世間の反応
少し雰囲気を和らげてみました。あまり本筋とはあまり関わりないですがお付き合い下さい。
リーベ王国に戻ってきてからというのも予想以上に謙也たちの周りは静かなものであった。尤もエルクはそれはもう忙しそうであったが。だが、それに反して世間特にオルトゥーナは大変慌ただしいものであった。その要因はもちろんつい最近起こった騒動である。その騒動でグランピーたちはかなり暴れまわっていたようだ。謙也たちが駆け付けた後は民間人を死なせずに済んだもののそれまでの間に少なくとも十数人もの命が失い、さらに重軽傷者まで含めるとさらに数が増える。そのためこちらの国でも国際ニュースはその話題で持ちきりだ。その中にはやはりというかかなりでたらめなこともあるし、それを平然とコメントする著名人までいる。その当事者としてかかわった者として何とも言えない気分であった。
「初めてワイドショーが腹立たしく思えたな」
そう言い謙也は情報端末の電源を落とす。そして天井を見上げて深く息を吐く。別にため息ではない。少なくとも自分ではそう思っている。しかしそれに似たようなものであることも自覚していた。その自分でもよくわからない何かを吐き出すように深く息を吐くのである。
「どうしてそんな表情をしているのですか?」
「うぉ…!」
ひょこっと隣りから顔を現したのはクリスティーネであった。やはり完全に上の空であるときに横から突如現れると驚いてしまう。
「……そんな驚かなくてもいいじゃないですか」
少し拗ねたかのような表情を見せるクリスティーネ。その表情が少し可愛らしいと思うのと同時に申し訳なさもあり、どう反応していいのかわからず、顔を背けながら頬を掻く。
「顔を背けないでください!」
しかしそれがいけなかったのだろう。それによってさらにクリスティーネを怒らせてしまったようだ。ただそれも恐怖を感じさせるものでもなく、微笑ましいものであるが、これ以上彼女に失礼なことをしたらまずいような気がして素直に謙也は謝罪する。
「いや、悪い。いきなりだったからどう反応していいのかわからなかったんだ」
「そうでしたか、驚かせてしまいごめんなさい」
謙也の回答で理解したのか、クリスティーネも謝罪する。そのきれいなお辞儀一つとっても可愛らしいものだ。
「いや、可愛らしくあやまられても謝られても……」
そこで彼はミスを犯したことに気づく
「か、可愛らしいですか……」
案の定クリスティーネは反応に困っている。
(馬鹿か俺は……)
心の中で頭を抱える謙也。そしてこの事態を打開する次の一手を打ちたいところであるが、この短期間ではそれがわからなった。一般に男子高校生はあまり女友達が多いとは言えない。謙也自身苦手ではないが、やはり男友達のほうが多い。もちろん彼女などいたことがない。そんな彼に気の利いた言葉が出てくるとは思えなかった。
「いや、それはだな……」
軽く過去の自分を殴りたい衝動に駆られる謙也、その顔は冷や汗が見て取れる。
「ま、まぁ。そのように言われるのはうれしいのですが、もっとTPOをわきまえてほしいです」
顔をほんのりと赤らめながらそのように言う。どうやら彼女がフォローしてくれたようだ。
「いや、ほんとすみません」
つい敬語になってしまう。それもしょうがないだろうと思う。
そこへ後ろから陽気な気配があった。
「よう!二人とも何してんだ?」
その人物は人志であった。彼は右手に炭酸飲料を持ちながら左手を振りながら謙也たちのほうへ近づいてくる。はたから見たら昼から酒をひっかけているではと思えなくもない。この国柄意外とそういう輩が多いことを知り、それなりに見てきた謙也はそう感じた。尚余談だが、この国では18歳以上から酒は飲むことができる。それは科学的根拠というより、その習慣からなるものであった。
「いえ、謙也さんがなぜかぼーっとしていたので訪ねただけです」
人志の質問に素直に答えるクリスティーネ。
「ほ~ん。それまたなんで?」
言葉が足りないが、おそらく謙也に向けられたものであろうと察したため彼は素直に答えることにした。
「いや、なんか。世間が騒がしくて、関わった者からするとなんだかなぁっと思いましてね」
「ああ~、確かに」
健也の答えに同意する人志、その横でクリスティーネもうなずいていることから彼女も同意なのだろう。
「でもしょうがないぜ、それはそれに今回は結構でかいものだしな。そりゃ騒ぐさ。特にオルトゥーナは、それに自分たちの安全が危うくなるかもしれないんだ。当然の行動さ……なんだ二人ともその顔は?」
人志思いのほかまともな回答をすることに以外な顔をする二人が不服だったようで最後にそう尋ねる。
「いや、思いのほかちゃんと答えたから……」
「俺のこと俺が考えている以上に馬鹿でお調子者だと思てただろ……」
その言葉に思わず顔を背ける、そのためその横にいたクリスティーネが視界に入るが彼女もまた視線をそらしていることから彼女自身失礼なことを思っていたのであろう。
「お前ら……」
割とショックな顔する人志、なんとなくだが、クリスティーネにそのように思われていることが結構響いているように謙也は思えた。それは自分自身彼の立場ならそうなるからである。
「まぁ、とにかく気持ちはわかるがあまり気にするなよ?」
「それもそうですね」
そう言って謙也は立ち上がる。
「あらちょうどいいところにいたわね」
凛としたそして品があるような声が聞こえてくる。
「あ、エレーナさん」
クリスティーネが声をかける。その声はどうやらエレーナさんのものであった。
「少しいいかしら?」
「もちろんですとも」
少し声のトーンを下げて頼りになるような感じで返答をする人志。
(わかりやす!)
思わず突っ込みたくなる衝動に駆られたが、今はそのような状況でもないし、仮に許される状況だとしても人志が許さないだろうからここはぐっとこらえた健也。
「人志さんって、もしかして……」
小声で健也に問いかけるクリスティーネ、ふわりといい匂いがして一瞬声が詰まるが先ほどのミスもある手前気を取り直して返答する。
「クリスの想像通りだよ」
「どうだったんですね」
「そこのふたりもいいかしら?」
二人が小声で話しているところににっこりと微笑みながら問いかける、別に起こっているわけでもなさそうなので二人とも大丈夫ですと答えってしっかりと聞く姿勢に入った。
「別に気を緩めても大丈夫よ。ただエルクさんが声をかけるだろうから先に行っておいてほしいの。メッセージでもよかったのだけどちょうど近くにいたからね」
「わかりました。そういうことでしたらすぐに向かいます」
「ええお願いね。なんとなくよろしくない方向へ向かってきているようだし……」
そういうエレーナの顔は少し暗かった
「よろしくないとは?」
「それはエルクさんから聞けると思うわ」
そういってエレーナはそれ以上何も言わなかった。なので謙也もそれ以上何も聞かなかった。
「エレーナさん、また今度食事でも行きませんか?」
エルクのところへ向かう前にエレーナにアタックする人志。
「ごめんなさい、リナが先約でいるの。だからその後でね」
「あ、はい……」
見事撃沈した人志はそれ以上何も言わずエルクの執務室へ向かい始めた。その後を追うように謙也たちも向かうが、その後姿が悲しそうなオーラをまとっていたためただただ苦笑いするしかなかった。
オルトゥーナは全話であったようにグランピー達に攻撃されています。少なくとも表面上は…。そうなると一般市民にとってはテロ行為をされたように感じますから、世間が騒ぐのは当然です。そして時にその影響は強いものです。それがよく働く時もあれば悪く働くこともあります。この世界は我々の世界に近いものがあるので、まさに「現代史」の様なストーリーです。なのでもしかしたらなんとなく読んだことないのに知っているなと言うこともあるかもしれません。そういうことも踏まえてこれからもお楽しみいただけたら幸いです♪( ´▽`)
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