バーナードとアーノルド
続きです
もう日がとっくに暮れてしまったが、しかし闇に包まれることはなかった。やはり中心部は電気などのインフラなどもしっかりしており、そう簡単に途絶えることもない。そして、あたりからは安堵の笑いも響き渡る。それは一般市民によるものであった。先ほど襲ったドラゴンなどの脅威から解放されたためであろう。
「なんとか今日中に事態を収拾できてよかったですね〜」
少し間の抜けた声が聞こえる。その主はどうやら人志であった。
「まだ完璧ではないわよ、そんな風に安心しているから危ない目にあうのよ?少しぐらいその容量が空きまくっている脳みそに情報を入れたらどう?」
「辛辣……」
自身の言葉の返答がまさかそこまで辛辣なものとはおもわずうなだれる人志、正直かなりこたえていた。そして、隣にいた謙也は流れ弾をくらいそうだとなんとなく思い、気配を消していた。そのためフォローする気などなかった。
「とりあえず、私はバーナード首相のところに戻るから、一応あなた達もついて来なさい。一応今回の功労者兼私の同僚ということなのだから」
「は、はい」
「……わかりましたよ」
謙也は少し詰まりながら、人志は未だ癒えないダメージを引きづりながらオーレリーの後に続く。
ーーーーーーーーー
「国際軍の協力非常に感謝します。おかげで本日中で脅威を取り除くことができました。そして国民の被害も少なくてなによりです。……無論不幸にも被害に遭われた人々がいるということは受け止め、その責任を果たさなければなりませんが……」
最初は明るかったが、後半は顔を歪めながらそう述べる。
「そして後ろのお二人方にも、感謝を述べたい」
唐突に自分たちに話題を向けられて、少し驚いてしまい、なんとも曖昧な顔をしてしまう。すると前にいたオーレリーが人志の足を思いっきりふむ。しかしこの国のトップがいる手前大声で痛がるということができずに、しかも顔を歪めるわけにもいかないので、人志は無理やり笑顔を作った。
「いや、私たちは私たちの務めを果たしただけの話でございますので……」
引きつった笑顔で、人志の人柄的に不似合いな人称を使いながらそのように述べる。
(どうも、オーレリーさんは人志さんに当たりがキツイ気がするな……というかキツイな……)
過去に何かやらかしたのだろうかなどと考えていると、自分の方に視線を感じた。それはオーレリーによるものであった。その目は鋭いものであった。早くお前も何か言え!っという意味合いをもたせた目であった。
「その通りです。ぼ……私たちは当然のことをしたまでです。その場にいながら他の無関係の市民を放って置くわけにいきません」
(俺にも少し当たりキツイな…もしかして誰にでもそんな感じなのだろうか……)
などと考えていると
「素晴らしい!やはりエルクさんの部下は素晴らしい人ばかりだ!」
そのようにバーナードを二人を讃える。
(?エルクさんと知り合いなのか?この人は…、しかし今は聞けないし、あとでエルクさんに聞いてみるか)
すると奥からドアをノックする音がした。それを聞くと一瞬静寂が訪れる。それを確認したのか、その扉の外にいた人物は中に入ってきた。
その人物はガント人民共和国軍事省事トップアーノルド事務次官であった。
「これはアーノルド事務次官殿、久しぶりですな!」
バーナードは部屋に入ってきた人物を確認すると、友人を迎えるかのように大きく手を広げ大げさに喜んだ。
「アーノルド…事務次官……」
対して、オーレリーは嫌悪感を隠す様子もなく、アーノルドの顔を見た。
「バーナード首相、大変な目に遭われたそうですな。それを聞き我らガント人民共和国は友好国バーレバイジャンの支援に力を貸す胸を伝えにきたのですよ」
「軍事省のあなたがそれを伝えにきたのですか?」
なんとも疑問的だと言わんばかりに話に割って入るオーレリー、それに対して
「確か国際軍のオーレリー殿でしたかな?話は聞いておりますよ。まぁ今はどうでもよろしいでしょうが……、それでその問いに関しての答えとしては、私がバーナード首相と仲が良く、私用でこの近くに用があったので一応非公式ながら伝えにきたのですよ」
「……そうですか、申し訳ありません急に割り込むような真似をしてしまいまして」
オーレリーはそれ以上踏み込まず、自身の非礼を詫びた。しかし内心では到底納得していなかった。
(あまりに対応が早すぎないかしら…キメラ達にバーレバイジャンが襲われてまだ数時間その間にすぐに支援の申し立てがでるものかしら?)
オーレリーはその疑問にNOを出す。
(ならば今回の件何かしら関わっているわね……、そしてこのアーノルドとてもいかれたやつだということはエルクさんから事前に聞いている。それをもとに考えると、絶対に何かしらやばいことをしようとしているわね……)
そこまで考えて、オーレリーは
「では私たちはこれで……国際軍の一部は引き続き今回の被害の復興に協力しますので、何かありましたらまたお伝えください」
そういって三人は部屋を後にした。そして首相官邸から出たのち、国際軍専用の車に三人は乗り込むと
「さて、一旦リーベに帰るわよ。どうも何かやばい気がしてならないのよ」
「やばいことですか?」
謙也はよくわからないっといった表情だ。
「やばいものは、やばいものよ。とりあえず戻るわよ。人志はバーレバイジャンを出た後アレを用意してくれないかしら?」
それだけ言うと人志はその意図を理解して、
「了解です。何か伝えたいことでもあるんですね?」
「ええ、ただいまは傍聴されているかもだから迂闊には言えないけど……」
それだけ言うと二人は黙ってしまった。
(やばいことか……いったい何が起こると言うのだ?)
謙也にはただその疑問だけが残った。
さて今回で一旦、謙也達の視点は終わりになります。次回は予定ではオルソ・プラモットン視点となるでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。明日も18時に投稿予定ですのでよろしくお願いします。




