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薄い氷の上の世界  作者: おすまん
第1部 【誕生編】 魔法学入門
9/30

4話

 "貼り終えたら下記の呪文を読もう。口頭でもいいし、黙読でもいい。しかしこの時手で魔法陣に触れていなければならない。尚触れている手は両手でも片手でも構わない。右手左手も問わない。"


「ほんとにふわふわしてるわね」


「そういえば魔法は科学じゃないから割と適当だって聞いたことあるよ...」


 ふーん、そういうことなのね。分からないけど分かったことにするわ。


 ところでその呪文とやらはどんなものなのか見てみる。


 「うーん、思ったよりも短いけれどこの文って何か意味あるのかしら」


 知らない言語が書いてある。その下に読み方も書いてあるから読めるけど何を言っているのか分からない。


 "なお、この呪文の言語は現在は消滅している古代言語だ。読み方は振ってあるから安心してほしい"


 特になにも書いてない。まあそれはどうでもいい。


 "魔法の素質があれば用意した透明なものは発色、発光するだろう。なければ何も起こらない。"


なるほど


 「レオンからやって!私は後でやるわ。」

 「...怖いの?」

 「レオンからやって!私は後でやるわ。」

 「...」


レオンはやれやれと魔法陣に左手をあて、右手で本を持ちながら呪文を黙読し始めた。


 しばらくして


 「どう...読み終わった...?」


 私は恐る恐る聞いてみた。


 「うん...でも...」


 なにも起こらない。

 うーん、良いのか悪いのか分からない。レオンが軍隊に行かないのなら戦争とか起きた時安心なんだけど。レオンの家は貧乏。戦争なんてしょっちゅう起こるものではないし軍隊に入って家を支えてあげられた未来の方が良かったかもしれない。後で聞いたのだけれどもこの時レオンも同じ気持ちだったらしい。


 「ま、まあ大丈夫よ!10歳まであと2年もあるもの!まだ分からないわ!」


 とりあえず励ましておいた。


 「今度は私ね。」


 レオンは左手を触れていたからなんとなく私は右手で触れてみた。右利きだから左手に持った本はかなり重く感じているけれども、いやぷるぷる震えているけれども。


 私も呪文を声に出すのは気が引けたから黙読。呪文は3行だ。


 1行読み終わった。

 2行目も完了。

 ラスト1行...

 ああああああ緊張する!


 そして読み終わったとき...


 何も怒らなかった。


 沈黙が新鮮に感じる。


 「どう...?」


 「どうもこうも見れば分かるでしょ。何も起こらないわよ。私も無能力者よ。」


私は魔法が無くて万歳の筈だけれど、なんか悔しい。というか軍隊に入るなんて決まりなかったらあったほうが良かったし。


 「あー!お兄ちゃんも居れば見てやったのに!どっか行っちゃったし!もうこれはお終い!」


 と言って右手を離そうとした瞬間


 パリーーーーーーーーーーン


 ガラスが割れた。


 「え!?何!?ビックリした...!」

「クリスタが窓を強く窓を押し過ぎたんじゃないの...?」

「そんな馬鹿力持ってないわよ!それあんたでしょ!」

「僕もそんな力持ってないよ...」


しかし、この話はこれまでだった。お兄ちゃんがママと血相を変えて帰ってきたから。


 「父さんが...父さんが死んだ...」

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