7人の小人
さてそろそろ様々なところから動き始めました。さぁどうなるのか?
「さて、それで私は何をすれば良いのかね?」
一通り食事を終えたセルゲイがエルクに対して問いかける。
「あなたは政治家としての役割を果たしていただきたい」
「それは政党内で根回しをしておくとかそういうことかね?」
「ええそれで構いません。あとは、オーレリ・デルマーに連絡を取っていただきたい。取れるのでしょう?」
エルクはセルゲイに問う。
「彼女か……、取れるが彼女は今グアラテム連邦国にいるはずだ。しかし彼女を呼ぶということは、やはり多少荒っぽい事をするということかね?」
セルゲイは不穏な気配を感じ取ったのかそうエルクに質問する。
「多少はやむをえません。それに向こう側が荒っぽい選択をしてくるでしょうし」
エルクはさらりとそのようなことを述べる。
「何!それは本当か?まさかこの国で何かしようなどということではないだろうな!」
セルゲイは思わず声を荒げてエルクに問いかけた。
「それはわかりませんが、その可能性は高い。一部の人間の歯止めが効かなくなっているようです」
「……」
セルゲイは絶望したような顔をする。オルトゥーナ民主王国、それはかなりの民主化が進んだ国のはずであった。セルゲイ自身そう思っていた。しかし政治家になるにつれ、その考えに疑問が生じていた。そして今回の件だ。もはや民主化の進んだ平和の国とは言えない。ただ軍事的、経済的に進んだ国であるだけであった。それ自身素晴らしいことであるが、しかし自国の国民が犠牲になる可能性もあるような行動を自身の目的のために選ぶことにセルゲイは嫌悪感を抱いたのだ。
「……その一部とは官僚のことか?」
「ええ、政治家数人混じっているようですが、官僚がメインでしょう」
「……やはり官僚たちに力を持たせすぎた構造がいけなかったのか?」
オルトゥーナの政治構造は議院内閣制、これ自体別に悪い制度とはセルゲイ自身思っていない。ただこの国はどうも官僚の言葉がかなり強かった。一部だが、国会の決定したことについて、再度考え直す要素の書類を送り返すことも可能であったりする。しかも大体において与野党とも官僚の意見がかなり含むことが多い。
「それを嘆いても仕方ありませんし、何よりそれなら我々リーベ王国もかなりそのような側面があります」
「そうだが、君たちはうまいこと互いに牽制しあっている。それに君たちは過去に一度痛い目も見ているじゃないか。それゆえへんに財務省やら魔法省、そして軍事省が派手に動くことが少ないではないか」
「……」
エルクもそれについては同意なのか。セルゲイの言葉に黙ってしまう。
過去にリーベ王国も今のオルトゥーナのような頃があった。そしてそれはエルクも体験したことだ。なんせそれは割と最近のことだからだ。幸いな事に最悪な事態は免れたのだが……
「いっそオルトゥーナもそのような経験をすべきなのかもしれないな。そうすれば理解するだろう。私が言いたいことも……」
「しかしそれはお勧めしませんよ。経験した人間からすると。無関係な人間が死に、そして自分にとって大切なものを壊されるかもしれないのですから」
エルクは自身の経験をもとにセルゲイに忠告をする。
「大切なものを壊されるのは確かにかなりの覚悟がいることだが、無関係な人間が死ぬというのは少し違うな。なんせこの国は一応に民主主義だ。確かに一番問題な人間は他かもしれないが、国民が一切責任がないということではないのだよ。関わった以上多少の責任はつきもの。民主主義とはそういうものさ。それをみんな忘れている」
「忘れているというより、単に知らないまたは目を背けているのどちらかだと私は思いますがね」
エルクは吐き捨てるかのように言う。そこには怒りがあった。それは政治の世界に入り込んだ身ゆえの怒りなのか、それとも別なのか。セルゲイにはわかるものではなかった。ただ自分と同じような信念があることにセルゲイは嬉しく思えた。
「……だいぶ話が逸れてしまったな。国会の方は私含め信頼できる人間がなんとかしよう。彼女にもコンタクトを取っておくよ」
そういうとセルゲイは席を立とうとした。
「最後に一つ言っておくことがあります」
しかしその前にエルクが話を切り出した。
「まだ何かあるのかね?」
「ええ、先ほど荒っぽいことになると私は言いましたよね?」
「確かに」
エルクの確認にセルゲイは答えた。
「その一つに『7人の小人』が絡んできそうなのです」
「……狂った集団か。しかしそんな輩が誰かのいいなりになって動くものなのか?あいつらはただの殺人鬼だぞ?」
7人の小人、彼らは世間では知られていないが、それなりに裏の世界を知っている人間なら誰もが知っている集団だ。そう殺人集団として、彼ら一人一人の評細を知るものはいない。強いて言えばエルフなどの様々な種族7人が集まったということしか知られていない。しかし殺人狂としてはその名を轟かせている集団だ。
「実際その可能性があるのです。なぜ?というのはわかりませんが。ととにかく気をつけて頂きたい。これが本当なら相手がどんな立場だろうが御構い無しに殺しにかかるでしょう」
エルクの言葉に冗談は一切感じられなかった。ということはそれなりに信憑性があるのだろう。
「わかった。ほかものにも伝えておこう」
セルゲイはそういうとすぐに電話をつないだ。無論内容が内容だけに他の人間に今すぐ伝えるためだ。本来このような行為は客に対して無礼かもしれないが、それをいちいち気にしている場合ではないためエルクも何も言わなかった。
「?おかしい。出ないぞ。今日この時間帯は私からの電話にすぐに出れるよう指示を出したのに……」
(……まさか)
エルクはセルゲイの一言にただならぬ雰囲気を感じ取ってしまった。そしてーーー
「あ!もしもし。初めまして〜私ハッピーと言います!セルゲイさんですね!あなたの部下数人と仲良くさせてもらっていますのでお礼を言いたかったのですよ!」
セルゲイの電話に出たのはもちろん彼の部下ではなかった。
「あ、今遊んでもらってる最中ですのでその様子見せますね〜」
そういうと向こう側のハッピーという人間はビデオ通話に切り替えた。
ーーーそこには彼の部下、オーク、エルフ、獣人、リザードマンの四人がそれぞれ体をバラバラにくっつけられて並べられていた。
「な!」
あまりの状況にただそのような言葉しか出なかった。そしてその後凄まじいほどの吐き気が襲ったが、セルゲイはそこをぐっとこらえた。今ここで吐くわけにはいかない。そう言い聞かせたのだ。
「なんということだ!もう奴らが動いていたとは!」
エルクは悔しそうな表情を浮かべる。
「知っていると思いますが私、7人の小人の一人で〜す!身体はちっさいけど身体能力、魔法どちらもそれなりに高いよ。あ!そうそう、今セルゲイ先生のいるところにもスリーピーとグランピーを送ったから。一緒に遊んであげてね★それじゃね〜」
そのままこちらの話を聞かずに電話を切ってしまった。
その直後警報ブザーがけたたましくなった。おそらくハッピーが言っていた通り、ここに7人の小人の二人がここにきたのであろう。
「なんということだ!早くここを出なければ!じゃなければあの狂人どもがくるぞ」
セルゲイは政治家だ。その世界でこれまで自分なりに命がけでやってきたが、しかし自分の命をダイレクトに狙われることはなかった。そこにいきなりの殺人狂がやってくるのだ。狼狽えるのは仕方のないことであった。
「……確かに、よろしくない状況ですね。奴らのことだ。無関係の人を巻き込みながら襲ってくるかもしれない。そう考えると早急に手を打つ必要がある」
しかしセルゲイと対照的にエルクは冷静であった。その後エルクは耳に手を当てて何かつぶやいた後、セルゲイの方を向いた。
「控えで待たせている私の部下が鎮圧にかかりましょう。セルゲイさんあなたはその間に護衛とともに逃げていただきたい」
そういうとドアから二人の人影があった。
ーー人志とエレーナである。
「二人ともセルゲイ先生を護衛し、速やかにここから脱出しろ」
エルクは二人にそう指示を出す。
「あなたはどうするおつもりですか?」
セルゲイはエルクに問いかける。
「私がここを離れるとリーダーとして威厳がなくなるでしょう?だから離れるわけにはいかないのです」
そういうとエルクは黙ってレストランの出口に向かって言った。
(……さて久しぶりに体を動かすことになりすだ)
そう言いながらニヤリと笑いながら闘志を燃やすのであった。
やはりこの章は少なからず戦争が絡んでくるので、やはり戦闘は多めにしたいですね。




