ギュゲースの指輪
さてまだしばらくはオルソ視点でいきます。そして今回も新たな武器が…
セルゲイとの会話を終えてから二週間ほど時間が経過した。その間当然ながら何もしていないと言うわけではなく、オルソは自分の構築した情報網。そしてセルゲイの人脈などを使いに使いようやく七人の小人がいる隠れ家を突き止めることができた。
(意外と時間がかかったな……)
そう愚痴がこぼれそうになった。正直もう少し用に発見できると思っていただけに疲れが出てしまった。しかしここで休んでいるわけにもいかない。
そしてオルソが今いる場所こそ七人の小人がいる隠れ家である。その建物はオルトゥーナ首都ジブラスクから100㎞以上離れた場所にあった。あたりはなかなかのどかで天気の良い日にはのんびりと散歩がしたくなるほどだ。そしてその建物はその景観にあった作りであった。コンクリートや木を材料にした家々を同じ作りのような建物であった。しかしそれは当然他の家と違うとなればあまりにも目立つからであって、当然ながらその強度などは他の家とは比べ物にはならない。当然オルソもそのことはわかっている。
「さてと、それじゃあ忍び込みますか」
そう言いオルソはその建物の庭に入る。はたから見たら近所の家に泥棒が入っているように見えてしまうが、オルソは全く問題を感じなかった。
それは彼が持つ特殊な装備『ギュゲースの指輪』によるものであった。それは殺傷能力などは全くないが、自身の姿を透明にしたり、その人物その他の物の認識を阻害することができるのである。勿論透明であってもその人物の足跡などによる他の物はごまかせずそれにより感づかれたりする。認識阻害であればそれはそもそもないということを前提としてその周辺は活動する。なので認識を阻害している対象によって出るものもまたそれは認識が阻害される。ただ難点はすでに他の物に認識されていたならばそれは認識されてしまうという点だ。少々問題もあるが、うまく使いこなせばかなりの武器になるに間違いないものである。
そして現在オルソは認識阻害を使用している。そのためオルソという人物を知らない周辺住民は彼を全く存在しないものとして日々の生活をしている。彼が近所の住宅に忍び込んだところで誰も気づくことはない。
(さて、見たところ本当に何の変哲も無い建物だな……しかしロックは厳重になっていやがる。SI(Sharing Information)システムによる、電子ロックだし。下手にセキュリティに忍び込めばこの地域……いや国の秘密機関ともいうべきところに侵入者が現れたという情報が行き、さらに他の情報所持者による修復作業によって解除が阻止される可能性が極めて高い)
この場合、不正にアクセスするとおるその懸念通りになるため、正規の鍵を持って開けるのが最も安全だ。だからその鍵を奪うのが普通なのだが……
(俺には関係ないがな)
オルソは何らためらうことなく、そのシステムに侵入する。その動作は実に手馴れたものであった。そしてものの数分でその鍵を開けることに成功した。
これもギュゲースの指輪の効果によるものだ。不正にアクセスしたという認識を阻害しているのだ。そしてこの認識阻害の範囲は生き物は当然ながら、このようなシステムに対しても適用されてるのだ。
基本的に自分の存在を知られるわけにはいかない立場上このギューゲスの指輪はオルソにとってとても相性の良い武器なのだ。
「さてと」
オルソは静かに扉を開ける。もちろんその近くに誰もいないということも確認してだ。認識を阻害している以上、ほかの人間ならごまかせるが、ここの主なら扉は基本的に強く認識しているものだ。扉の鍵などが開いていたらすぐに気づくことだろう。そのように強く認識しているものに普段ならそのような状態になっていない、つまり矛盾が生じていたらそこから疑問が生じ、その疑問からオルソを認識される。このような危険性があるのだ。
(とりあえず中に入ることはできたが、やはりこの気配、中に誰かいる。おそらく七人の小人のうちの誰かだろうが……)
認識阻害で普通ならバレないが、何があるかわからない状況だ。決して気を緩めることなどはない。
そしてオルソはある一部屋に視線を向ける。そこだけ大量のモニターがあった。そのモニターの中身はオルトゥーナ主にジブラスクの状況を映し出されていた。
(ここで監視しているというわけか、そして頃合いなどを見てまた何かしらのアクションをしようというわけか……全くこいつらはないを考えて嫌がるんだ……)
オルソがこの部屋に注目したのはその大量にあるモニターだけが理由ではない。その中に人がいたのである。
「ねぇ、ハッピー、グランピーは大丈夫なのかな?ひどい怪我をしてたじゃないか。スリーピーが死んじゃったのに、もしグランピーまでも死んじゃったら僕……とても悲しいよ……」
一人の小人が鼻をすすりながら涙目でそのようにいう。
(……随分と泣き虫のようだ。しかしおそらくこいつも七人の小人の一人油断ならない)
「ほらほら笑いなさい!ドーピー!こういう時こそ笑顔が大切なんだから☆ほら一緒にワッハッハ!」
なんとも可愛らしい笑顔でドーピーを励ますのはハッピーであった。
(あの笑顔のままセルゲイの部下を殺して愉快にその死体で遊んでいただけに、その笑顔がとてつもなく歪んで見えるよ……)
そう思いながら、その部屋を後にする。おそらくその部屋は監視が専門のはずであり、その近くに重要な情報等を管理しているともあまり思えなかったからだ(仮にあるのならそれなら後で調べば済む話で、今やることもない)。
(さて、何か重要なものはないかな……)
オルソは引き続きこの建物を調べることにした。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
今回はオルソの専用ギャゲースの指輪が登場しました。こいつの能力は透明化と認識阻害、オルソの立場でいえばかなり有効な武器です。いまいちピンとかない人はなんか空気と同化している人みたいな感じです。なので認識阻害は強く認識されない限りその存在に気づかれません。よく30分ぐらいその場にいてしばらく気づかれないことが私にもありましたが、まぁそんな感じの状況を作り出せるのです。透明化、認識阻害互いに難点はありますが、使い方では強力な武器なのは間違い無いです。これからの活躍をお楽しみに!
明日も18 時頃投稿予定です٩( 'ω' )و




