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僕たちはこの非情な世界で抗う  作者: MASANBO
望まずテロリストとなった者たち
33/80

フロランス総書記

昨日は更新できなくてすみません。

 

 ー我々ガント人民共和国はテロには決して屈さず。最後まで戦うつもりでいる。そのため我々はーー


 何度目か分からないテレビの放送が流れてくる。ガント人民共和国のトップ、フロランス総書記の言葉であった。このところテレビをつけるとこの話ばかりであった。謙也は流石に見飽きてしまったのか、最後まで聞かずにテレビの電源を切った。


「よくもまぁ、ここまで強く出れるな。自分たちの方がよほど後ろめたいことがあるはずなのに」


 思わずそう言いった。


「そりゃ国のトップなんだから強気になる必要もあるのだろう。それにもしかしたらあの総書記、何も知らないということも考えられるぜ」


 隣にいた人志がそう言う。


「ありえますか?トップが知らないなんとこと」


「さあな、意外とありえるかもしれないぜ」


 人志は無責任にそう言う。謙也も別に議論をするようなことでもないので特にそれ以上何も言わなかったが。


「それよりも早く行くぞ、今日は久しぶりにゆっくりできたが、また今から地獄だぜ」


 そう言い人志は立ち上がった。


 地獄というのは訓練のことだ。あれからもう数ヶ月が経っている。流石にその間何もしないというわけにもいかない。ではどうするか?謙也たちは軍人かと聞かれればそうではないが、軍人のような事を多く行う。そのためには訓練が必要だ。それもこれまで以上にきついのが、謙也は正直まだまだなので特にきつかった。


 ある日マルティンに呼び出され、銃器の扱い等を一通り叩き込まれ、川に飛び込まされた川岸まで着衣のまま泳がされ(なおその距離は5㎞はあった)、そのあと標高2000mほどの山に登らされた。しかもその場所は例の如く未だ発生し続ける(数は随分減ったが)キメラ、その他の肉食動物がいた。そのため無我夢中で持たされた拳銃を打ったり、童子切安綱を振りまくったのは良い思い出だ。


「あれをもう一度味わうのですか……」


 考えただけで嫌になることがこれから待ち受けているとなるとやはり足踏みしたくなるものであった。


「いや体力はだいぶ付いたからそのメニューはないと思うぜ。……どちらかというと実践メインの戦いになるかと」


「それはほぼ同義語です」


「だよな……」


 流石に仁志も苦笑いをした。とはいえこの世界に来て危険なことも多いことはすでに理解しているため、サボるということは謙也の考えにはなかったため、おとなしく集合場所へ向かうことにした。


 その後謙也は人志とマルティンと共にドラゴン狩りに行かされて死にかける羽目になる。ただそこでさらに力をつけたため結果オーライということになったのだが。

 ーーーーーーーーーー

 ガント人民共和国総書記フロランス、エルフ族のものである。もともと有名な議員の娘である。つまり2代目ということだ。しかし親の七光りに甘えることなく、しっかりと学問を修め、特に経済などを中心に学んで来た。信望も厚く、ここまで登り上がって来た。決して綺麗とはいえない議員の中ではかなり綺麗な部類に入る者であった。もちろん多少汚れているところはあるが、それは理性と感情を持つ生き物である以上仕方のないことであった。その彼女は平時であれば間違いなく素晴らしいトップだと言われて来たのだ、しかしいまの時代の流れはそうではなかった。


「ふぅ、力不足が否めないわね……」


 そう思わず弱音を吐いてしまう


 例の条約について様々な非難が当然出た。それは国会の中だけでなく一般国民の中でも賛否が分かれた。ただ幸いなことなのは世論も国会もわずかながらこちらに利があったということだ。それはおそらくいまの現状を危惧しての事なのだろう。そのことにフロランスは少しばかり安堵を覚えたものだ。


 しかし、安心はできない。何かあったらすぐにひっくり返ってもおかしくはない。早い段階で批准をするべきだろう。しかし国家間の条約の締結に限らず、やはり時間がかかるものだ。私人間で契約するならものの1時間もかからないうちに決まることだって多いが、そうもいかないのだ。いくら一党独裁体制とはいえ、フロランスの一言で全て決まるわけではない。人によったらそれが可能な人間もいるだろうが、彼女にはその力は持ち合わせていないのだ。


「失礼します。フロランス総書記、エルク総合行政官からお電話です」


 秘書の獣人がそう伝言に来た。


(そういえばそろそろ電話会談の時間であったわね……)


 最近疲れて来ているのか、どうも物覚えが悪くなって来ている気がした。この程度でトップなのかと言われても仕方のないことだとフロランスは思った。


「ええ、今行きます。どうもありがとう」


 一言礼を述べた上で、椅子から立ち上がり、自身の職務室にむかう。まだまだやらなくてはならないことは山積みだ。自分にたとえ力がなくともこの国のトップ、投げ出すわけにはいかないのだ。そう自身に言い聞かせ、気持ちを切り替えるのであった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

感想等お待ちしてます。

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