次の行動
久しぶりの投稿となります。投稿頻度が初めの頃よりかなり遅くなってきているので、少しづつ上げなければ……
謙也たちがエルクの部屋に着くとそこにはすでにリナがいた。どうやら一足先についていたようだ。そしてそこにはもう一人見知らぬ男が一人いた。
その男はオルソ・プラモットン。エルクから直接指示を受け、オルトゥーナに侵入していたスパイダ。
「集まったか」
エルクは全員に目をやったあと静かに口を開いた。
「すでに知っていると思うが、この前のプリンスタワーの一件は世間の知るところとなっている。その評価はまぁ、どうでも良いことだ」
エルクは前置きに先日の件を持ち出した。その上で、
「しかしそこで厄介なのはその国の、しかも戦争推進派の息のかかったものたちが、その下っ端を捉えたということだ」
「それが何がまずいのですか?」
いまいちピンと来ていない謙也は質問をする。
「これから近くに、言うなればテロ行為を行った者の情報が流されることとなる。だいぶ捻じ曲げてな…」
ため息をつきながらそのようにいうエルク。そこに割って入るものがいた。
「さらに詳しく言うなれば、奴らは今回の件には、バーレバイジャが関わっていると公表することだ。これによりオルトゥーナは嬉々として制裁を加えようと行動し、さらにいま緊張関係にあるブルーンの支援に乗り出すだろうな。尤もこれがいちばんの目的かもしれないが……」
そう詳しくエルクを補足したのはオルソであった。
「しかし事実は異なる。バーレバイジャで確かに生まれたものだが、実際はオルトゥーナの国籍を有するものばかりだ。ただ、その国での立場が弱くそこをつけ込まれた者なのだよ」
苛立ちを隠そうともせず顔を歪めながらいうエルク。
「情報が操作されるなんて……」
「情報が脚色される、または歪められのはよくあることだ。だからいちいちその事で怒りを覚えても仕方ない。大切なのはそれを見破ることだぜ。特に俺のような人間は」
謙也の言葉に返すようにオルソが答える。
「それでどう動くの私たちは?」
だいぶ話が逸れてきたと感じたリナが話に加わり軌道を修正する。
「そうだな、まずこれは私が動かなくてはならないな。まずはオルトゥーナが出す情報が誤りであることを公表。その後周辺各国との交渉をして味方を増やす」
「それで私たちは?」
「君たちには危険だが、バーレバイシャに向かってもらう。そこである人物と合流してもらいたい」
「ある人物ですか?」
人志がその人物に心当たりがないのか、聞き返す。
「あぁ、お前はまだあったことがないな。その人物とはオーレリー・デルマー。国際軍に所属している人物だ。無論彼女も我々と同じだ」
(ということは同じくあの道化に連れてこられたものということか……)
謙也はそのような考えにすぐに至った。
「オルソ君は引き続きオルトゥーナで仕事をしてくれ」
「承知した。どうも内部でも何かしら起こりそうだしな。誰かいた方がいいだろう」
そのように返事をするとオルソはそのまま部屋を出て行った。しかしそれをエルクが咎めることもなく見送った。おそらく話が済んだことをオルソが察し部屋を出て行ったということを理解してのことだろう。
「さて君達も早く動いてくれ、いいか今度は前よりさらに危険な状況である。命を無駄にすることのないようにな」
そういうエルクの目は優しそうであった。ただただ善意でその言葉を発しているのであろうことが読み取れる。
エルクの言葉に各々返答し、次々に部屋を出て行く。それに遅れじと謙也もまた部屋を後にした。
オルトゥーナはこれから何をしようとするのか、経験も知識も持ち合わせていない謙也が考えても解が見つからないことはわかっているが、つい考えてしまう。今もそうであった。
「謙也くん、余計なことは考えない方が賢明よ。これから行く場所はまさに戦地。何があるかわからないわ」
謙也の考えていることが読み取れたのか、エレーナがそのように警告する。それによりようやく理解した。これから行く場所がどういう場所なのかを。
(今まで以上に覚悟がいる。前みたいに守られているわけでもない。自分の命は自分で守らなければならないんだ)
「エレーナさん、すみません。しかしもう大丈夫です」
謙也はエレーナの意図を理解したということを示すかのように力強く答える。
「そう」
それに対してエレーナはただ一言その言い、その場を離れて行く。その顔は少しばかり喜んでいるようであった。謙也が少しばかりたくましくなったのを喜んでいるかのようでもあった。
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