第47話 ダブルデート(ただし俺とチャラ男と女子小学生二人、うち一人は妹)
お待たせしました!
い……言い訳をしますと(震え声)
書き出し祭りの作品を今全部読んでいて、それと新作にも手をつけていて、そしたらこちらの書き方が分からなくなるという……。
申し訳ありませんでしたm(_ _)m
午前一〇時。俺は最寄り駅の広場で琴歌を待っていた。夏休みなので人が多いと思いきや、平日だからか思ったよりも人は居ない。
今日は琴歌の言っていたダブルデートの日。結局俺は琴歌の要求を断りきれずに、こうして来てしまったというわけだ。
にしても。
「琴歌はまだか……?」
一緒の家に住んでいるのに『先に行って待っていて』という謎のお達しにより、俺は現在待ちぼうけを食らっている。約束の時間までは後二〇分間程あるため全然遅刻ではないのだが、俺が家を出る時には既に用意が終わってたしなぁ。
そのままぼーっとしていると、視界の奥で誰かがゆっくりめに走ってくる。ポニーテールをふりふりと揺らしてこちらを見ている少女。昨日買ったピンクのブラウスにデニム生地のショートパンツ。噂をすれば。
「お、遅れてごめん! おに……じゃなかった、悟君!」
「いや、別に……ん? 琴歌だよな?」
「そ、そうだけど? 何、悟君ってばどうかした?」
むず痒そうな顔で答える琴歌。それに少し照れ臭そう。
え、今完全に『悟君』って言ったよな? いつもは『おにぃ』って言ってるのに?
「こ、琴歌? その呼び名はどうしたの?」
「え、いつもこうだよ〜? 悟君ってばおっかし〜」
「……あ、そう。まあ、琴歌がそう呼びたいなら別に良いけどさ? ちょっと慣れなかっただけだしね」
「そ、そっか! ……ゴホン! 遅れてごめん、悟君!」
「? 別に大丈夫だけど……あ」
琴歌の心を読んで、何を求めているかがわかった。長岡さんの十八番の、相手が欲しい言葉を選択するってやつだね。
「俺も今来たところだよ」
「……!」
憧れのシチュエーションだったんだろうね。言われた琴歌はキラキラと目を輝かせた。
「う、うん! 待たせなくて良かった!」
「はは、本当は一緒の家に住んでるのにね」
「もう! おにぃってば空気を読んでよ! 今はそういうこと言っちゃダメでしょ!?」
「呼び方戻ってるよ」
「あっ! ……悟君のバカ!」
ふん、と琴歌は俺から顔を背ける。小さな身体で怒りを表すのは何となく微笑ましかった。
それから五分程二人で待っていると、正面から身長の高い男と小さい女の子が手を並んで歩いてくるのが見えた。男は白デニムに黒のシャツ、女の子は水色のワンピース。
……うん。間違いなく、操二とソラちゃんだね。
「お、悟クン! 奇遇だねーこんなところで」
俺を見つけるなり操二はこちらへ来る。この様子だとダブルデートの相手が俺だとはまだ知らないよう……というか、知ってるわけがないんだけどね。
「……操二達は、その。デート?」
「もち! てかそうそう、聞いてよ! ソラちゃん退院出来てさ! 報告遅れてごめんね!」
「お兄ちゃん、久しぶり!」
「うん。久しぶりだね、ソラちゃん」
「え!? おに……じゃなかった。悟君とソラちゃんって友達なの!?」
ようやくソラちゃんに気付いたのか、琴歌が大きな声を出して目を丸くした。その声にまたビックリしたのかソラちゃんまで驚いていた。何か可愛いな。
「琴歌ちゃん! あれ、てことはお兄ちゃんが琴歌ちゃんの彼氏さん……?」
「おに、お兄ちゃんじゃなくて悟君! 琴歌と悟君は兄妹なんかじゃないからね!」
「? うん」
何もそんな必死に否定しなくても……。まあ琴歌もバレたら変に思われるって自覚はあるんだろうけどさ。俺に対するそういうのも、一過性だと良いのにね。
「操二、ちょっと良い?」
「え? 良いけど」
琴歌とソラちゃんから少し離れ、操二だけを呼び出す。とりあえず俺と琴歌の説明だけはしておかないと。
こっちへ来た操二は俺を見ていたずらっぽくにやっと笑い、耳打ちをする。
「悟クンも小学生と付き合ってたとか、オレらって似たもの同士?」
「そのことだけど違うから! あれは妹で……」
「妹とつきあってるとかマジやべーな悟クン!!」
「待て待て早とちりするなって!」
勝手にどんどんと妄想を膨らませる操二。
いつかの操二と立花さんと一緒に登校した時を思い出すな……。あの時も操二のせいで変に拗れたし。
「今日操二はダブルデートに来たんだよな」
「何だ、知ってたんだ。てか相手って悟クン達か。凄い偶然もあるもんだな!」
「だね。えっと、琴歌……、うちの妹がソラちゃんと学校で仲良くなったみたいで。それでソラちゃんがデートをしたいけど恥ずかしい、それならダブルデートは? って勧めたのが今回の経緯らしくてさ」
「なるほどね。んでソラちゃんの彼氏は高校生だから、妹ちゃんも合わせるためにお兄さんに声をかけたと」
「……うん、まあそんなところかな」
多分本当のところは琴歌の本心に鑑みるに、それが一番の理由ではないだろうけどね。ただ一々言うことでもないし、説明はしない。
「ソウジー! お兄ちゃーん! そろそろ行こうよー!」
「そ、ソラちゃん! おにぃじゃないって何度言ったら……」
「オッケー! ほら、悟クンも行こうぜ!」
「ああ、うん」
操二の後ろを歩き、琴歌とソラちゃんの元へ行く。操二は戻るなりソラちゃんの頭を撫で、楽しそうに笑った。ソラちゃんも照れながらも嬉しそう。
そして、そんな二人を見た琴歌から。
「おにぃ」
「ん、はい」
すっと手が差し出される。いつもの手を繋ぐ合図で、俺は迷わず取った。琴歌の小さい手はいつ握っても柔らかいね。
そしてそんな俺と琴歌を見て、操二は半笑い、ソラちゃんは顔を赤らめて目を逸らしていた。
(……うっわぁ、悟クンやっぱすげーな。こういうのシスコンって言うんだっけ?)
「待って操二。言いたいことは手に取るようにわかるから。手を繋いだのはただの癖で」
(癖になる程手繋いでるってことか。流石だなぁ)
「いや良いから何か話してよ!?」
「お兄ちゃんと琴歌ちゃんって、ラブラブなんだね!」
「……おにぃと、ラブラブ」
「琴歌までそんな反応したらツッコミ追いつかないよ!?」




