ライダークとマック
———マック・リナラン視点。
サンタンクとの攻防の末、彼らのペアが退いて行った後すぐに横槍に襲われた。
オトロゴンの激灼拳による波動砲の衝撃で怯んでいた僕の元に、ダッシュで駆け込んで殴りかかって来たのはイヤーな相手だった。
「よおマック!」
「げえっ! ライダーク!」
「らしくねぇ声だな!」
ライダークが走って殴ってきたそれを、手に青い炎を宿して受け止める。炎がヤツの手に燃え移る寸前に、ヤツは僕の腰に膝蹴りを与えてきた。痛みでライダークの手を離してしまい、結果横頬を殴りつけられた。
「イッタ……ぐぅ!」
「ぜりゃッ!」
さらに膝蹴りしてきたのを、足を追って太ももでガードする。さっき殴って来た手とは別の手で、横殴りに殴って来た拳を青い炎で受け止めようとして———先に向こうから引っ込められた。
返しに体を回転させ、蹴りをヤツの腹に突き刺そうとするも、ヤツは飛び退いて躱してきた。
距離が生まれた瞬間に、僕の方へ来させないように青い炎で地面に線を引いて設置する。
「チッ! お前の相方は確か……」
「今この場にはいねぇぞ! 狙いを変えようったってムダだ!」
狙いがバレバレだったか。
と、視界の端でデットが暴れ回っているのが見えた。次々にワッペンを壊していき、脱落を出している。
ライダークと睨み合いから視線を外して、そちらを見ようとしたが、それを見てライダークが足元の炎を無視して突っ込んで来た。
「ッ! ヤケか!」
炎を無視して近づいて来たので、慌てて距離を取る。
休まず拳を突き出して来るので、応戦しつつ、視線だけで相方のダッズンに指示を出す。
ダッズンは頷くと、さっきサンタンクをビビらせた巨大な炎の幻影をライダークの目の前に出現させた。
「うおおお!」
驚いて飛び退くライダークを見て、僕は声を上げて指示を送る。
「ダッズン! 色は変えられるか! 僕の色にできる⁉︎」
「ラクショー!」
「だったらやってくれ!」
ダッズンの幻の炎は僕のと同じ青色に変わり、そこへ僕は散り散りに四散させた炎を撒き散らした。
本物と幻の融合。目に見える大きな青い炎は幻だが、その中には熱を持つ僕の炎を潜ませた。
炎は僕とライダークの間を遮っている。
「———ッ!」
だがそれを突っ切ってライダークが向かって来た。
こちらが身構える暇もなかった。本物の炎が当たって肩や腰に燃え移るのも構わずに、ライダークは向かって来た。拳は僕の顔を捉えている。
「こ、怖いものなしか! チキショオオオオ!」