彼は己の声を生きる者の心に響かせる
生物兵器:黄金の熱を宿す神鳥ガルダは猛威を振るい謙也たちを襲った。事実その影響を受けコールス島はかなりのダメージを負ってしまっている。何も知らずにくればここでなんにか戦争でもあったのではないかを思ってしまうほどだ。
しかしそのような状況ではあるが、あたりは決して張り詰めた雰囲気ではなく、温かい声で溢れていた。
「おいやったな!あの巨大な鳥、完全に凍りついてたじゃないか。てかその刀何!」
人志が謙也に嬉しそうに飛びつく。
「数珠丸恒次。俺の刀、天下五剣の一つですよ」
人志の疑問に素直に答える謙也、それに隣で聞いていたクリスティーネが話に参加してきた。
「これが先ほどのアレを氷付にした刀ということですか?すごい力ですね!」
キラキラとした目で謙也を讃えるが、クリスティーネ自身その可愛らしさとは裏腹に幾度となく敵を氷付けにしたりしており、その彼女に言われて嬉しいと思う反面なんとも言えない要素もあった。
「しかしすごかったじゃない謙也君、よくあれを倒せたわね」
リナもどうやら話に参加してきたようだ。そして謙也のところにエルクが近づいてきた。
「謙也君今回は見事だ」
素直な気持ちをエルクは謙也に伝えた。それは謙也にとってもかなり喜ばしいことであった。同時に気恥ずかしいものもあってか、うまく言葉にできずただお辞儀をするだけで終わってしまった。そこにオルソが入ってきた。
「水を差すようで悪いが、ひとまずセルゲイのところへ行くべきではないか?まだ本来の目的は果たしていないのだから」
一応申し訳なさそうにオルソはみんなにそう告げる。しかし彼の言い分はもっともであり、それが最優先事項であることも全員が理解していることである。だから彼を咎める者などいるはずもなく、全員彼の言い分に従い、セルゲイのところへ向かうのであった。
セルゲイはオルソ達全員無事であることを確認すると、ホッと一息をつき彼らに改めてお礼を言う。
「本当にありがとう、君たちがいなければと思うだけで恐ろしいよ」
「セルゲイ先生、お礼はまだ言う必要などありませんよ。あなたはまだやらねばならぬことがまだできていない。それができるまで私達の仕事は終わらないのですから」
エルクははっきりとそう告げる。それに対して、わかっているよとでも言いたげな意味を含めた、笑顔で彼らを見る。
「ええ、ええ、そうですな。私の使命はまだ果たせてませんからな。ではみなさん私は今から彼らの企みを公表します。ですので引き続きお願いしますぞ!」
「喜んで」
セルゲイの依頼に笑顔で引き受けるエルク、そしてそれは他のメンバーも一緒であった。エルク以外言葉にしていなが、全員セルゲイの依頼を引き受けることに異論を唱えることもなく、力強い目を持って彼を見つめた。
「では始めるとしよう」
ーーーー
それから大至急演説の準備が始まった。先ほどの騒動でトータルロックもかなりダメージが来ていたが、幸いにも直接攻撃された回数が極めて少なく。問題なく準備は進められた。
セルゲイは緊張した雰囲気を待とう。それはこれから己がしようとしていることについてなのか、それとも全世界に発信することについてなのか、はたまた両方なのかそれは彼にしかわからないだろう。ただわかるのは彼の目はしっかりとした良い目であることであった。
そしていよいよ準備ができたのであろう。静かにオルソが準備完了の合図を送る。そして一度深呼吸をするとセルゲイは目の前にあるマイクに口を近づけ、しかし目は終始前を見て、彼は語り始める。
「全世界が見ている前でこのように私1人が語る機会ができることにまず礼を述べたい。そしてまず私のことを知ってもらいたい。私はオルトゥーナ民主王国、議員セルゲイという者だ。これを聞く者は一体何が始まるのか疑問に思われている者もいるだろう。たかが一議員である私が何を述べようとするのかと疑問に思う者がいるだろう。しかし全世界、そしてわが愛する祖国、オルトゥーナ民主王国の国民に私は告げたいことがある。いや告げなければならない。そう今進行している全くもって正義に反すること行動についてだ。正義に反する行動とは、と聞かれれば君達は一体誰を思い浮かべるだろうか?その一つの答えとして先日オルトゥーナ民主王国、その首都ジブラスクの象徴とも言えるプリンスタワーで起こった悲劇を思い浮かべるものもいるだろう。そしてそれを行ったのは一体誰か?と、問われれば君たちはこう言って声を上げるだろう。バーレバイジャンが我らの祖国を貶めたのだと……しかし私はこの場ではっきりと述べようそれは間違いであると!証拠はあるのか?と、問われたとしても私は正面からYesと答えられる。それほど確信を持った考えである。では一体誰が正義に反する行動を取っているのか?と君達は問いかけるだろう。その問いに私はこう答えよう。正義に反する行動を取る者とは、ガント人民共和国であり、そして誠悲しいかぎりだが我らが祖国、オルトゥーナ民主王国なのである。これは紛れも無い事実なのだ!我らの国がプリンスタワーでの騒動を起こし、そしてバーレバイジャン、ブルーンの両国を争わせ喜んでいるのだ!そう我らが正義に反する行動をしてしまっているのである。証拠は後でお見せしよう。それで事実ははっきり分かるのだから……だが、いま言いたいことはそれだけでは無い。それは私の思いだ。私はこの事実を受けて恐ろしく悲しい思いだった。我らが正義に反する行動を取っていることに!我らは誇り高きオルトゥーナ民主王国に生きる者だというにだ。だが事実我々は一部のこの国にいる腐った己の利のみを考えている者のために正義に反する行動を取って国として見られるのである。私はそれが悲しのだ。悔しいのだ。そして腹立たしいのだ。君達はこの事実を聞いてどう思う!先ほど私は誇り高きオルトゥーナ民主王国で生きる者と言った。その思いは君達にもあるはずだ。それは人間、エルフ、オーク、リザードマン、獣人、ノール、竜人関わらず、我らの祖国で生きている者はそう考えていると私は思っている!だからこそ聞いて欲しい!これ以上我らが祖国を貶めるような行為をさせてはならない。私は胸を張って我が祖国、オルトゥーナ民主王国に生きる者として誇りを持ちたいのである。私の願いはただそれだけである。国民よそしてこれを聞いている全世界よ、協力してこの悪行を止めて欲しい!私が何か利益のために動くというわけでは無い。私がふさわしい人間では無いと思うなら排除してくれても結構なのだから。もう一度言う私の願いは、胸を張って我が祖国、オルトゥーナ民主王国に生きる者として誇りを持ちたいのである。私はただそれだけが願いなのです」
セルゲイは最後にただただ深くお辞儀をした。それは私の願いを叶えるためにどうかみんな力を貸してくれという思いを込めたものだ。だからその誠意から出たものなのだ。それは紛れもなく本物であった。
今回はだいぶセルゲイの話が長くなってしまいました。というか彼の話がほとんどとなってしまいました。当初は演説は地の文で説明するつもりでしたが、やはりこういうのはキャラクターに言わせた方がぐっとくるかと思いまして今回書かせてもらいました。まぁ亜その代わり結構考えさせられましたけどね……
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