飛空挺デルフィーノ
第2章もさてそろそろ動き始めましたね
第19話目です
クリスティーネに不安を打ち明けてから二日が経った。この日は午前3時、いつもならベッドでまだぐっすりしている時間に謙也は目覚めることとなる。
「おはようございます」
「あら、おはよう。きのうはゆっくりねむれた?」
年上らしく謙也を気遣うリナ。
「ええ、いつもと変わらないくらいには……」
リナの問いかけに謙也も答える。
「おはようございます」
「おはよ~」
後ろから声がした。クリスティーネと人志だ。クリスティーネは元気に今日もかわいらしく挨拶する一方。人志は普段この時間には起床しないせいかとても眠たそうだ。
「あなたこれから戦場に行くのにきがぬけすぎじゃない?」
あまりにも気が抜けているように見えたのだろう。リナは少し強めに人志をたしなめた。
「わかっていますよ。俺もそれなりに場数を踏んでいます。油断することがどれほど危ないかも理解しているつもりですよ」
先ほどの気が抜けた様子とは打って変わって、その眼には力強いものがあった。
「それならいいの」
その返答に満足したのかリナはそれ以上何も言わなかった。
「皆様おはようございます」
「……」
次にやってきたのはエレーナとアギアであった。こちらは相変わらず丁寧なあいさつをするエレーナに対して、アギアは全くの無言であった。
「そろったか?」
そして最後にやってきたのはエルク・マジソンであった。エルクは全員集合していることを確認したのちに、「ついてこい」とただ一言言って再び扉のほうへ向かっていった。それについていくように謙也たちもエルクの後を追った。
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連れてこられたのは、この施設の屋上。謙也とクリスティーネに関しては始めてくる場所であった。そしてそこにはノール、リザードマン、エルフ、竜人それぞれ3名ずつ、総勢12名の者たちがすでに武装を整えたうえで待機していた。
そして何よりも身に入るのは全長20mほどの飛空艇であった。この大きさはあまりおおきくないだろう。しかしこの人数なら十分だとも思える。飛空艇『デルフィーノ』、ドラゴーネ社によって作られた一品だ。
「おぉ、これに乗るのですか!」
「……人志よ」
今日初めて口を開くアギアの第一声は人志をたしなめる言葉となったようだ。
「わかっていいるって」
だが、リナの時と比べ少し返答が軽い。案外仲の良い間柄なのかもしれない。アギア自身、人志の対応に腹を立てている様子もない。
そう思っていると、一人のリザードマンがエレーナに近寄ってきた。
「エレーナ中尉、こちらはすでに準備は整っています」
(エレーナさんて軍人だったんだ……、しかも中尉とは)
「驚きましたね謙也さん。エレーナさんがそんなに偉い方だとは」
どうやらクリスティーネも驚いていたようだ。
(となるとアギアさんもそれなりに偉い方なのでは?)
あまりエレーナとアギアのあいだに上下関係というものがあかったため、おそらくアギアもエレーナと同等の立場にいるのであろうという予想を謙也は立てた。
(まぁ、聞けないけどな)
謙也はアギアと会話したことがまだない、それなのにいきなり聞けるはずがない。
「よろしい、それではエルク様ただいまから風桜山にむかい今からおよそ一時間後AM4時よりさくせんかいしとします。」
リザードマンより準備完了の報告を受けたエレーナは優しそうな雰囲気を消し去り、上官として威厳ある態度をとった。
「よろしい、では総員改めて言っておこう。今回相手はテロリストだ。容赦する必要がない。向こうから投降しない限り基本的にはこちらから呼びかけるのは突撃前の一回で結構。ただ主要三名は確実にとらえよ」
「「「「「「「「サー!!」」」」」」」
しっかりと訓練が行き届いている者たちばかりなのであろう、ハート・サルート一つ取っても全員様になっている。
「では全員すぐさま搭乗してください。デルフィーノは今より3分後に出発します」
エレーナの一言により全員迅速に行動を開始し始めた。
「ほら、二人ともぼっとしてないで行くわよ!」
リナの呼びかけに反応して謙也とクリスティーネはみなより少々遅れながらも飛空艇デルフィーノへ搭乗するのであった。
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