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僕たちはこの非情な世界で抗う  作者: MASANBO
戦争を始めたい者と拒む者
80/80

7人の小人はこうして生まれた3

 ドッグの攻撃を受けたのに関わらずアーノルドは平然としていた。この事実はドックはすぐに受け止めることはできない。攻撃を受けたにも関わらず無傷。これも受け入れ難いことであるがまだ受け入れられる。問題はさらに先回りされていたこと。それもドッグが気づかずにだ。


「なぜ?」

「私が強者で君が弱者であるからだ。それが理由だ。シンプルな回答。学者であるならば理解できる理だ」


 それでは理由になっていない。そう思うがそれを言ったところで望む回答は返ってこないだろう。ならば今やるべきことはそれではない。彼らを助けるための行動を行うことこそやるべきことだ。


 ドッグは立て続けに攻撃する。炎、雷、氷、水無数の槍がアーノルドに襲う。だが、そのどれも当たらないアーノルドの目の前でそれは儚く消え去る。


「これだ。君の実力によってもたらせる結果はこれなのだ。そう今のままでは…。これでは倒せん。しかし強くなれば私にも勝てるやもしれん。だからこそ強くなる機会は逃すべきでない」

「生命の尊厳を捨てるほどではない」

「尊厳?何を言っている?捨てる必要などない。その必要はまるでない。尊厳は己の中で確固たるものとして存在する。例え貴様が糞のような成れの果てになろうとも。確かに尊厳はある。身体を弄った如きでなくなる尊厳など取るに足らん」


「ドッグ!無事か!」


 声が聞こえる。聞き慣れた声だ。

「無事か!」

「バッシュフルですか。それに他のみんなも」


 駆けつけたのはドッグの親友と言えるもの達。彼らは同じ目的を持ってここまできた。


「全員が全員。抜け出したか……。やはり強い。それだけで君たちは素晴らしい」

「やかましいぞ!俺たちをこんな目に合わせやがってぶちころすぞ!」


 グランピーは頭の血管が切れるのではと疑ってしまうほど怒り狂っていた。


「……やかましいぞ。ガキの喧嘩では強いと評価しただけに過ぎないのだ。今の君たちはその程度。それで何ができる」


 直後7人の小人達による一斉攻撃がアーノルドに仕掛けられた。

 それらの攻撃が当たる前に、アーノルドの姿が消えた。


「!」

「どこにいきやが―――」


 言い終える前に蹴りが放たれる。

 一人ではない。全員に均等にだ。僅かに1秒もない間にやってのけた。


(い…いつの間に……)


 ドッグの頭は混乱する。自分達よりも早く動き、倒されたのか。このような状況であればそう思うのは普通だ。それがどれだけ日原津的であろうともだ。


「どうした?それで終わりとはあるまい。君たちの闘争はその程度ではない」

「みなさん。魔法を使いなさい!ありったけを!どの方向からも避けれぬほど!」


 ドッグの叫び声に応えるべく、全員魔法を行使する。炎、氷、雷の槍だけでなく、氷がガトリング銃の如き花垂れていく。

 しかしそれらの攻撃を行なってなお、アーノルドに命中することはない。さらに付け加えると、ご丁寧に二、三発ずつ腹を殴られていた。

 ただ殴られたのではない。一撃で胃液を出してしまうほどの強烈な一撃を二、三発だ。

 それだけで、7人とも動けなくなる。


「久しぶりの戦いだと思い、ウキウキしたのだが。これで終いか……やはりダメだな。お前は、お前らの現時点での力ではこれが限界だ」


 アーノルドはゆるりと歩きながら語る。


「我らは生命が必要とするのは、持たなけらばならないのは闘争力だ。それがなければ意味がない。人間の三大欲求。食欲、睡眠欲、性欲。これらを満たすものこそ必要というが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。それはどれほど科学が発展しようとも変えられない。結局我らは、生命は互い互い戦いあい、その過程でそれらを満たす。であるならば、その闘争力の源である暴力、力を手に入れようとすべきだ。君たちにはその資格がある。さぁ私と共にいこう」


 アーノルドは、そう言ってにこやかにドッグに手を伸ばす。それをドッグは汚いものを触るかのように弾く。


「断ります。そのような世界につれられるのはゴメンです」


 直後アーノルドの周りから一切隙間なく無数の魔法が襲いかかる。


「!……こ。これは!」

「Every physical phenomenon goes backwards(ありとあらゆる物理現象は逆行する)。先ほど私たちが放った魔法を逆行させました。今まで攻撃した魔法を!それを一気に寸分狂いなく同時に戻す。もはや逃れる隙間はない!」


 この攻撃ならばいかにアーノルドが素早い動きをしようとも交わすことはできない。当たらないように避ける隙間はないのだから。


「……」


 アーノルドは一方の方へ歩き出す。その方向にも無論魔法攻撃がある。しかし、おかしな点がある。

 放った魔法はそれぞれ確かに差異がある。しかしドッグはEvery physical phenomenon goes backwards(ありとあらゆる物理現象は逆行する)で、同時に、コンマ0秒も違わずに同時に逆行させた。それなのにどうだ?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そのせいで隙間ができてしまった。アーノルドが出られるぐらいの隙間が。


「……」

「なぜ?君の中はそれでいっぱいであろう。だが教えないよ?これはまだ教えない。だが、しかし一瞬だけだが、驚いたよ。私とてまともに食らえばタダでは済まない。銃で脳を打ち抜けば死ぬのは私も変わらん。……さて。これでしまいか?終いならば終わらせるとしよう。君たちには実験。いや我らガントのために働いてもらう」


 アーノルドはにこやかに告げるのを誰も止めることはできなかった。すでに勝負は決していたのだ。



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