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異世界に来たやつ皆、XX !  作者: なみやん
第一章  異世界へ
6/8

ヒデト。異世界を受け入れる

「君は、別の世界からここに来たんだよね?」


 カルマが僕に問う。

 おそらく、別の世界というのは僕が今まで生きてきた、あの現実のことなんだろう。

 ここが、異世界。つまり、僕のあたりまえを否定する場所なら、地球上に存在しない場所であるのなら、それは。

 この年にもなって、サンタはいると大勢の人のの前で言い張るのと同じだ。


 「ここは、日本じゃないのか?たとえそうじゃなくても、ここは地球上だろ?」


 僕はおそるおそるカルマにたずねる。

 ノーという答えは、かえってこないと確信しつつ、聞いてみることにした。


 「日本?地球?それ・・君がいた世界の名前?」


 ノーでも無かった。質問を質問で返されるとは想わなかった。

 だけど、これで、この現状が現実味を帯びてきたようなそんな気がする。

 精神状態が落ち着いてきたからなのか、僕の視界は少しずつではあるけれど開けてきた。

 森にふりそそぐ、木漏れ日がカルマの顔を照らす。

 十代後半くらいの、あどけない顔立ち。

 その幼さにそぐわない銀髪のショートで、長いまつげが風にゆれている。

 肌は褐色で、華奢な体に不釣り合いな、巨大なマシンガンのような物をせおっている。

 それでも様になっていたのは、彼女が来ていた軍服のような衣装の存在感があったからだろう。

 服も靴も土にまみれていたけれど、りんとした美しさがそこにはあった。

 そんな彼女が真剣な表情で僕に疑問をなげかけている。

 日本を知らないならまだしも、地球がわからないなんて。

 彼女の言葉は、とても冗談には聞こえなかった。

 本当に、知らないのだろう。

 僕が知ってる、日本も地球も。


 「僕は、地球にある日本っていう所から来たんだ。ここは、どこなのか教えてほしい」

 まるで、自分の住所でもいうかのようにすらすらと彼女は答える。


 「ここはロスト・ワールドのフォレスターという村よ。見ての通り、周りは沢山の木でかこまれているわ」

 「木?これの事、木って呼んだ?」


 僕は、木を指さし、学校の授業でならったディス イズ ア ペンのように、常識であることをわざわざ口にする。


 「えぇ、木よ。私たちの世界ではそれは木、それが沢山あつまったものが森。あなたの世界でもこう呼ぶの?」

 


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





 「うん!同じだよ。これは木で、ここは森の中」


 全くの見知らぬ土地で、自分と同じ日本人を見つけた時のような喜びがわきあがる。

 喜ぶ僕の姿をみて、カルマは


 「ほかにも同じところがあるかもしれないわね」


 と、柔らかい笑顔で言った。


 「さぁ、日がくれないうちにアジトに戻らないと。また、あいつがくるかもしれないから」


 「あいつって・・・さっきの?」


 「そうよ。あいつは必ず,またおそってくる。私には危害は加えない。けど、あなたは違う。あなたは、異世界からここへきてしまったから」


 !そうか・・・彼女が無傷ですんだのにも納得がいく。

 現地の人、この世界の住人には無害なんだ。


 「どうして、異世界から来た人だけおそわれるんだろう」

 ひとり事のつもりが声にでてしまっていたらしく、カルマが答える。


 「あいつはこの世界の政府の使いだから、異世界から来た人が何か問題をおこすまえに対処する。それが、この世界のやりかたなのよ。私は、それが納得できないの。だって、おかしいじゃない。何もしていないのに、消されてしまうなんて・・」


 消されてしまう・・。

 やっぱり、山田はもう消えて無くなってしまったのか。

 これから、あの男にねらわれ続けるのなら、彼と同じ運命をたど日も遠くないはず。

 その前に、もとの世界に帰る方法を早く見つけないと・・。


 「なぁ、えーと・・(呼び捨てにしていいものか悩む)」


 「カルマでいいよ。私はヒデトって呼ぶから」


 カルマがフランクな性格で助かった。

 これで、変に遠慮せずに話せる。 


 「カルマ、僕は・・元の現実に。僕のいた世界に帰りたいんだ。もともと、ここに来たのは僕の意志じゃない。もう一人、一緒に来てしまった人は・・マントの男に消された。何か、何でもいい。少しでも可能性があるなら、それにかけたい」

 僕は僕なりに考えていた。


 ここが、あっちの世界の人にとって危険な場所であるなら、マンホールがあったこの世界の入り口を、完全に閉じてしまわないといけない。

そうじゃないと、また同じ事が繰り返されてしまう。

 仮に、マントの男を倒しても、カルマの言う政府はまた刺客をはなつだろう。

 そして、おそらく、こっちにはあの入り口をふさぐ事は不可能。

 できるなら、もうとっくにやっているだろうし、わざわざ政府が動く必要もない。

 入り口さえなければ、こんな事、起こりえないのだから。。。



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