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如月 恭二 食のススメ  作者: 如月 恭二
6/10

暑い時期こそ

暑い時期こそ要注意!

熱中症は勿論、身体を冷やさぬように。

 へい、いらっしゃい!

 世の中結構なこった。御一新──維新のこと──から、何年経ったとかな。

 ほら、よく言うじゃねえか。“革命に流血は付きもの”ってな。なに、悪い意味じゃねえんだがよ、新しい考えってのは受け入れられるのに何かと時間が掛かる。世に名高い浮き世の作者も、油絵の天才も──誰だってそうさ。

 時を経て初めて──大抵その場合、受け入れられなかった者が逝去(せいきょ)しているが──、認められるもんだろう。


 つまりだな、人斬りだの、やれ天誅だと騒いでいたのはそう言うところから来ているのさ。都合が悪いとか、当時の約定。或いは因習だとかな。

 死人に口無し、って訳さ。まあ、ふと思い立っただけさ、俺が言ったことが全てじゃねえ。そうだろう?

 ある人斬りは、一新後に人斬りとして死んだ訳だしな。そう言う、本物の志士って奴も居たんだろうさ。


 なに、わあるどかっぷ(・・・・・・・)

 ……生憎と俺ァ、武術に剣術、後は卓球位しか語れる事が無くてな。あぁそうさ、不得手なんだよ──悪いか!?

 国を背負って立つ、って言葉のばあげんせえる(・・・・・・・)だろう?

 分からなくもねえが、アナウンサーが話すのと、実際に戦う兄ちゃん達が胸に秘めるのとは訳が違う気もしてな……。

 ……ああ、止めだ止めだ!

 こんなもん何時まで話してたってしょうがねえ。要は、語り手と受け取り手の違い──話としちゃあそれだけの、単純で下らねえ構図さ。

 なに、俺がひねてる?

 ──はは、言うねえ兄さん! ま、いつものように品書きでも眺めてくれ。


 職人には程遠いがな、こういう人種は大体ひねくれてるもんなのさ。気にするない。ちょっと俺も調子に乗りたくなったのよ。



   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎   ◎



 ──しっかし、暑いねえ!

 こうも暑いと、今年の冬はもっと暑くなるだろうな!

 ……待て、悪かった! 悪かったって!

 ちょっとした冗談じゃねえか……。


 さて、気を取り直して……。

 どうにも暑いってんで、辛抱堪らんとばかりに冷たいものを摂りがちだよな。誰でもそうさ、暑ければあいすくりいむ(・・・・・・・)を食べるし、冷やした酒で喉を(うるお)しもする。

 いいよな、きんきんのビールや日本酒。食後にゃ冷たいかき氷とかな。

 いや、俺ァ要らねえよ。客からの施し受けてちゃあ店主の肩書きも形無しだ。


 ……だが、冷たいものは身体を冷やしちまう。特に内臓が冷えて、十全な働きが期待出来ねえらしい。そのせいで基礎代謝(きそたいしゃ)が落ちて夏太り、ってェこともある。水太りもそうだな。


 別段温かく無くても、常温でもいいんだ。兎に角、冷たい食べ物ばかり食べるのも考えものなのさ。

 因みに、俺ァこの時期は“湯豆腐”にはまっちまってな。ただ豆腐を()でて、ポン酢や醤油(しょうゆ)で頂くだけの単純なものだが、食べて見るとこれが案外乙なものだ。

 醤油で塩分は補えるからか、湯豆腐の味が身体に沁みわたるようだぜ。高タンパク、低脂肪だしな。何より安いから、経済的で(さかな)にもなる。

 絹ごし豆腐の柔かな食感──これもまた優しい味わいを引き立ててるんだ。


 最近の俺のイチオシ、さ。


 後は、そうさな。

 “キャベツの炒めもの”とかな。

 なに、簡単さ。お宅でも簡単に出来るとも。何せ、具材はお好みだし、手っ取り早くベーコンとウィンナーを一緒に炒めれば出来上がりだ。野菜も摂れるし、ウィンナーなんかの材料である豚肉には疲労回復効果もある。更に言えば、糖質をエネルギーに変える作用もあるらしいぜ?

 そいつらをガーリックソルトで味付けしてやれば抜群って寸法よ。暑い時期にゃ持って来いだろう。



 さて、今日はそろそろ店を畳むわ。何せ、現場仕事なんでな。

 とは言え、プラントの構内作業が当面は続くらしくてな……。毎日毎日、職人じゃなくても良いような仕事ばかりで参ってンだ。

 外現場はキツいが、楽しくてな。


 ──じゃ、ちょっくら行って来る。またな。

冷たい素麺ばかり食べてると、栄養が偏るし夏バテの要因になりかねないのでご注意下さい。

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