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僕たちはこの非情な世界で抗う  作者: MASANBO
望まずテロリストとなった者たち
40/80

オルトゥーナ民主王国

久しぶりの投稿、そして新章突入です!

 暗闇に包まれた街、しかしそれとは相反する銃声が聞こえる。闇に包まれた街には爆発の光があった。あたりには鳴き声が聞こえてくる。子供の声だろう。


「助けて…、怖いよ…お、お母さん!」


 必死の助けごえがきこえる。まだ10にも満たない少女の助けを乞う声。しかしそれを聞き届ける者はいない。


 空から大きな音が聞こえる。凄まじいスピードで何かが迫ってくる音だ。そして…

 少女の真上から大きな物体が落ちてくる。一瞬であった少女のあたりから半径数百メートルにも及ぶ灼熱の炎が辺りを、少女を焼き尽くすのは。そしてその犯人である、空爆をおこなった戦闘機はもうその場にはいない。ただ歩いていたらうっかり蟻を踏みつけてしまったような感じであった。そして踏みつけた者は踏みつけたことにさえ気づいていない。その場がどんな悲劇が起ころうと、知ることがないだろう。


 ーーここは戦場、様々な尊い命が軽く捻り潰される世界。一々悲劇を見ている暇などないのだ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ブルーンですか?」


 エンジェルの一件からもうすでに三ヶ月経っている。その間驚くほど謙也たちは平和であった。もちろんこの世界にも彼らの知らないところで様々な事件が起きているが、それを一つ一つ彼らが解決しなけらばならないわけでも、可能なわけでもない、そのためこうして暇な時もあった。そんな中久しぶりにある書類が謙也、リナの二人に手渡された。


「ああ、リナは知っているだろう?」


 そしてその書類を手渡した男ーエルク・マジソンはリナに問いかける。


「ええ、知っているわ。確か隣国バーレバイジャンとジャンミール地方問題で紛争が度々起こっていることで有名な国ですよね?」


 リナはエルクの問いかけに応えるように質問の回答を出す。


「その通りだ、両国は戦争の火種がもう何十年もくすぶっていたのだが、それが今一気に爆発することになる」


 重々しげにエルクはそう言う。


「戦争が起こると言うの!」


 リナは流石に驚いたのか、そのように述べる。


「ああ、そうだ。なんならまだ報じられてないだけで、もうすでに始まっているとも言えるな、その前座戦が…」


「なんと言う……」


 リナはショックを受けたかのように弱々しい声で呟いた。


「それで、なぜ僕たちが呼び出されたのでしょうか?」


 謙也はリナに変わってエルクに質問する。


「それはもちろんこの件に関して呼び出した」


「!!そ、それは僕たちに戦争へ行けと言うことですか?確か僕たちは軍人ではないはずでは……」


 流石にいきなり戦争へ行けととることが出来るこの発言は見逃せなかったために少し強めに問う。


「いや、君たちが行くのは戦地ではない。確かにいまの発言ではそのように捉えるかもしれなかったな。いや、すまなかった」


 どうやら謙也と考えていたものとは異なったため、謙也も振り上げた拳を下ろす場所を見つけられたため、その場はすぐに収まった。


「この件で問題なのは、この両国だけの問題ではないと言うことだ。実のところこの領土に関する両国の問題は、ある程度WSO(世界安全機構)が中に入って収まりかけていたのだ。しかしそれを妨害し、挙句には両国を険悪にした国がいる」


 エルクは苦々しげにそう語る。


「その国とはなんですか?」


 謙也はエルクに問う。


「オルトゥーナ民主王国だ」


 エルクは謙也の質問に答える。


「オルトゥーナ民主王国ですか…」


 オルトゥーナ民主王国、その名の通りリーベ王国と同様王制を敷く国である。しかしリーベと異なる点は、議院内閣制を起き、政治は主に選挙によって選ばれた首相がなる。国王はある程度の発言権はあるが、それによって大きく左右されることもなく、権限的には一般市民より少しある程度でしかない。故に民主的な国家と言えるだろう。そして、この国はこの世界の中でもトップクラスの大国である。それは先進的な技術を持ちさらにその地形は海に囲まれ他の国とは隣接しておらず、そしてその土地には豊富な資源も持っている。ゆえに資源を他国に依存することもない。そのため他国と密接に拘らなければならないといいうこともない。そのためこの国は中立的な立場をとっている。ただしこれはあくまで他の大国と中立なだけであり、その他の小国とはそれなりに密に関わりもある。無論貿易等は大国ともある。完全に孤立しているというわけではない。ただ他の国と異なり軍事面等で同盟を組むことはないというだけだ。


「その国が今回の件に絡んでいるというわけね…」


 リナがそう言う。


「その通り、あの国は両方の国と秘密裏にパイプとつないでいた。そして互いの情報を自在に行き来し、両国を疑心暗鬼に落とし、そして、彼らに武器を与えた。あとはちょっとしたことがあればもう止まらないと言うことさ」


「なぜそのようなことを?」


  当然の疑問をエルクに投げかける謙也


「あぁ、それはだな……」


 エルクは謙也の質問に答えた。その内容とは、オルトゥーナ民主王国は他の大国の弱体化を狙っている。特にグアラテム連邦国などの経済大国がだ。そしてオルトゥーナにはそれをやるだけの力を持っていると言うことだ。そしてその目的のためにはINAなどと言う、大国をメインに組織されている国際機関は目障りというわけだ。今回ブルーンとバーレバイジャンの戦争によってINAは確実に介入してくる。というのもINAとは、国際軍なのである。大国など加入している国がそれぞれ自国の軍の一部をINAに置くことが決められている。もちろんどの国も自国の防衛を優先する為、そこに割く人員が過半数を占めるなどということもないが、それでもそれなりの国が加入していることからかなりの軍事力を保持していると言える。そして、現在戦争は国際法上も違反な為、戦争が起こり次第直ちに鎮圧にかかる、その際どちらに非があるかはとりあえず考慮しない。それは戦争が終わり話し合いになってからだからである。話がそれたが、オルトゥーナはこの国際軍の弱体化を望んでいる。それはおるとぅーなにはINAに関して発言力が大してないことなどが要因だ。そしてそれが今の世界でトップになれない要因の一つとも考えていると推測される。それを解決するために今回の件を利用しているとのことであった。


「もちろん他の思惑もあるだろうが、メインはおそらくこれだろう」


 最後にエルクはそう言って説明し終えた。


「でも、両国に戦争させたところで、オルトゥーがINAでの地位を獲得できるとは思えないのですが……」


 謙也はいまいち納得できていないようであった。


「例えば、INAが両国の戦争に介入してきたにも関わらず、それを止めることができなかったとする。その中でオルトゥーナが戦争を止めたとする。ならば世間の目にはどう映る?」


「オルトゥーナにも平和のためにINAなどに入ってもらいたいという要望が出てもおかしくないわね」


 エルクの問いかけにリナが答える。


「その通りだ。そのような方法もある。だからその前にこちらからも対処しようということだ。ただ、もう既にかなりまずい状況だがな、我々が前の件に集中しているときにこそこそとことをすすめていたようだ……」


 エルクは悔しそうに顔をゆがめる


「ですが、俺たちが何かできるのですか?正直俺は役に立たないと思うのですが……」


 自信なさげな謙也に対し、


「そんなことはない、君たちの役割は護衛などがメインだ。他の要人たちのな。これから向かうのはオルトゥーナだが、場合によってはブルーンや、バーレバイジャンにも行かなければならないかもしれない。その際先頭が起こることだって考えられる。気を引き締めていけ。尤も君たちはあくまで補佐だから前みたいに突撃しなかければならないということはない。今回動くのは()なのだから」


「エルクさんがですか?」


「正確に言えばもう一人いるがな…、君たちと同じ転生者が…」


「まだいるのですか?」


 少し驚いた風に聞いてしまった謙也に対し、


「当然だ。まだ君たちが合っていないだけでいるさ、それにもしかしたらまだ私すら把握していないものもいるかもしれない。確かに我々入ってしまえば特別だが、決して唯一ではないのだよ」


「それでもう一人とは誰なの?」


 リナがきになる点をエルクに質問する。


「名は『オルソ・プラモットン』スペイン人だ。彼は現在グアラテムにいる。別件のようでな。彼の仕事についてあまり言えないが、一応なだけは伝えておこう。もしかしたら一度挨拶ぐらいはするかもだがな」


「そう」


 リナは満足したのかそれ以上何も聞かなかった。


「では、また後ほど正式に伝えるとしよう。そうだな、三日後ぐらいかな。それまで準備だけはしておいてくれ」


 エルクはそういうと手元にあった資料に意識を向けた。これはもう行っていいぞという合図だ。それぐらい察する程度には謙也も彼のことを知っていた。だから二人はそのまま黙って礼だけして部屋から立ち去ったのであった。



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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