喚ばれた剣聖ー40
もう少し崖を離れて岩場を歩く。
すると、だいぶ流れの緩い足だけを浸かるのにピッタリの温泉があった。
疲れて疲労困憊な今、体は休息を欲していたため、そこに並んで腰掛ける。
「はふぅ~、温泉はこのくらいが丁度いいですね。あの量はもう過剰です。」
「景色は壮大だったけど湿度と気温が高すぎて温かい温泉が不快だったからな。ちゃんと風に当たれてのんびりできるこのくらいが良いってのはわかる。」
足湯に浸かってる時に適しているお供って何かなーと思いながら、適当にボックスをスクロールしていると良いものを見つける。
「・・・っお、久し振りにこういうのも良いな。」
文字をタップしてキンキンに冷えたラムネ瓶を4つ取り出しす。
俺はそれを一回おでこに当てていると、他の三人はラムネ瓶を見上げたり回したり覗き込んだしていた(噴き出るぞ?)。
「・・・なんですこれ?」
「・・・飲み物?」
説明しようか考え、見せたほうが早いかと思い、蓋についてるなんか押し出すやつを片手で押さえてぐっと力を入れる。
ーープシュッ
小気味いい音がしてビー玉が中に沈んで飲めるようになる。口に含むとキンキンに冷えた清涼感のある炭酸が口の中で踊った。
「いつもながら久しぶりに飲むとうまいんだよな。」
熱が冷めていく感覚を楽しんでいると、隣でミリアが真似をしながら開けようとググって力を込めた後、無表情のままこちらに瓶を渡してきた。
「空きませんでした。」
「諦めるなよ、、、。」
仕方ない、と同じ様にラムネを開けて返すと物怖じすること無く飲み始める。
ミリアにはコーラも飲ませたことがあるので炭酸に抵抗が少ないとは思うが、もう少し物怖じした方が長生きできるぞ?
「・・・甘くてシュワシュワするのは同じでもコーラと全然味が違いますね。」
似てるのはどちらかと言うとコーラと言うよりサイダーだしね。
他の二人も真似するようにラムネを開ける。
「・・・わ、ガラス玉が沈んだ。」
「あばばばばばばっ!」
特殊な開け方に驚いた声を上げ、ハイルは瓶をクルクルさせていたお陰で見事に炭酸が噴き出し、慌てて押さえた手をビシャビシャにさせている。
「おいしいですけど少しずつしかでてこないです。」
「風情ってやつだよ。まったりできるならちびちび飲むくらいで丁度いいみたいな?」
「ちょっと何言ってるか分からない。」
「ーーっぴゃ!」
ラムネの良さを語っていると、隣から可愛い悲鳴が聞こえてきて、2人してそちらを見る。
スイはラムネから口を離して顔を真っ赤にしながら口を押さえていた。
「・・・なんか可愛い悲鳴が聞こえた。」
「今のいいですね。スイ、もう一回お願いします。」
「・・・い、嫌。・・・うぅ、なんかピリッとした。」
あ、そっかスイは炭酸初めてだったね。
もう一度口をつけてまた顔をしかめ、俺に手渡してくる。
「いらんの?」
「・・・いい。」
ありゃ、スイは炭酸無理か。
慣れないときついのは確かにわかる。だけどミリアは美味しそうにコーラ飲んでたよな。やっぱ食い意地かな?
「ハイルは?」
「ぴ、ピリピリくるけど美味しいかな。なんか癖になる感じがする。」
お、ハイルはいける口か。
同郷の味に共感してもらえると嬉しく感じる。
「そんでエルフの里にはどうやって行くんだ?」
まったりと落ち着いてきた所で、まだどこへ向かえばいいのかすら分から無いと思ったので、ハイルに聞いてみると歯切れ悪そうになる。
「・・・そ、それが、エルフ族は里が見つからないように追い出した人物に里の場所に関する記憶を消すんだ。だから、ぼ、僕も里の場所は覚えてない。」
俺はその言葉に軽く驚く。
随分と排他的な種族だな。
・・・んー、自然と共生する一族ね。
ハイルの話から精霊と共にあるみたいだし資源とかも困ることは少ないのか? 実りは多く取れるし外の情報を入手する手段もあるのかもしれない。
でなければ発展は止まるし、文明に取り残される。魔王軍だって黙ってないだろうし、いろいろ謎が深そうだ。
「でも、戻ろうとしてたんなら何か考えはあるんだろ?」
もし手がなければ戻ろうなんて思わないだろうし、素直に里から追い出されたりしないはず。俺だったら死に物狂いで食らいつくからな。
「う、うん、僕は一族から追い出されたって言ったよね? それは精霊の力を使えないからなんだ。子供の頃に加護は受けれたんだけど、声も聞こえないし知覚もできない。そういう子は何百年に一度産まれるみたいなんだけど、、、。」
歯切れ悪く、ハイルは一度口ごもった。
彼としては追い出されたきっかけだろうし話しにくいのもあると思う、きっと嫌な記憶も多いのだろう。
俺は特に急かすこともなく、続きを待った。
「そ、そういう子は『喰魔』って言われ、生きるための相棒である精霊を体内で喰い殺し、代わりに恐るべき身体能力を得るとされているんだ。」
「・・・つまり、お前の素早さは精霊を喰って得られたとでも?」
「・・・うん、そういう事にされてる。正直そんな事をした覚えなんて無いんだ。大人たちに勝手に言われて、閉じ込められてた。」
・・・閉じ込められてた?
昔から国でも古い風習とかで忌み子や呪いという文化があった。それは対処のできない未知の現象に対して藁にもすがる思いで始まることが多い。
ーーギリッ
ハイルから見えない位置で手を握りしめ、思わず血が滲む。
生まれの謂れなき迫害。
何もしておらず、ただそう産まれただけで理不尽に虐げられる。ただの迷信や思い込みで何も原因を考えることもせずに排斥しようと動く馬鹿な大人のせいで理不尽な目に合う。
吐き気がする。
・・・落ち着こう、ここで俺の感情を漏らしても仕方がない。それをぶつけるのはこいつでは絶対に無いからな。
「ま、まぁ、それはいいんだけど。それで喰魔は精霊を喰らうから森から捨てられる。もし森に帰ってくるようなら命を狙われるはずなんだ。また喰われるってね、でもそこが狙い目だと僕は思う。」
「まさか、自分を囮にして森に入り、エルフの襲撃を待つと?」
「そ、そう。どこの森に里があるかは分からないから手当たり次第にはなっちゃうけど里がある森に入れば必然的に彼等は現れる。もし返り討ちに出来れば交渉くらいはできるはずなんだ。」
「・・・危険すぎる。」
スイの意見に同意だな。
そこまで敵意を向けられるなら送られてくる兵士は精鋭の可能性が高い。返り討ちって簡単には言うが相手を殺さずに無力化するには更に高い実力が求められる。そして俺はコイツにそこ迄の実力は見出せていなかった。
・・・こいつ、死ぬ気だったな?
「・・・っち、まぁいい。返り討ちには手を貸すが、お前にも力はつけてもらうぞ?」
「え、そ、それは助かるけど。」
よし、言ったな?
言質は取ったしめちゃくちゃなしごき方してやる。そんでそのエルフの里のやつらにはコイツ自身で一矢報いてもらうか。じゃないと腹の虫が治まらん。
「あとじゃあもう一つ、エルフの里が無くなるのはなんでだ?」
もう一つ気になっていたのはそこだ。
てかこいつが里を守りたくなる理由もわからないけど無くなるっていうのはどこで得て、どこで確信を持ったのかは気になる。
そう思って聞くと彼は視線を泳がせた。
「・・・じ、実は、聞いたのはエルフ族で『歌詠み』って呼ばれる女の子なんだ。」
「へ? 疎まれていたのでは?」
「そ、そうなんだけど、彼女はよく牢屋に遊びに来てくれて話し相手になったりしてくれていたんだ。彼女は滅多に夢を見ないらしいんだけど、見た夢は必ず現実になってしまうんだって。」
ハイルは信憑性が無いよねって困っているが、俺は口元に手を当てて考える。
実際に予知夢というのは元の世界でも実在した。
未来として進んだ自分が過去にした選択を悔いて強く願った際に過去の自分に伝わって未来を夢として表すとか聞いたことがある。
もしそれに精霊の加護や導きが加われば更に予知は強固になるのかもしれない。決して一笑に付す事は出来なかった。
「その子はなんて?」
「み、見たのは燃える森に巨大な穴。そして黒黒しい体躯を持った魔物とも違う生物が里を襲う光景らしい。」
「時期は分かるのか?」
「・・・う、うん、2ヶ月後の『実りの日』に起こるって言ってた。」
実りの日というのは分からないが随分と期日が的確だ。予知夢は見ても起こる出来事だけ分かり、それがいつ起こるかは分からないものが多い。明日かもしれないし数年後の可能性もある、それを的確に予知するとはね。
「・・・2ヶ月か、それまでに森を巡って里を見つけないといけないとなると、、、だいぶ忙しくなるな。」
「・・・でも他に手掛かりがない。近くの村とか集落にエルフ族の痕跡でも聞き出せれば早く見つかるかも知れないけど。」
「そーだな、先ずは物資も調達しないとだし、どこかの村か街にでも寄るとしますか。ここから一番近いのってどこだ?」
「・・・パルパンクを除外するとして、『ジャユ族』が統治する『ドリム地下街』が近い。」
・・・・・また地下かよ!?
せっかく地上に戻れたのにまた下に行くとかテンションだだ下がりだよ。ここら辺は温泉の関係もあって山が多い。ただそれのどれも草木はあまり生えておらずどちらかというと岩肌が8割以上を占めていた。
割れた大地も多いし、確かに地上よりは環境を利用して地下とかに街作ったほうが効率的なのかもね。
「しゃーねぇ、ドリム地下街とやらに行ってみるか。」
「今度こそゆっくり休みたいですね。」
ミリアの切実な願いに心の中で同意しながら動き出す準備を始める。馬車もないので歩きになるが、無い物ねだりをしても仕方ないので諦めて歩き始めた、、、。
・・・車欲しい。
ーーー
高層ビルの一室。
大きな円卓に7つの椅子が並べられた会議室のような部屋で一つの席を除いた6人が座っていた。
「ーーというわけで〜、あの人はいま〜、異世界にいるみたいですよ〜?」
その中の1席に腰掛けたミルルは相変わらずの間延びした話し方でそう締めくくる。
それに対して一番の上座に座る、一人の青年が楽しそうに笑った。
「へぇー、本当に異世界にいたんだ。いやー、あまりに痕跡が無いからこの世界にはいないんじゃないかと思ったけど、本当にそんな目に合っているとは予想できなかったなー。」
『剣帝』 ユース・ロイアミナ
透き通るような銀髪に金色と碧色が混ざった瞳を持ち、オフィスカジュアルな装いをしている。
軽い口調と崩れた態度に親しみを持ちやすいが、『頂きに座す者』と呼ばれる程の圧倒的な実力を兼ね備えている。
「・・・情けない、強制召喚に巻き込まれるとは。いくら制限があるとは言え過去の小童であれば引っかかるものでもあるまい。」
「ガハハッ! そう言ってやるな玄一、いくら俺達といえど、神格存在が関わっている召喚に対処するのは難しいだろう。それこそ、お前や剣帝様、それにルミアくらいか?」
「はい! 召喚程度に捉えられなどしません!」
落胆の声を漏らすのは、
『剣老』 室間 玄一郎
落ち着いた色合いの着物と袴を着こなし、白髪と伸ばしたヒゲがよく似合っている。齢は今年で125らしいが佇まいから年齢を感じさせない。
そしてフォローするのが剣帝様に次いで七剣に長く属する
『剣王』 グラム・ジャッカルテ
燃えるような赤い髪に褐色の肌、至る所についた傷は彼が幾度となく修羅場を乗り越えてきたことを表し、その鋭い眼光と不敵な笑みは、自分の実力への確かな自信を裏付けていた。
ちなみに名前を出されたのは
『剣閃』 白薙 ルミア
この前も遊びに(邪魔をしに)来て、すぐさま帰ったりする奔放さだが、その明るさとハキハキした様子はこの場においてあまりに助かる。ちなみに彼女がこの中で一番新参だ。
「いいじゃねぇか、生きてんならよ。にしても異世界か、こっちの歯応えがある奴らは固まってきちまったし、俺も行ってみてぇな。」
「いやいや、流石に君まで行かれたらこっちの手が回らなくなるから駄目だよ?」
「・・・っち、ずりぃなあいつ。」
特に心配した様子もないのが
『剣鬼』 白狼
灰色の着物に背負うのは狼の刺繍。
ギラつく赤い目とかきあげられた長い白髪が他者を威圧する。
先生を除いた6名の現七剣がこの場に集結していた。
「にしても、限定的な簡易召喚とは面白いね。制限があるとは言え僕達も一時的に異世界に渡れるとは、、、。余りに規格外だけど、高位存在が関わってるだろうし驚くことでもないか。」
「だが、儂らも手暇ではないですぞ? あやつも分かっておろうが、手軽に呼び出されては敵いません。というより違法だ。」
「そうだね、でもそこら辺は考えがある。君たちにも説明するけど、先ずは律兎に話さないとかな? 彼も性能を確かめたいだろうし、近々またミルルが呼ばれると思うからその時に次は僕を呼ぶように伝えてくれる?」
長い前髪から覗く目は優しげにこちらを見つめ、その目はすべてを見透かしているかのよう。剣帝は既に考えてあったかのようににこやかに返す。
「わかりましたけど〜。次も私が呼ばれるかわかりませんよ〜?」
「話を聞いた感じ、彼が一番強く思い浮かべた人物を呼び出すと思うんだ。恐らく彼もそれに気づいているだろうから、それなら一度呼べた実績のあるキミを呼び出すと思うよ。だから、準備はしといてね、多分もうそろそろ呼ばれるから。」
「・・・え?」
一番強く思い浮かべたと言われ、少し嬉しくなっているとよくわからないことを言われた。
どうして彼が呼ばれるかどうかが分かるのだろう?
私が疑問に感じていることを彼は分かっているかのように頷く。
「女神様の召喚陣とやらは異界と現界を穴として繋いで引っ張ってるからね。ただ、律兎の指輪による簡易召喚は点と点による移動になる。コールされた際に向こうに存在する霊子を集めて一時的に仮初めの肉体が作られるんだ。そこに君の意識を落として現界させるって手段だと思うよ。」
「つまり〜、私の肉体は〜、ここにあるってことですか〜?」
「そうだね、たぶん前の召喚の時は薄くなるように消えたんじゃない? この前の召喚の時は君は軍部にいたし、セキュリティも問題はなかったけど、今度からは体だけ残っちゃうから信頼できる人に見ててもらったほうがいいかも。」
・・・どうしてこの人は現場にいないのにここまでのことが分かるのだろう?
相変わらず付いていくのが大変な話し方に頭を抱えそうになるのを我慢しながら話に耳を傾ける。
「ちなみに時間がどうしてわかるかと言えば霊子が一番活発になるのが逢魔が刻だからだね。その時が一番世界の境界が曖昧になりやすくて異次元の力が渡りやすくもなるんだ。ま、向こうの世界も同じかどうかは流石に仮定の話になるけど。」
「・・・そ~ですか〜。」
「あ、なんで逢魔が刻に霊子が活発になるのか知りたい?」
「じゅーぶん、頭が痛いので〜、ノーセンキューです〜。」
全く知らないことを詰め込まれても一切頭に入らないし、このままいくと終わらなくなるので早めに中断しておかないと他の議題が進まなくなってしまう。
他の面々も下手に会話に入ると長引くのが分かっているため静かに視線を逸らしていた。
「・・・そっか、律兎ならもう少し聞いてくれるのに、、、。」
寂しそうにシュンとなる剣帝の姿は罪悪感を誘うが、本当は何一つ気にしてないのは周知の事実なので無視する。実際に彼は次の瞬間にはケロリといつも通りに笑顔を浮かべだした。
「・・・つっても今回の召喚は事故みたいなもんだろ? あいつだって俺達を簡単に喚ぶとは思えねぇな。なんせ俺はもし召喚されたらぶん殴るし。」
「おいおい、喚ばれたなら助けてやれよ。」
「あぁ? テメェのケツくらいテメェで拭くのが俺等だろうが、ペーペー時代の軟弱者じゃあるまいし、実力が足りなくて助けてくれ〜、だなんて情ねぇったらありゃしねぇ。」
「軟弱者って誰のことですかね〜?」
机に足を投げ出し、吐き捨てる剣鬼を剣王が嗜めるが、火に油だったようで剣鬼は更に口が悪くなった。
その一端に自分を馬鹿にする文言が入っていたため、非難の視線を向ける。
「おー? テメェで殴れねぇから相手の力を利用するしかない軟弱者に軟弱者って言って何が悪いんだ?」
「何も考えずに突っ込んで壊すだけの脳足らずは〜、跳ね返す技量すら理解できないのですね〜? 剣を棒みたいにブンブン振り回すだけの子供みたいな〜、戦いしか出来ませんものね〜?」
「・・・テメェ表に出ろ。今度こそ引導を渡してやる。」
「いいですよ〜、いい加減決着つけましょうか〜。」
「お、落ち着け2人とも! 何処に行くのだ!?」
ルミアの言葉を無視しながら、割と本気の殺気をぶつけ合って立ち上がる。
お互いに嘲る様な笑みを浮かべながら、剣の柄に手をかけた瞬間、、、
ーーズッ
飲み込まれるような重い重音と、次には私と剣鬼の2人のみ芯からの絶対な威圧によって跪ずかされる。
「・・・ふたりとも、喧嘩するのはいいけど今は会議の途中だよ? 無駄に血を流したいなら僕が相手をしてあげようか。」
「・・・・・・・・・も、申し訳、ございま、せん。」
「・・・・・・っつ! くっそ! わ、悪かったよ、、、。」
立ち上がることも顔を上げることもできずに冷や汗を流し続ける。必死に歯を食いしばって意識を保ち、謝罪の言葉を口にすると、フッと押しつぶすような殺気が霧散した。
「うん、白狼の言うこともわかるよ。彼だって僕が実力を認め、七剣の称号を与えた一人だ。ある程度の事柄には対処してくれないと困る。ただ、彼は今一人で世界と相対しているんだ、手が足りなくこともあるはずだし、手の届かないところくらいは手伝ってあげてもいいと思うよ。」
「・・・わかったよ。」
若干拗ねたように返事しながら剣鬼は椅子に座り直す。いくら彼であっても剣帝に対して歯向かうことはない。戦いは好きでも圧倒的な負け戦は嫌いだった。
「・・・話が逸れたね。ま、簡単にまとめると喚ばれたら力を貸してあげてよ。君達は彼に貸しもあるだろうけど借りだってあるはずだ。持ちつ持たれつ、志を共にする仲間だし、、、恐らく僕らの負債も向こうにある。」
その言葉に全員が剣帝を見る。
「まさか、儂らが追い詰め、行方不明となった犯罪者が向こうにいると?」
「だとしたら向こうは魔境なんてもんじゃねぞ。」
そんな馬鹿なと思うが、事実不自然な消え方をした犯罪者は何名かいた。その全員が特級の隔離指定犯罪者となる。もし、生まれ変わり、向こうで生きているとしたら、、、。
「・・・ムカつきますね〜。」
「同意だな、好き勝手やった結果に追い詰められた屑共が意地汚くまだ生き残ってやがるとか、真面目に生きてる連中に顔を合わせられねぇ。」
不快感をあらわにしながら喧嘩はするが何だかんだ考えは合う2人。ぶっちゃけこの2人が喧嘩をするのは何時ものことだが、最近はそれを仲裁する律兎がいないのでよく決闘騒ぎになっていた。
他の連中はいつものことかと止めないし、剣帝も別にここでない所で喧嘩するのであれば咎めることもない。
「じゃあ話はまとまったね、詳細はまた後で詰めるけど今は他のことを話そっか。・・・それじゃ、終焉コードB6が近々ーーー」
話し合いは次の議題に移って異世界の話は終わる。
異世界に興味はあってもこの世界も綱渡りではあるのでそこまで気にしてもいられないのだ。
夕焼けは落ち、辺りは暗闇に包まれる。
そのタイミンで、会議はようやく終わりを迎えるのであった。




