ニコ3
さあ後一、二話くらいでこの賞も完結です。さあニコ達はどうなるのでしょうか?
リナはマクドネルを連れて目的地まで向かっていた。リナ自身走っても良かったのだが、マクドネルがそれでは体力的に辛いと判断して歩いて向かっている。
「……クソ、なんで俺がこんな目に」
マクドネルはぶつぶつ文句を言う。
「事項自得でしょ。あなたももう大人なんだから自分のやった行動ぐらい責任取ったらどうなの」
リナはバッサリとマクドネルの言葉は切り捨てる。
「だが、俺は操られて……」
「それでもよ」
マクドネルが言い訳しようとしたのを遮り続けて言う。
「それでも多少は責任があるの。あなたエンジェルに所属する前にも色々やらかしているそうね。そんなことだから今のような目にあうのよ。人の命だって直接じゃないにしろ、間接的に奪ったことだってあるのでしょう?ならば今命を狙われているというこの現状に不満を言う資格はないわ」
そう言うとマクドネルは押し黙ってしまった。
それを確認するとリナはそのまま、「行くわよ」と言って再び歩き始めた。
ーーーその直後彼女たちの前に何かが、凄まじい勢いで落ちてきた。
「ヒィイイ!!」
マクドネルは怯えたように頭を抱えその場で縮こまるが、リナはその衝撃が来る前に素早くアイアスの盾を構え、マクドネルを衝撃から守った。
「こいつは!」
リナに緊張が走る、なぜならリナの目の前に立っているのは謙也たちが相手をしていたニコであったからだ。
(みんなやられちゃったの?)
ふとリナは最悪の事態を考えて顔を青くする。しかし瞬時に今そのことを考えている場合ではないと判断し、その考えを捨て去る。そしてニコに集中する。
(こいつ、あからさまに目の焦点もあっていないし。本能で動いている感じね。まるで猛獣みたいに)
「うがああああああぁ!!!」
ニコは叫びながら思いっきり右手をスイングする。それと同時に凄まじい風圧がリナを襲う。
「ぐっ!!」
想像以上の威力に思わず怯むリナ。
(パーフェクトシールドで防いどけば良かった……)
などと後悔する。リナの持つ盾はあらゆる攻撃を無効にするがその範囲は狭くそれゆえ防ぎきれないこともある。例えば今のように前方広範に風が飛んでくれば盾が当たる部分は防げてもその他頭部等は防げない。
ニコはリナが怯むのを見て、もはや本能的に判断しているのだろうが、さらに追撃を放つ。
左右から6本づつ電気の槍が飛んでくる。体制を崩したとはいえ躱せないことは無い。しかしその場合マクドネルを捨てなければならない。しかし当然だが彼女にその選択肢は選べない。
「スピードアップ!&リフレクトオブシールド!」
リナは俊敏性を魔法によって向上させ、そして自分の盾に反射魔法をかける。そしてリナは左から飛んでくる魔法の槍にあえて突っ込み、その6本の槍を綺麗に弾いていく、そしてその槍は右からくる槍と激突し小さな爆発を起こしながら消滅していく。
(…あ、危なかったわ)
しかしどうやらリナは落ち着く暇は与えられないそうだ。暴走したニコはその間に新たな魔法の準備をしていた。彼女は両手を合わせてまるでドラゴンの口のような形を作った。
「!!」
その直後凄まじい熱気が襲いかかる。それはまるでビーム光線のようなものであった。
「パーフェクトシールド!!」
必死に叫びながらその攻撃を防ぐ。さすがは最強の盾を持つリナだろう。その強力な魔法を前にして見事傷一つつくことなく防いで見せたのだ。
(さてどこまで守りきれるかしら)
リナには彼女を倒そうという考えはなかった。というのも先ほどの攻撃どれを取っても強力な一撃、最後にはなった魔法なんて食らえば致命傷であった。正直防御で精一杯であった。そして何より、
(エレーナさんたちがこちらに向かっているはず……)
先ほど離れる前に人志が連絡を入れていたのをリナは知っていた。
(エレーナさんたちがくればこちらのもの!)
エレーナ自身相当の実力者、彼女一人でニコに勝てなくても一体二、あるいは一体多ならばこちらの勝率の方が高いからだ。
「グルルルル」
それをなんとなく感じ取ったのか、ニコは勝負を急ぐように攻撃を仕掛ける。再び両手でドラゴンの口の形を作り、高温なビーム光線を放つ。それをリナは先ほどと同様にパーフェクトシールドで完全に防ぐが……
「ウソ!」
リナは驚いた。なんと彼女はそのような強力な魔法を放ちながら、電気の槍を再び4本ずつ数は少し減ったが左右から飛ばしてきたのだ。
(間に合わない!)
正直なところ今の攻撃は全くの予想外であった。其のためリナは、覚悟を決めてマクドネルに近づき、迎撃に当たる。
「パーフェクトシールド!!マジックオブシールド」
左側にはパーフェクトシールドを引き完全に迎撃する。しかし問題は右側であった。マジックオブシールド、こちらはアイ明日の盾とは全く無関係に生み出された魔法の盾、よってこちらはリナの魔力に依存する。そのためにこの方が魔力が高いため完全位防ぐことは不可能であった。
ガラスが割れるかのような音をしてリナが発動させた魔法の盾は砕け散る。意識を全力で向けて作り出したためなんとか二つは消滅させることには成功したが、残り二つはそれができなかった。
「ガハッ!!」
幸いなことに消滅させることはできなかったとはいえ、弱体化には成功していたようだ。そのため致命傷にはならなかった。しかしそれでもその二本の槍はリナの左足と右肩に突き刺さり出血も酷かった。
「ヒイイいい、おい、あんた俺を守るんじゃなかったのか!何をしているのだ!」
怯えながらリナに向かってそう叫ぶ、余裕のない表情であった。なんせ彼の目の前にはニコが立っているのだから。
「グルルル。…マクドネル…殺す……、ユスフの為……」
ニコはかたごとながらそういう。
「い、嫌だぞ!俺はあんな奴なんかのために死んでいい男じゃない!」
そう言いながら後ずさりするマクドネル。しかし逃さまいと右手を振り上げるニコ。
「はああああぁ!!」
そこに怪我をして動きが鈍くなりながらも全力で仕事を全うするためにリナはニコに立ち向かう。しかし彼女はにこの場所へ到達する前に地面に叩きつけられる。
「……ぐ、グラビテーション……」
重力魔法によるものであった。しかしそれはリナが今まで受けてきたもの以上の威力であった。手負いの彼女には破ることはできなかった。
「う…、うああああああああああああああああああ!!!!だ、誰かー」
グシャリと生々しい音がする。それはニコがマクドネルに裏拳をしたことによって、マクドネルの頭がえぐられたためにできた音であった。
(そ、そんな……)
彼女はショックを受ける、マクドネルが死んだ。それは今回の仕事の失敗を意味するからだ。
そしてニコは唸り声をあげながらリナを見る。まずいと本能的に察するリナ。自分もマクドネルと同じような末路を辿ることを察したのだ。
だがその末路を辿ることはなかった。ニコは突如血飛沫を飛ばしながら膝をついた。
「グオオオオオオ!!」
先ほどまで少し人の言葉を発していたが、いまはもうその片鱗すら見えない。しかしそれを気にするよりも先に確認することがあった。それはなぜ倒れたのかだ。その理由は明白であった。
「リナさん大丈夫ですか!」
後ろから凛とした声が通る。その声はリナがよく知っている声であった。
「エ、エレーナさん?」
その空中には以前のエンジェルのアジトの突入の際使用したカンメッロにのりながら、右手にはショットガン“オートンヌ”、左手にはマシンガン“イヴェル”を構えたエレーナがいた。さらにーー
「ふん!」
膝松いたニコに追撃の一手を加えるために地上から凄まじいスピードを持ってニコに襲いかかり、その手に持つ槍“オーディン”でニコの体を切り刻む。その男はアギアであった。
「アギアさんも……」
リナは安堵した。マクドネルを守れなかった責任を感じつつもやはり助かったのだ。いくら離れしてもやはり多少そのように感じても誰も責めることはない。
「大丈夫ですか?今私の部下が来ます。彼らに運んでもらってください」
エレーナはリナに近づいてそのように勧め、彼女の注意はニコに向けられた。アギアは既に構え、準備は整っていた。
2人に立ちふさがるニコは先ほど以上の脅威の再生速度を見せた。もう完全に回復しているようだ。少なくとも表面的には……
「恐ろしい回復速度ですね……」
流石のエレーナもこれには驚いた。
「……しかし、体力的にはどうやらその限りではないそうだ」
アギアはニコの体力が消耗していることを見破る。
「そのようですね。ならばどんどん深い傷を負わせてやりましょう」
そう宣言して、エレーナはイヴェルを連射する。さらにそこにアイスオブスピアを6本叩き込む。それに対してニコは銃弾は受けても問題ないと判断し、その身に受けつつしっかりと氷の槍を防ぐ。しかしその行動により、前方がガラ空きとなってしまった。そこにアギアはオーディンを貫く。
「グオオ!」
その槍はニコの心臓を貫いたのだ。
(勝ったな……)
そうアギアは判断した。その心臓から膨大な魔力が感知できた。そのため心臓が彼女の強さの源と判断した。ならばそれを潰せばいいだけであった。
アギアはゆっくりとやらを抜こうとしたが……
「⁉︎」
その直後ニコはアギアに向かって裏拳をかます、それに反応して後ろは大きく飛ぶ。
「……なんたる生命力、心臓を潰したと思ったがどうやら槍を指した程度では彼女の心臓は潰れないということか……」
「恐ろしい話ですね……」
アギアの驚きに同調するエレーナ。それに対してニコは苦しそうにその槍を引っこ抜く。その直後大量の血液が流れ出るが、それでも死ぬ気配はない。
そしてその状態で謙也達を行動不能にさせた魔法フォールンエンジェルを放つ。それはエレーナ達に直撃する方向であった。それはすぐさま感じ取ったアギアは瞬時に竜人の特性である、竜の力の解放を行使する。その直後凄まじい身体能力が彼に宿る。今の彼にあの強大な魔法からエレーナを連れて逃げることは容易であった。
アギアがエレーナを抱え安全地まで逃げた瞬間彼らが元いた場所の地面は抉れクレーターが一つできていた。そしてニコはその場にいなかった。
「ありがとうございますアギア。助かりました」
素直にお礼を言うエレーナ、それに無言で反応したアギアはニコが立っていた場所を見つめる。
「どうやら逃げられてしまったようですね。しかし今優先することもありません。どうせ護衛対象は既に死亡しているようですし……」
そう言いエレーナは無残な死体を見ながらそう言う。
「リナさん達が無事であっただけ良かったと言うことにしましょう。今回はあまりに相手が強すぎました。」
「……そうだな」
アギアはエレーナの言葉に同意する。
――――――
その後エルクがいる職務室にエレーナ、アギアを除く4人が再び集まることとなった。
「まずはみんな無事でよかった」
エルクはそのように述べる。その言葉に嘘偽りはない。その証拠に彼の表情は安堵の色を見せている。
「今回の件によってマクドネルは死亡した」
その言葉に皆なんともいえない表情をする。やはり同情できる人物でないにしろ、死なせてしまった責任は少なからずあったのだ。
「しかしこれは君たちの責任というのは些か酷だ。それを指示した人物である私の責任という方がふさわしい。だから皆すまない」
エルクははっきりと自身の責任といい、頭を下げた。それに戸惑いを感じる謙也達であったが、気にせずエルクは続けた。
「今回の件でガント人民共和国の条約反対派から非難が噴出している。国民もそれに同意している。さらに他の国もそのような動きがガントほどではないにしろある。となると今回の策は失敗だ」
エルクはきっぱりと告げた。
「そ、そんな……」
どうやらクリスティーネは少なからずショックを受けているようだ。
「やむを得ないことだ。元々無理のある条約だった。それが今回共通の敵を少なからず追い込めるというメリットがあったからここまで来れた。しかし今その敵はこの騒動でさらに力をつけただろう。もはや協力するための基盤は崩れた。ならばこのような主権を一部放棄することはないだろう」
エルクは丁寧に事を説明した。
「しかし我々はこのまま終わらせるつもりはない。今回現れたあの敵、あれは今まで以上に強力な相手であった。それを生み出したのは、やはりガント。その中でも軍事省のアーノルド、そして道化だろう。」
そう言うエルクは忌々しい顔つきをする。
「今回でアーノルドと道化がつながっているのは中々いい戦果と言える。そして彼の警戒度をさらに上げることとなる」
「確かにあの道化と繋がっているのではな……」
人志も同意した。
「この場にいる全員道化と一度はあっているから分かるはずだ。奴は最も恐ろしい男だと言うことを。いいか我々の目的の一つはあの道化を倒すことだ!何故なら奴は何故か我々に絡んでは残酷な目に合わせてくる、それも嬉々としてだ。奴は倒さなくてはならないそのことを肝に免じてほしい!」
「「「了解!」」」
全員そのことを理解しているのか、全員はっきりと返事をする。それに満足してかエルクは退出しても良いと許可を出した。
しかし謙也、いやその場にいたクリスティーネ、人志もそうだろうが、逃げたニコがそしてユスフはどうなったのだろうかそれが気がかりであった。しかしそれをさらにも手段がない。しかし謙也達は彼女の話を聞いてしまった。だからせめて少しでも彼女達に救いがあることを願った。彼らにできるのはそれしかないからだ。
これでいよいよ10万字超えました╰(*´︶`*)╯
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