序章
あの悲しい時代から時が流れ、文明も進んだ頃、運命はまだ動き出す。
前作の続きで転生ものになります。
あのままだとあまりに救いがないので、今度はハッピーエンドを目指します。
序章
それは時に消えた伝説。
遠い時の向こうで起きた悲恋。
歴史の渦に飲み込まれ、引き裂かれた恋人たち。
だれもその真実を伝えなくても、それは間違いなく真実で、過去に起こった現実。
「約束するよ、瑠稿。何度、生まれ変わっても、ぼくは君を捜す。そうして今生では叶わなかった夢を果たすから。何度死んでもぼくらは生まれ変わって出逢うから」
それは果たせなかった夢を誓う永遠の言の葉。
果たせなかった夢の欠片が、時の向こうで煌めいている。
時は刻む。
幾多の夢を願いを飲み込んで時を刻む。
そうして何度、繰り返されるのだろうか。
「悲劇」は。
何度出逢って何引き裂かれて、それでも願いは果てることがない。
その度に誓われる永遠の言の葉。
再会を誓う言葉。
望みは果たされることがない。
愛し合うことが罪だなんて言わせない。
いつかきっとこの夢を果たしてみせる。
魂に刻まれた誓い。
そうして時の輪廻は再び運命の輪を回す。
「だからさあ、昔、この辺にすごくおっきなブラクっていうの? そういうのがあったんだって。でも、神の怒りに触れて一夜にして滅んだって」
「でもさ、それが本当ならいったいなにをして、神さまに怒られたのかな?」
「おまえに言われると父ちゃんや母ちゃんに怒られた、みたいな次元の話に聞こえるのはなんでかな? 変な奴ぅ。おまえって時々、変に大人びてるかと思うと、呆れるくらい子供なときもあるよな」
「そうかな」
「胡蝶。引っ越してきたばかりの街で遠くに行ってはダメよ?」
「平気だよぉ」
不思議な感覚。
懐かしい。
『ずっと待っていた』
不意にそんな言葉が浮かぶ。
そうしてその娘が微笑んだ。
当たり前の約束された光景のように。
「わたし、胡蝶っていうの。ねえ、あなたはだあれ?」
「ぼくは」
出逢いから繰り返す神話。
運命という名の愛が再び動きはじめる。
時の輪廻はこうして再びの出逢いを刻む。
動きはじめた歯車をだれもが知らぬままに時は過ぎていく。
掴めない夢のかけらがキラキラと煌めいている。
掌から、指の隙間からこぼれ落ちていく夢の欠片を掴み取ろうとする。
その儚さが現実なのかもしれなかった。
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