異世界転生は俺が止める!
息抜きにたまに書こうかなと!
諸君、今俺は歩道を歩いているわけだが、反対側の歩道を歩くあの高校生が見えるだろうか?毎日をつまらなそうに生き、何か変化を求めている。そんな目をしている。
あれはまずい!!!
え?何がまずいかって?彼の頭から紫色に光る糸が伸びているのがわかるだろうか?あれは、性格の悪い神様がこちらの世界の人間を異世界転生させるときに使う糸なんだ。あれに引っ張られた人間は、何らかの手段で異世界に飛ばされるんだ。
しかも、紫色の糸で飛ばされる異世界と言ったら、高難易度の世界だ。とてもじゃないが、「何か変化を」くらいの気持ちの人間が行ったら、確実に死ぬ!
ん?向こうからトラックが走ってくるぞ。そうか、神の野郎、車に轢かれる運命に引っ張る気だな!そうはさせるか!
ガードレールを飛び越え、反対の歩道へと素早く移動する。そして、高校生の後ろを適度な距離で尾行する。
さあ、いつでも引き留められるぞ。来いよ。来い来い来い来い来い来い来い来い!!!!
トラックが近づいてくる。
来た!
高校生の肩をこちらにギュッと寄せる。引き寄せられた高校生は?マークを頭に浮かべ、俺を見る。
ああ、変な奴だと思っているのだろう?ま、起こる事態を事前に防いでいるからな。どんなに俺の行為が素晴らしくても、これじゃあ称賛されないよな。残念。でもいいんだ。俺の役目は、君みたいなやつを神から守ることなんだから!!
一人でうんうんとうなずく。その時、近づいてきたトラックがこちらめがけて突っ込んでくる。
「は?」
そんな声が出た。まさか、俺が高校生を引き留めることを予測されていた?だから、トラック側を彼に引っ張ったのか!?
高校生は口を開けて固まっていた。
安心しろ。お前は俺が助ける!
高校生を安全な方向へと突き飛ばす。
よし。ミッションこんp
ガッシャーン。大きな音が響き、血が辺りに飛び散った。高校生は事態が呑み込めず、その血だまりに沈む男を眺めていた。
「は!?」
目を覚ますと、真っ暗な空間。ああ、ここか。
「まったく、またあなたか。」
見慣れた女神が座っていた。
「お前こそ、あんな嫌がらせはもうしない約束だろ?」
「ふん。人間のくせに偉そうに!そもそも、あの高校生とあなたは関係ないでしょ?なんで助けたのよ!?」
「俺が助けられる位置で転生を起こそうとしたお前が悪い。お前さてはかまってちゃんか?」
「殺すわよ?」
本気でにらまれた。怖い。
「とにかく、私の趣味の邪魔しないで。」
「悪趣味だなあ。お前の気分で、高難易度の異世界に転生させられる子たちがかわいそうだ。だから、止めてやる。」
「どうしても私の邪魔がしたいのね。いいわ。相手になってやるわよ。三つの異世界をクリアした凡人様!」
「お褒めにあずかり光栄です。必ずや、お前の異世界転生を止めてやる!」
これは、異世界転生を本気で阻止する男の話である。
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