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薄い氷の上の世界  作者: おすまん
第1部 【誕生編】 魔法学入門
6/30

1話

 8歳である私、クリスタ・フィシャーはその日、いつもの様に1つ歳が上のお兄ちゃん、アーベルと、同学年で幼馴染の少年、レオン・クラインと共に遊ぶはずだった。


 それが訳あって計画変更。図書館で本を借りて、家に帰って3人で読むことになったのです。


 いや、ここまででもグダグダ感あるのだけど...


 「っっっっってなんで私達、不良に追いかけられてるんですか!!!!!」

 「なんでやろな?」


 真面目にやってきたからよ!...ではない。


 「あんたのせいでしょ!」


 そうお兄ちゃ...いやこのバカのせいだ。






 きっかけはそのバカが図書館帰りに近道しようと行ったことだった。


 「裏路地は危ないから行くなって先生が言ってたよ...。それに子供が裏路地に入ったら不良に絡まれるってお決まりが...」


 この灰色髪の少年がレオンだ。ほらレオンも反対していた。つまりバカの過失割合10:0。


 「いやいやレオンはマンガの読みすぎよ。子供に必要なのは果てしなき探究心。先生も言ってたでしょ!行くわよレオン!」


 これは...誰でしょうね。聞かなかった事にしましょう。歴史は書き換えるものです。


 そんな訳でバカに連れられ路地に入ると...


 はい出ました絵に書いたような不良たち!


 「おぉいあんたらぁ!ここはお前ら見たいなお子ちゃまが来るところじゃねえぜぇ!」

 「ここを通りたいなら通行料を払わないけんのだがぁ。センコーに教わらなかったか?ギャハハ!」

 「その今持ってる本、実は俺たちに金払わないと借りられないんだぜ?ヒャッハー」


 いや、せめて金の巻き上げ方くらい統一しろ。あとヒャッハーはモヒカン頭のやつが言え。なんで赤髪長髪のやつがヒャッハーって言ってモヒカンはギャハハなんだ。やり直し。


 とかなんとか思っているとレオンがそっと手を上げる。


 「いや...あのぉ...お金持ち歩いてないんですけど...」

 「確かに。それもそうね。」

 「俺もお金は持ち歩いてないな。」


 そう。私達は小学生。お金なんて持ってない。


 「ああ?金がないぃぃぃ?ヒャッハー」

 「だったらぁ...ギャハハ!」

 

 な、なに!?まさか臓器を売れとか!?それともまさかこの中で唯一女の子の私の身体で払えとか!?キャー!ロリコン!


 「しゃあねえ。行っていいぞ。」

 「「「ええ!?」」」」


 いいのかよ!


 「いや、おじさん達、金にしか興味ねーし。失せろ!シッシッ」


 危ない。一瞬いい人に見えてしまった。カスみたいなことしか言ってないからね、こいつ。


 「はぁ...なんだ...私の身体で払えとかそういうのじゃないのね!」

 「おい!顔を赤めるな!俺はロリコンじゃない!」

 「いや、ちょっと待てよ?」


 とここでお兄ちゃんが口を開く。


 「どうしたの?お兄ちゃん。」

 「そんなちまちま金取るなら働いた方が良くない?働きなよ。」

 「ちょっ!それを言うのは不味いって!」


 働きたくても働けない人だって居るんだよ!お兄ちゃん。きっとこの人達も全く自分のスキルを活かせず...あぁウルウルして来た。


 怒らせてはいないか。恐る恐る不良の顔を見ると


 「おいお前...今は不況で失業者が沢山いるって...知らないのかい?まぁお子ちゃまには"経済"は分からないかぁ...ギャハハ!」


 不味い。不良の声が震えている。もしかして:爆発間近?


 「でもおじさんも経済分かるの?」


 っておい!お兄ちゃんのバカ!確かに知的には見えないけどさぁ!


 「言うじゃないかガキ...ギャハハ!。じゃあ教えて野郎じゃないか大人の知識ってのを...」


 と言ってドヤ顔でお兄ちゃんの方を見てから手をパーにして言った


 「神の見えざる手...ギャハハ!」


 うーん、これは...


「学校の授業は寝てたし経済はよく分からないけど取り敢えずインパクトある言葉だったからなんとなく覚えてる...的な?」


 火に油を注ぐなバカ。


 「そうだなぁ...テメエには経済の前に大人への振る舞い方を教えてやらないとダメみたいだなぁ...」


 まずいまずいまずい


 「ほら謝ってお兄ちゃん!私も謝るから!謝って!」


 ったく、なんでこんなのが"兄"なのか


 私はバカの頭を握って必死に謝るよう促す。するとバカは分かった分かったと言って私を振り払ってから、手の平を上にし指を90度縦に曲げて...


 「ふーん、掛かってこいや。」


 コイツ...後で殴る...


 「野郎おおおおおお!」

 「舐めやがって!ギャハハ!」

 「ヒャッハー!」


 喧嘩を売られた不良たちは一斉に襲いかかる。


 バカはというと不良たちの拳が直撃して...と思ったらそれをヒュルリと交わしてヒャッハーさんの弁慶の泣き所を思いっきり蹴った。


 ってお兄ちゃん、運動神経良いとは思ってたけどそこまでだったの!?


 「いってえええええヒャッハーアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 「きさまあああああああああああ!」

 「ふっ。こんなもんか。」

 「こんなもんかじゃないわよ!逃げるわよ!」

 「はぁ!?」


 私はバカの襟元を掴み無理やり引っ張りながらその場から逃げ出す。バカも首が締まって観念したのか一緒に走り出した。それを追って待ってよと言ってレオンも走り出した。


 んで今に至るってわけ。


 「までやゴラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


 後ろで不良のおらついた声が聞こえる。ええ、被害者は貴方達です!


 「もおおおおお!覚えときなさいよ!」

 「あは...あはははははは!」


 なにわろってんねん


 「キャハ...キャハハハ!」


 あれ?さっきの笑い声は私?なんだかお兄ちゃんにつられて笑いが出てきてしまったみたい。


 「クスッ...!」


 レオンもね。


 私達は笑いながら薄暗い裏路地を一気に駆け抜ける。そしていつしか裏路地は抜けて表に出てきた。


 表に出てからすぐに後ろを確認した。不良3人ともぐったり倒れている。意外と持久力がない...。それに表には何故か今日は不良の天敵、警察が沢山いる。こっちまでは来れないだろう。


 私はバカなお兄ちゃんの頭を一発殴ってやってから帰路についた。

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