いやらしい身体の美少女、サクラ登場。
この町に到着するまで
カルマは少しの疲れも見せず、僕を支え続けてくれた。
砂地に、コンクリートのような物で作られた建物が並んでいる。
元は真っ白であったであろうその壁は、劣化していて、よごれが目立つ。
時々、強い風があたりに吹き荒れ、砂がまきあがり視界をさえぎっていた。
「・・・・・・」
五〇代くらいの長い顎ひげをはやした男が僕とカルマをにらみつけている。
「気にしないで。行こう」
カルマはそう言って、僕の手を引いた。
砂が吹き荒れる、小さな町の住人達は次々と家の中に入っていった。
歓迎モードとは無縁とでも言うかのように。
所々、ひび割れているコンクリートのような物で出来た灰色の建物の中。
アジトと呼ばれるこの場所に到着したのは、ついさっきの事だ。
「ここで、ちょっと待ってて」
カルマにそう言われ、なすすべなく突っ立ている自分が無力に思える。
アジトがあるこの町についたのはいいけど、想像したとおり、町の住人の視線は冷ややかだった。
カルマは
「気にすること無いよ。私は味方だから、安心して」
そういって僕を励ましてくれたけれど・・。
まるで、犯罪でも犯してしまったかのような、そんな気持ちになる。
ずっと立っているのにも飽きて、僕は辺りを見てまわった。
もちろん、この部屋からは出ていない。
カルマ無しでは、誰かに、何かされてもおかしくない。そんな空気がこの町をおおっていたからだ。
一般家庭のリビングくらいの大きさの部屋には、窓はなく、殺伐とした雰囲気がただよっている。
机はあるのにイスがない。机の上には地図のようなものが広げられていた。
もしかしたら、この世界の地図なのかもしれない。
世界地図にある土地と呼べるものの大きさは、学校の教科書にのっていた世界地図とあまり変わりなかった。
ただ、海のような所が所々赤く塗られているのが気になる。
ここは、果たして海なのだろうか、実際に行って確かめる気はおきないけど。
?マークが頭の中で高速回転しているのは、どうにも止められないらしい。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ガタっ!
背後から物音が聞こえた。
僕は、木箱が積まれている所から(僕の背丈ほどの高さ)
一歩。
また一歩。
音の鳴った方へまわりこみ、
積まれた木箱の右側から奥をのぞき込んでみる。
「っ・・・・あなた・・誰ですか?」
そこには、小さく体育座りをした少女の姿があった。
髪は左右に三つ編みで、地毛なのだろうか?綺麗な赤毛だった。
大人びた声とは対照的な、幼い顔立ちをしている。そして、胸が大きい。すごく、大きい。
おそらくGカップ位はあると思われる。
外見年齢的に、14歳くらいなのに・・。いやらしい身体にも程がある。
大きく、丸い目の中の瞳は明るい茶色で透明感があり、引き込まれそうになる。
服装にいたっては、カルマと同じ様な軍服で地味な色味を帯びていた。
その色が逆に、彼女の髪の色を引き立てているといっても過言ではない。
「誰ですか?って・・それは、こっちの台詞なんだけど」
「私だって。それは、こっちの台詞です!」
あくまでも、自分から名乗る気はないらしい。
甘い見た目に反して、ツンツンした性格なのかもしれない。
服装から見るに、カルマの仲間だろうし・・ここは、僕から名乗ることにする。
「僕は、田中ヒデト。よろしく」
ここじゃない世界から来たことは、まだ、言わないことにした。
カルマは僕に対して友好的だったけれど、彼女はそうとは限らないからだ。
「変な名前・・・」
「・・・よく言われる。君は?」
「私は・・・サクラ」
「サクラ・・・」
一瞬、頭によぎった。サクラ・・桜。
入学式になれば目にする、僕の世界の土地に咲く花の名前。
「それは、君の本名?」
「ううん。違う。私、記憶をなくしてて・・。名前はカルマにつけてもらったの」
「そうなんだ・・」
どうやら、思った通りカルマとは知り合いらしい。
しかし、彼女の本名が「桜」で。名字があれば、もしかしたら・・。
自分と同じようにこの世界に迷った人なのかもしれない。と
そう思ったのに・・・。
僕は少しがっかりする。