経痛で飛び上がり

 転倒したレベルですけど

 あの痛みを再度味わうくらいなら

 ナイフで首を刺した方がマシ


 でーもでもでも、全身骨折は

 とくにおっきな骨の痛みは

 そんな甘っちょろい痛みじゃなくて

 大げさではなく地獄なんて生温い


 痛みで失禁?

 痛みで気絶?

 痛みで錯乱?

 あははは、甘い甘い!


 カロナールも

 ロキソニンも

 トラムセットも

 ボルタレンも

 ぜーんぜん効きませんでしてよ、ホーホホホ!


 ペンタジンがギリ効いたかなって程度


 正直言うと

 私は自殺願望もないし

 世界中の美味いものを食べ尽くすまで

 死ぬ気はサラサラなんだけど

 あの痛みをもう一度♡って神様にお願いされたら

 迷わず死を選んじゃうかな


 よく耐えたなって?


 はぁ?


 耐えれるわけねーじゃん!


 ……逃げられなかっただけだよ。





 【断食編】


 話のレベルはめちゃくちゃ下がるわけだけど

 断食したことがある


 深い理由があったわけじゃなく

 何日耐えられるか

 そして、その先に何が見えるのか

 知りたかっただけだ


 ていうか、最長は先に述べた骨折による入院時で

 一か月以上固形物を口にしていない

 点滴だけでも死なないんだと身を持って体験した


 そのこともあって

 水分とってりゃ死なないだろうと

 自力で挑戦してみたが……

 一週間も持ちませんでしたね


 体調がどうとか言う以前に

 頭が食事の事しか考えられなくなる

 元々、食に執着する私ですから

 それはもう狂気に近かった


 でも、自分が自分で凄いと思うのは

 今だに感心して褒めてやりたいのは


 飢えて悶える自分自身に対し

 今、何が食べたいのか

 徹底的に自問自答したことだ


 別にお金が無かったわけでも

 病気で体調が悪かったわけでもない

 (むしろ断食で体調崩した)


 この極限状態で

 私は

 人は

 何が食べたいのか


 それが知りたかったのだ


 知識としてではなく

 体感で




「……天ぷらうどんの、汁」




 これが答えだった

 これしか脳裏に浮かばなかった


 米でも肉でもなく

 少し油の浮いた

 天つゆが啜りたくて啜りたくて啜りたくて……


 冷蔵庫は断食を成功させるため空っぽだった


 私は家を出た

 正確にはタクシーを呼んだ


 たしか深夜だった

 某チェーン店に入った

 はいから (天かす) うどんの食券を買い

 カウンターに座った


 麺や具材は食べなかったと思う

 喉を通らなかったのだ

 器が極端に熱く感じて持てず

 レンゲで汁を啜った


 熱かった

 口に入った汁が弾けた

 鰹節が

 そして昆布だろうか

 熱を帯びた味覚が暴れまわった


 じゅじゅじゅと啜る汁が

 喉に落ち

 味と温度が

 お腹でパアと広がっていく感じさえした

 美味いとか、そう感じる段階は二口目から


 しばし夢中で汁を啜った

 器も持てるようになった

 直接汁を飲み喉に通した


 あらかた飲みつくすと

 麺と具材が……

 いや、無理、食べれない


 申し訳ないとは思ったが、残して帰った

 もちろんタクシーでだ


 まあ相当前の話なので

 こっからどうなったかは覚えていないのだが

 たしか数日は体調を崩し

 その後猛烈に過食したような気がする


 

 若き日の過ちと言えば、そうなんだけれども

 今やる気にはならないし

 そもそも断食とか無理

 空腹は耐えれても、食の喜びは我慢できない

 

 食べたい時に、食べたい物を、食べたいだけ、食べる


 ……と、いうわけにはいかないが

 せめて我慢するなら、我慢した分だけ納得できるような

 美味しいものが食べられると

 自分を信じて

 時には騙して

 今日もご飯をたべるのですわ、ホーホホホ!


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― 新着の感想 ―
世の苦行を選びとっていなさるような……;何と言いますか、ご自愛くださいませ。 うどんの汁は水分と塩分が摂れるので読んでてほっとしました。私は一昨年に脱水症になって以来、常に体から水分が蒸発していく感覚…
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