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喚ばれた剣聖ー8



「お、おばば様! どうしてこちらに!? ここは危険です、今すぐ中に、、、!」


「危険じゃあないよ、こいつは話ができる。言葉が通じるなら意思疎通が取れるってことさ。・・・それに危害を加えようとしてくるなら殺すだけの話さ。」



おばばと呼ばれた褐色の女性はそう言って不敵に笑う。

その時にも決して彼女には隙がなく、俺は久しぶりにゾッとした。



「でもそんなことする気はないだろ? 坊やの行動原理はすごく単純だろうからさ。・・・それにここいらの地理を把握するんだったらあたいらの協力だってほしい筈さね。」



それだけ聞いて俺は目を見開く。



・・・どこまでこっちの状況を知ってるんだ?



いや、確かに魔族領に人族がいるのは珍しいのかもしれない。そこを考えれば色々と察することもできなくはないのか。



「スイ、スイナ、あたいの家に案内しな、そこで話そう。」


「・・・わかりました。」


「はーい!」



それだけ言っておばば様は振り返って石門の中へと戻って行く。

他のミスルル族連中もおばば様とやらには異を唱える事はなく素直に道を開けた。


その際には2人の護衛らしき者たちが付き従い静かに消える。



・・・んー、確かに困ってるのは事実だしやる事もない。仮に魔王軍が訪ねてきたら差し出されるだろうがその時はミリアを連れて全力で逃げよう。



「・・・えっと、じゃあ2人とも、ご案内します?」


「あぁ、頼む。」



俺とミリアは大人しく先導され、ミスルル族の村へと入ったのだった。




ーー




村の中は全体的に茶色で統一されていた。


泥から作られたレンガで出来た住居が主で、乱雑に建てられている印象を受ける。

真ん中にはその中で異色な石でできた大きめの建物があり、おそらく族長の家だろうな。



「・・・。」


「それでね、どんどん奥に押し込まれて村に入っちゃってー、外に行かせてもらえなかったからお姉ちゃん呼んだの!・・・えらい?」


「あぁ、えらいえらい。だから手を離してもらえると助かる、前からの視線がきつい。」



先導してスイについて行っていたのだが、同じく先導してくれてたスイナがいつの間にか隣にきていて自然に手を繋がれていた。

隣で嬉しそうにブンブンと手を振っているのを見ているとほっこりするが、前方からお姉ちゃんから無言の視線が嫌に刺さって気まずい。



・・・あれか、妹に手を出しやがって的な意味かな。



ちなみに隣のミリアはあまり見かけない光景だからか辺りをキョロキョロしていて落ち着きがない。


俺も辺りを見渡すと所々、子供や女性のミスルル族が顔を出していた。

その顔には恐怖や嫌悪、好奇心が感じられる。


ま、歓迎されないのは当然だし、俺は興味ないけどね。


にしても殺風景だな。周りが泥しかない大地では木造なんてまず無理だし染料も取れそうにないから仕方ないのかな?



「・・・ついた。」



唯一石造りである石の家、と言うより屋敷。

緊張とかは別にしない、昔からこう言うところにはよく出入りしてるし。



・・・まぁ、俺はね。



なんか袖を掴んでる人の震えが半端ないな、マッサージ機か?



「なーにをそんなに緊張してんの?」


「そ、それは緊張しますよ。下手したら袋叩きじゃないですか。」



屋内に連れ込まれるわけだからね。

味方かどうかわからない村のど真ん中にたった2人で向かうのだから不安になるに決まってるか。



「大丈夫、優秀な囮役がいるからさ、、、三日は持つよ。」


「それって私じゃないですよね? 違いますよね? そんなわけないですよね? 三日も攻撃されたら泣きますからね!?」



泣くだけで済むんだ、さっすが優秀なタンク。



・・・正直、おばばとやらは油断ならない気がする。熟練の魔術師は曲者だらけだ、警戒は解かない方がいいだろう。



チラリと自分の腰を見る。頼りのない折れた剣しか持ってないことに不安が残る、装備が不十分だと取れる選択肢がどうしても減っちまうな。



「ま、なんとかなるか。」



軽く考え直して笑みを浮かべた。


装備不十分で負けたなんて言ったら向こうの同僚共に笑われちまう。

いや、俺の相棒にバレたら殺されそうだな。


迷惑かけられてばっかりだった相棒を思い出し、苦笑いを浮かべながら俺たちは族長の家へと入ったのだった。




ーー




「いらっしゃい、こんな辺鄙な村に客人がくるのは珍しいさ、ゆっくりして行くといい。」



開けた大広間のような場所に長机と両脇に椅子が並べられており、おばば様は一番奥の上座に腰掛けていた。

その両脇には護衛が控えている。


おばば様近くの席にスイ、スイナの姉妹が並んで座り、その正面に俺とミリアも座る。スイナは最初俺とミリアの間に座ろうとしたが流石にお姉ちゃんに引っ張られて行った。



「さて、ようこそミスルル族の村『ミストレル』へ。まずは自己紹介とお礼を、あたいはミスルル族の長『オルババ・ロス・ミスルル』。大事な家族を救ってくれてありがとう。」



・・・あー、おばばって略称か。



確かに見た目は若く感じるし、おばばって違和感があったんだけど、それなら納得。



「・・・ん? 家族なの?」


「同じ村の住人は皆、あたいの家族さ。」



なるほど、愛のある考え方だね。

すんばらしい、そのまま俺たちを襲わないよう言いくるめてくれないかな?



「別に偶然だよ。森の中を走ってたら声が聞こえたからそっちに走っただけ、スイナがあそこまで逃げてなければ間に合わなかった。だからスイナが生き残れたのはスイナが頑張ったからだよ。」


「・・・ふふ、ここで貸しを強調しないことには好感を持てるさね。でもあんたがいなければスイナはここにいない、それならあんたのおかげだろう?」


「環境を利用するなんて常識だろ。」


「わかったさ、じゃあつまり貸し借りはなしってことでいいかい?」


「なんの話かわからんからな。」



スイナを出しにする気はないし、スイナを使って交渉を進める気なんてないからね。別に予定では適当にフラフラする予定だったし、仮に追い出されても問題無い。


すると、俺とミリアの前にそっとカップが置かれた。

暖かな湯気と落ち着く香りは雨に濡れて冷え切った体に染み渡りそうだ。


おばばとスイ、スイナが飲んだことを確認した後、俺とミリアも口に含む。おっとりした香りが口に広がり豊かな風味が感じられる。こんなに美味しい紅茶を飲んだのは初めてだな。



「うまいな。」

「美味しいですね。」



俺とミリアは同時に感想を漏らすと、おばばは嬉しそうに微笑む。



「そいつはよかった、乾季に取れるこの村唯一の名産品だから美味しく飲んでくれて嬉しいよ。」



へぇー、乾季とかもあるんだな。

こんな泥が乾いたら荒地みたいになりそうだけど、、、。



「さて、お二人さんの名前を聞いてもいいかい?」


「あぁ、俺は律兎 八九楽 よろしく。」


「私はミリアです、姓はありません。よ、よろしくお願いします。」



まだ緊張してんの?

確かに威圧感は感じるけど、気さくに話しかけてくれるからほぐれそうなもんだけどな。



「あぁ、よろしく。・・・さて、聞きたいのだけど2人はどうして森を歩いていたんだい? 人がヴァジュラの森を開拓しようとするのは珍しくないが反対側の話さ。ここまで渡ってくる奴らなんて一部しかいない。」



そう言い放った彼女の目から剣呑な光が漏れる。

俺はそれだけで何が言いたいのか理解した。


なので俺は勘違いされないよう素直に自分達の現状を言い放った。



「理由は森の向こうにある街から逃げてきたからだな。」



それだけ聞くと相手は背もたれに力を預けて深く座り直し、ため息をついた。



「はぁーーー、そーゆうことかい。」


「・・・わかったのですか?」



1人、納得したようにぼやいたおばばにスイが問いかける。

聞かれた彼女はめんどくさげに額に手を当てて唸っていた。



「・・・森の向こうにある人族の街、『フォリュゲート』半月前に魔王軍が攻め落とした人族の街さ。まさか生き残りがいたとはね。」



それだけ聞くと、おばばの背後に控えた護衛の顔が殺気立つ。

しかし、それをおばばは手で止める。



「・・・やめといた方がいいさな。男の方も女もどっちも出鱈目な感じがするさね。下手に手を出す必要はないよ。」



・・・? 女も?



俺はチラリとミリアに視線を送る。

彼女も言われたことがよくわからなかったのか首を傾げ返された。



・・・ま、いいか。



「・・・コテンって首傾げるの可愛いな。」


「突然何を言うのですか!?」



あ、つい言葉が漏れちゃった。

なんか小動物みたいな感じがして可愛かったからつい、、、。


顔を真っ赤にしたままそっぽ向かれたので俺は気にせずおばばに向き直る。



「それで? あんたはその生き残りの俺たちをどうするんだ?」



俺が不敵な笑みを浮かべながら問いかけた。

こういうのは舐められるわけにはいかない。


そんな俺の視線を受けておばばはどうでも良さげに首を振るった。



「何もしない、スイナの恩人に対して仇で返したりはしないさ。」


「もし魔王軍が引き渡せって言ってきたら?」


「貸し借りないんだろう? 悪いけど村とあんたらを天秤にかけることになったら村をとる。ただ、少しの滞在位なら許してやるさ。」



充分だ。今、包囲されて差し出されでもした方が厄介だし、魔王軍はわざわざここまで俺たちに追っ手を出すとも思えない。

なら報告さえされなければ包囲されることもないだろ、たぶん。



「りょーかい。俺も報告さえされなければ後はなんとかするつもりだし充分だ。」


「カカッ、随分な自信さね。村に追手がきたらどうするんだい?」


「その時は殺すだけだ。」



ザワッ



俺の発言に護衛2人とスイが動揺したがおばばは楽しそうにニヤニヤしている。

そしてミリアはこの場でこの発言をした俺に別の意味で動揺していた。



「腕に自信あり、、、ってことかい。」


「少なくとも自分と相手の力量差を見誤ったりはしないな。実際今の所殺した奴ら位なら10人来ようが負ける気はしない。」


「り、りつとさん。そこまで言う必要あります?」



ミリアが不安で泣きそうになりながら俺の袖を隣から引っ張ってくる。

確かにこれじゃあ同族を殺してますよって自白してるからね。



「別にいいだろ、それに俺は魔族だけじゃなくて人だって何人も殺してる。」



俺は前の世界で行ってきたことを暗に告げる。

怖がられる可能性はあるが、いつまでも隠してはいられないし、後で知られる方が拗れるからな。


だが、そんな俺の発言を受けてもミリアは動じたりしなかった。



「・・・やっぱりですか?」


「そうじゃなければあんな簡単に命を奪えやしない。」



今更なんだよ。

たとえ人だろうがなんだろうが、敵であるなら殺す。容赦なんかしない。した時に待ち受ける悲劇を起こさないためだったら躊躇いなんて一切する気なんてないさ。



自分の手なんかいくらでも汚す、それが正しいと思ったなら。



「・・・まぁ、どうりだね。殺されかけて、殺し返さないのは命を野放しにするよなものさね。そこはあたい達だって同じじゃないかい?」



同調するようにおばばは護衛に語りかける。

護衛の2人は苦々しい顔をしているが、何も言うことはなかった。



・・・まるで諭すかのような口ぶりだな、味方される理由はないぞ?



おばばは空気を変えるように一度手を叩いた。



「この話はここまでにするさね。お互いに過干渉はしない、それに少しの間であったら滞在も許可するさね。・・・そう言う約束でいいかい?」


「あぁ、構わない。・・・むしろ譲歩しすぎてもらってる気もするけどな。」


「そんな事はないさ。」



・・・さて、どうだろう。



利を考えるなら俺たちをさっさと追い出すのが一番だ。

スイナの恩を返そうとするって言うのが建前だがそれだけか?


そこまで考えて俺は首を振った。



・・・やめよう、隅から隅まで疑ったんじゃ嫌になっちまう。



「じゃあお兄ちゃんと遊んでいいの!?」



スイナが身を乗り出して嬉しそうに目を輝かせた。


全く空気を読めてない発言。

でも、彼女の明るい空気は場を暖かくしてくれる。


そんな彼女を隣のお姉ちゃんがそっと座らせた。

おばばはそれを微笑ましいものを見るように目を優しく細める。



「・・・長い間は無理さね。でも少しの間なら好きにするといいさ。」


「やった!! お兄ちゃん、ミリアお姉ちゃん、今日スイナの家泊まろ!」



ーーッブ!



あぶね、紅茶吹き出しそうになった。


いやいや、流石に恩があるとはいえアウェーだし、それは申し訳ない(てか気まずい)。それにお姉ちゃんだって嫌だろう。


そう思って姉の方に視線を送ったが、特に何とも思っていないのか真顔で紅茶を飲んでいる。



「・・・別にいいよ。・・・そもそもこの村に宿みたいなものはないからどのみち招待しようと思ってた。」



あー、そうなんだ。

確かに村の規模はそこまで大きくなさそうだし、旅人とかが来ないなら必要ないし、建てる必要もないのか。


んー、別に俺は野宿でもいいんだけど流石にミリアはちゃんとした休息が欲しいだろう。



「じゃあミリアはお邪魔させて貰いなよ。俺は外で適当に時間潰すから。」


「あんたもお邪魔させて貰うといいさ。・・・むしろこれは条件さね、そうでなければ滞在は許可できない。」



少し圧をかけられる。

なるほど、要は監視か、、、。


無駄に力がありそうな人物を野放しにしたら村の住人も気持ちよく眠れない、ってところか。



「ちなみに家って誰が住んでるの?」


「・・・私とスイナの2人。他の兄妹は村から出て行ってるから今は2人で住んでる。」



なるほどなるほど、つまりこのまま泊まることになったら美少女3人、汚物1人っていう天の怒りを買いそうな展開に陥るのか、、、。


やだなぁ、俺ってどちらかと言うと百合派なんだよ。

間に挟まる男は死ねばいい。



「・・・玄関前じゃダメ?」


「・・・・・さすがに外聞が悪い。」



うん、外に人を置いとくのは恥ずかしいよね。

しかも人間だから尚更外聞が悪いのかな。



「観念しなさいな、全く、ワイバーンを1人で倒せる男が何を気にしてんのさ。」


「・・・・・えぇ、気にするでしょ。」



そう呻くとおばばは面白そうに声を押し殺しながら笑う。



「えぇ、変なところ気にしますね。散々私と野宿したじゃないですか。」


「片方は見張りしてただろ。」


「・・・お兄ちゃん、一緒嫌なの?」



いつの間にか隣にきていたスイナに上目遣いで袖を引かれた。

寂しそうな顔に罪悪感が芽生える。



「い、いや、ほら色々問題があるだろ。」


「・・・? もんだいって何?」


「・・・・・・・・・なんでもないです。」



一番答えづらいことを言われてしまった。

ダメか、これ以上ごねるとやましい事考えてるみたいだし諦めよう。


うん、もちろん手を出す気もないし平気か。



「カカカッ! ワイバーンを単騎で倒せる癖に変な所で怖気付くさね! 運がいいって思いながら堂々と邪魔させて貰えばいいじゃないか。」


「ガン見したら失礼じゃん。」


「何を見るのさ、よくわかんないやつさね。ほらさっさと行きな、森歩きで疲れたろう、スイナを休ませてやるといいさ。」



そう言って追い出されたので俺たちは族長宅を後にして、そのままスイ、スイナ宅へと向かったのだった。




ーー




少し歩いた先にある、村の郊外に存在する一軒家

他の家と同じレンガ造りの質素な家ではあるが、何回か増築されてる形跡が見られ、他の民家より大きめ。



「ついたよ!」



俺とミリアが泊まってくれることがよほど嬉しいのかルンルンで家を案内してくれるスイナ。


中に入るとレンガは綺麗に磨かれ、ツルツルになっていた。

壁紙とかもなく、泥色が剥き出しで中は少し暗く感じたがスイが壁に備え付けてあった板に触れると魔法陣が輝き、天井に光球が現れる。


眩しすぎない優しい光で周囲を照らされると、部屋の全貌がよくわかる。


家具は多くもなくてシンプルでリビングらしき場所にテーブル一つと椅子4脚あり、所々に花が飾ってあるのと、乾燥した葉っぱが瓶に詰められたりしていた。



「・・・狭いけど、好きに座って。」



他に座れるところもないのでリビングの椅子に適当に座る。

俺の横にミリアが腰掛け、対面にスイナがちょこんと椅子に飛び乗った。



「・・・お茶淹れてくる。」


「あ、手伝いますよ。」


「・・・平気、スイナと遊んであげて。」



スイはそう言って有無を言わさずキッチンに消えていく。

残された俺たちは当然やることもないのでそわそわするしかやる事がない。何故か、向かいのスイナはニコニコしてて無言だし。



「・・・なんで無言なの?」


「ミリアお姉ちゃんとお兄ちゃん、並んでソワソワしてて可愛いなーって。」


「そりゃあ、初めてお邪魔させてもらってるわけだからな。」



流石に知らない人の家にお邪魔させてもらってるわけだからね。

このアウェーな感覚は苦手だ。



「まぁいいや! 何して遊ぶ!?」



スイナが身を乗り出して目をキラキラさせている。

森で何回かおもちゃ出してあげた時楽しそうだったもんね。



「んー、ジェ◯ガかUNoか、、、確かすごろくもあったなー。」



適当にボックスを取り出して画面をスクロールしていく。

あ、そういえばワイバーンの死骸とかボックスに入れといたけど謎肉って表記されてる。

確かに異世界の生き物だし登録されてるわけないわな。



「どっちも初めて聞きましたね。どれが面白いのですか?」


「どっちも面白いけどジェ◯ガが一番説明しやすいかな、、、。よし、ジェ◯ガにしよう。」



そうと決めたらジェ◯ガの文字をタップして長細い箱を取り出し机の上に置き、そのまま箱を上に引き上げ中の積み木を取り出した。



「おぉー! 木が積まれてる!」


「・・・すごい綺麗にカットされてますね、同じ形状を狂いも無く作れてる。」



そっちかい。

確かにバラツキとかなく綺麗にカットされてるね。

でも確かジェ◯ガって少し形状違うんじゃなかったかな?



「ま、とりあえず説明するわ。積んである木を順番に引き抜いて上に積んでいく、そんで倒した人が負けって感じ。」


「一番上をとってはダメな感じですか?」


「そ、一番上取ったら意味ないからね。」



あとはやってけばわかるだろ。

そんなに難しいルールでもないし長引くゲームでもないしね。




ーー




ーーガシャンッ!



「ああっ!?」


「「・・・。」」



本日4回目のタワーが倒れる。

なんか走馬灯みたいに景色がゆっくりに見えたな。


ちなみに倒したのはミリアで4回中4回全部ミリアしか倒していない。

そういえばこいつ知恵の輪の簡単も解けなかったくらいだし結構不器用なのかな。


そんなに抜いてないのにタワーを倒したのは1回目だけで2回目からそこそこ持つようになったけどまだ難しい段階までバランス悪くはなっていない。だって俺とスイナは余裕だもん、、、。


最初は俺とスイナも笑ってたけど4回目だと若干気まずくなってきた。



「つ、次こそは!!」


「ミリアお姉ちゃん。そーっと取るんだよ、少し固くてもゆっくり抜くと取れたりするからね。」


「も、もちろんわかってますよ!」


「・・・見極めが下手なのと思い切りが良すぎるところが問題なんだけどな。」



もうどっちが遊んであげてんだよ。

ほら見ろ、引き抜いてるミリアよりスイナの方がドキドキしてそうなのはどう言うこと?


ちなみにスイはお茶を出したあと、夕飯を用意してくれるらしく、再びキッチンへと戻っていた。

最初の2回くらいは倒れた音でこちらの様子を見にきていたが今は慣れたのか特に気にしていないようだ。



「「ああっ!?」」



・・・ダメだこいつ、、、。



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