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私は夜の街並みをひたすら歩いていた。ネオンカラーがいやに眩しい。
腰に付けた日本刀を握り締める。布地で巻いてるとはいえ、バレたら銃刀法違反で逮捕だ。
周りには夜を満喫する下心丸出しの爺さんや、騒ぐ事しか知らない若者。上からの命令ではこの辺りに居るのだ。
吸血鬼が。人の血を吸いながら生き長らえる化物。ちょこちょこ血を吸うのではなくまさに死ぬ迄血を絞り抜くイメージだ。
私のスマホに電話が掛かってきた。人混みを避け路地裏に入り込む。
「もしもし、仕事中済まない」
葉月「いえ大丈夫です」
「葉月、緊急事態だ。吸血鬼専門の刑務所から四人脱獄した」
脱獄。あんなセキュリティの塊の監獄から逃げ出したというのか?檻には吸血鬼の力を吸い取る鉄を使用していたし、何より凄まじい巨大な刑務所だぞ。どうやって脱獄したと言うんだ。しかも四人。
ところ変わり刑務所では、檻が圧し曲げられてぐちゃぐちゃに千切られていた。
地下七階に入れられていた飢餓の吸血鬼。
名前は昴。
そばには弟の神威もいた。神威は疫病の吸血鬼である。
神威「ようやく出られるね兄さん。ずっとずっと待っていたよ」
昴「この世界を破壊しようか神威。クックックッ、アーハハッハ。見てご覧周りには血だらけの醜い死骸ばかり。これじゃあ駄目なんだ」
神威「駄目?もっと殺したいという事かい?」
兄さんは金髪碧眼の整った顔をぐしゃぐしゃに歪ませてあざ笑う。
昴「気持ちよくない。興奮しないんだよ。こんな程度ではね」