三人の小人
また少し間が空いてしまいました。本当にすみません……
「おいスリーピー!しっかりしろ!」
大声をあげながらスリーピーに対して駆け寄る。そしてその炎の剣を引っこ抜く。グランピーは炎に対する耐性があるためそれは容易であった。そしてすぐにスリーピーの皮膚を焼き応急措置をする。それは本能的におこなった事であった。それが功を制したのか、スリーピーは絶命から逃れられたのだ。
「ほう、仕留めたと思ったのだが。予想に反して生き延びたか。意外にしぶといな……」
あわだたしい三人の小人に反して、冷静な判断を下すエルク。
「エルクさん。どうしてここへ?」
意外そうな顔をする謙也、それもそのはず、エルクはリーベ王国の中でもかなり重要な立ち位置にいる人物だ、そのような人物がこのような戦闘の場に出てくるのはとても予想できなかったのだ。
謙也の意図を理解したのか、エルクは今この場にいる理由を述べる。
「そう不思議でもないさ、私はほんの少し前まで君のように戦場に身を置くことが多々あった。むしろこのような場所のほうがとてもなじむものだよ」
そう言いながらエルクはゆっくりと標的に向かっていく。足音を殺して気づかれないように進むのではない。大胆にそして悠々と近づいていく。
「さてそこの三人。ほかに仲間があと4人いるのだろう?助けはもう呼び終えたか?ほらまだならあと数秒ぐらいなら時間やるぞ?」
挑発的な言葉を投げかけるエルク、だが同時に戦闘準備を整えている。確実に仕留めようとする意志がそこから感じ取られる。
「エルクさん手伝います。もともと僕の仕事ですし」
「ええ、謙也君の言う通り。エルクさん私たちが前へ……」
二人もエルクに続き戦闘態勢に入る。
「……ふむ、ならば手伝ってもらおうか。しかしもうすでに一匹は瀕死だ。あと二匹だ。一匹は私が仕留めるから、残りを君たちで頼もうか」
そう言ってエルクはさらに前へ進む。さすがに上司にあたるエルクに仕事の半分を引き受けさせることに抵抗が謙也にはあったが、エルクはそんなこと関係なく前へ進んでいくため、あきらめて前にいる、ハッピーへ視線を向ける。
「おやおや、これは少しピンチかな☆……冗談じゃねぇよ」
明るい声から一転ハッピーは低い声で不満を漏らす。そして戦闘に入る。そして使用する攻撃方法は魔法。シックスミサイルズ。先ほどのように追撃を持つ攻撃魔法だ。
「いくわよ!」
「はい!」
リナの掛け声に応じて謙也も続く。1対2、謙也たちが有利である。しかし気を抜いてはいけない。気を抜いたらその時点で死が待っている。それぐらいもうすでに理解している。ゆえに油断などせず全力で立ち向かう。
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「さて君の相手は私だが、覚悟はよいかい?」
「てめぇ……」
エルクが意地の悪い笑みを浮かべながらグランピーに問いかける。それに対してのグランピーの反応は怒りでしかなかった。
「スリーピーの仇は打つ!」
「まだ生きているのだろう?」
その言葉が引き金であった。グランピーはエルクに向かって怒りの赴くままに突撃する。その力の入りようは先ほど以上であった。それに対してエルクは余裕の表情を崩さず、その場を動かなかった。二人のキョロはほんの100mほどだ。グランピーの速度を考えると5秒もかからない。そのため一瞬のうちにエルクの後ろへと到達する。しかしその間にエルクにグランピーのこぶしが届くことはなかった。
「ディストレイションスペース。私の前の空間はすでに歪んでいるよ」
そう言い終わると同時にグランピーに向かって、先ほどスリーピーに向かって投げた炎の投剣が六本グランピーに向かってくる。グランピーはかなり大振りしてしまい、体制を立て直すのにほんの数秒のロスが生まれた。しかしそれが命取りとなるのは戦場ではよくあることだ。
(かわせねぇ……)
グランピーはそう判断した。だからその身にその炎の投剣を受ける覚悟をする。しかしその投剣が炎によって生み出されたのが良かった。グランピーはその身に炎を纏う。その事で逆にその炎を吸収する。
「はっ!裏目に出てしまったな〜エルクさんよ〜。テメェをここで殺せばかなりこちらが有利になるからかよぉ〜。ここで死ねや!」
そう言いながら、大きく息を吸う。そして灼熱の炎がエルクを襲う。エルクの周りの空間は歪んでいるとはいえ、どこかしらエルクへと通じるところがある。ならば広範囲に渡り炎を撒き散らす事でエルクを焼き殺す戦法に出た。今までのグランピーの行動を考慮すると幾分頭を使った行動だ。
しかしエルクはそれを見事防いで見せる。周りに氷の壁を貼り同時に風を起こす事で炎の軌道を制御する。そしてその近くのスリーピーにその灼熱の炎を浴びさせる。
元々虫の息であったスリーピーであったもはや喚き声をあげる事なく静かにその炎で身を焼かれていく。それなりにふっくらしていたせいか炎の勢いがまったく衰える事なく、燃え盛る。
「スリーピー!!」
先ほどのように大声を上げるグランピー、そして慌てて駆け寄る。しかしそれは叶わない。エルクにより両手足に投剣が突き刺さる。しかも今度は炎の魔法によって生み出されたものではない。氷の魔法によって生み出されたものだ。
「ぐぅううぅ……」
スリーピーにたどり着く前に地面に這いつくばるグランピー。そのうめき声には悔しさがにじむ。
「卑怯だと思うわけないよな?君たちが。関係もない人間を襲う方が卑怯であるのだから。それに対し君たちはやられる覚悟があるのだろう?でなければこのようなことはしないはずだ。無様に這いつくばり仲間を殺される覚悟があるのだろう?」
冷ややかな目でグランピーにそう問いかける。そしてその手には数本の投剣を構えている。トドメを刺す気である。
しかしそれは叶わなかった。突如エルクの後ろから大きな鉄の塊が突撃してきた。エルクはそちらに注意を向けざるを得ず。グランピーのトドメを諦めた。そしてその鉄の塊、車に似た何かである。その中から一人小さな人物が顔を出す。
「グランピー、ハッピー早く乗りなさい!」
「何を言っているんだ!まだスリーピーが……」
どうやらグランピーたちの仲間なのだろう。つまり彼女も小人であるということだ。その助けにスリーピーが含まれていない事に、グランピーは反論するが……
「そう言ってられません。あなたたちが優先です!早く!」
しかしどうやら彼女は聞く耳を持たないようだ。
「ほら行くよ!グランピー」
そう言って無理やり地べたに這いつくばっているグランピーを無理矢理這いつくばっている原因である投剣を抜く。そしてグランピーを抱えその乗り物へと乗る。この間ほんの一瞬の出来事であった。流石にその迅速さにエルクたちも対応できなかった。故にスリーピー以外を取り逃がしてしまった。
「……逃げられたか。まぁいいどうせすぐ関わる事になるだろうしな」
そう言いながらエルクは謙也たちの方へ向かう。
「さて我々も一旦リーベへ帰るとしよう。そろそろ本格的に動かなければまずい事態だ。君たちにもいろいろ動いてもらうぞ」
「ええ」
リナはただ一言そう返答する。
「わかりました」
それに続き謙也も反応を示した。
(エルクさんは無傷か……)
謙也は同時にそのようなことを思った。まだまだ自分が未熟者であるということを暗に示されているような気分であった。この世界で生きていくにはまだまだ力が足りない。また再び気を引き締められることとなったのだ。
さてひとまずこれで戦闘描写は以上ですかね。いや物足りないよなどあるかもしれませんがまたすぐにsのような場面に来ます(おそらく)それまで気長にお待ちください




