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東方遊楽調  作者: 甘味処アリス
第1章〜子供達の黄昏〈人超異変〉編〜
12/24

第十一話『紅き吸血鬼は聖処女を喰らい尚黒く染まる〜人超異変第六面、大ボス〜』

やっと異変終了……疲れたでござる


「私の咲夜を、よくも……!!」


 俺の視界に映る少女は、憤怒を露わにした形相でこちらを睨んでいたが……その怒りが吸い込まれるようにふっと消えていく。


 憤怒の形相の少女こと、紫髪の少女が、ニヤリと牙を剥き出しにして笑った。そのあまりの変わり身の早さに、薄気味悪さすら覚える。

 その姿は、エリザベート・バートリーを彷彿とさせる暗黒に染まった衣装と……何より特徴的なのは、鉄の処女(アイアンメイデン)を片手に持っていたことだ。


 エリザベート・バートリー……ハンガリーの貴族であり、実在した連続殺人鬼の中ではジャック・ザ・リッパーに次ぎ、串刺し公ことヴラド並みの知名度を誇るだろう。


「エリザベート・バートリーにでもなりきっているつもりか?」

「あら、そう見えるのならそうかもしれないわね」


 紫髪の少女はそう言うと、俺の正面で、横に手を振った。すると、それを合図にアイアンメイデンからたくさんの棘が発射される。


「危ねぇ!!」


 俺はそれを高く跳躍してかわし、高い位置から風斬落の風の刃を飛ばす。


「効かないわよ!!」


 紫髪の少女はそう言うと、俺の放った風斬落の斬撃を槍のような物で弾いた。


「マジかよ……!」

「……そういえば、自己紹介がまだだったわね。

私の名は『レミリア・スカーレット』。貴方が倒した『十六夜 咲夜』の主よ」

「そうかい。どうだって良いねそんなこと!!」


 俺はそう言って、レミリアに向かって全力ではしりこむ。


「あら、結構速いのね」


 俺の瞬間移動に対して、レミリアは槍を振るって対応した。

 この槍はおそらくヤバい。そう感じた俺は、槍にぶつからないように刀で隙を作らせながら拳を、足を奮う。


「甘いわよっ!!」

「くそっ!!」


 レミリアの槍での刺突を、俺は両手で押さえ込んでガードした。そのまま片手に持ち替え、バキリと叩き折る。

 その瞬間、凄まじいエネルギーの波動が俺をのみこまんと、内包されている全てのエネルギーを爆散させた。


「グアアッ!!」

「ふん! 武器が変わったからといって、弱くなるわけじゃないわよ!」


 俺の絶叫を無視してレミリアはそう言うと、折れた槍の柄の部分で俺に攻撃を仕掛けてきた。

 槍の穂先が折れた分、いくらか扱いやすくなってしまったようだった。

 攻撃のレパートリーも増え、刺突だけだったのが殴ったり、折れた先で刺したりすることが可能になった。


 レミリアの足払いのような下段の攻撃を刀で防ぎ、武器を素早く回転させ、折れてない方で俺に刺突攻撃を繰り返す。

 俺はそれを左手の甲で弾き、そのまま風斬落で斬りつけるが、レミリアは風斬落の竜巻を全て消滅させる。


「くっ……!」


 しかも、俺の回避する先々を読まれて攻撃が繰り出される。そのせいで、何度か攻撃がかすった。


「くそ……!」

「この程度なのかしら!?」


 レミリアはそう言いながら、さらにもう一本槍を増やした。

 増やした槍は投げつけられるだけだが、投げつけられる度に回避したり、防御しないといけないので、レミリアに迫るのが難しい。


「この程度で……! やられてたまるかァ!!」


 俺はレミリアの投げてきた槍を奪い、武器として活用する。


「な……!」


 レミリアが驚いたようだが、そんなことは気にせず、レミリアの放つ妖力弾を槍で弾く。


「こんにゃろおっ!!」


 俺が全力で投げた槍は、レミリアの槍に止められ……ることはなかった。


「どうだ!!」

「ふぅん……中々やるようね。咲夜を倒しただけあるわ。けどまぁ、今の私は倒せないわよ」

「断命剣『冥想斬』」


 レミリアが油断したその瞬間。銀髪の刀を持った少女が、レミリアを上から斬りつけた。

 駆けつけてきた少女……魂魄 妖夢の巨大化した刀は、レミリアを見事に真っ二つにした。


「ふん……倒せないと言っているのに」


 真っ二つになったレミリアはそう言うと同時に、黄金の光がレミリアを包み、レミリアはその光に身を委ねた。


 すると、レミリアの体はみるみるうちに分かれ目から結合していき、先ほどと変わらない姿になった。


「うげぇ……そんなんありかよ。流石に復活系のボスと何度も対決はつらいぜ?」

「何でもあり、それがこの世界(幻想郷)。そんなことを、この世界に入って私は学んだわ。……さて、あともうそろそろ楽しむのはやめにして、決着をつけましょう?」


 レミリアはそう言うと、大量の魔法陣を俺と妖夢に向けて展開した。

 俺もまた、今残っている全ての妖力を右腕に込める。


「必殺『ハートブレイク』」


 レミリアがそう宣言した瞬間、超高速のレーザーが俺の心臓めがけて放たれた。

 俺はそれを、妖力を込めた右腕を突き出して対抗する。


「迦楼羅『天狗礫』」


 俺の腕はレミリアから放たれたレーザーと衝突し、そのレーザーを突き破ってレミリアへと真っ直ぐ向かう巨大な妖力の塊となり、レミリアに襲いかかる。


「ふふ……予想外も甚だしいわ。……私の、負けね」


 レミリアは俺から放たれた妖力の塊に包まれ……妖力の塊が消滅した後には、グッタリと横たわるレミリアの姿があった。


「……やったでしょうか?」


 おい妖夢、今度はお前がフラグ建てんのかよ。俺はそう思いつつ、レミリアに少しずつ近寄って様子を見る。


「……なんてね」


 予想通り、レミリアは起き上がって妖力弾を放つことで俺たちとの距離を開いた。

 俺は風斬落で妖力弾を切り裂きながら、レミリアに向かって走る。

 レミリアは迎え撃つように槍をいくつも出現させた。

 俺が少し近づいてきたところでそれらは一斉に天へと登り、俺や妖夢へと向けて落ちていく。


「うぉお!!」


 俺はそれをサイドステップで回避したり、風斬落で真っ二つにしたりして回避していき、槍がほとんどなくなった所で刀に妖力を込める。

 妖夢も俺に合わせて、刀に妖力をこめ始めた。


「滅剣『暴風剣』」

「護剣『魂葬剣』」


 俺と妖夢の2種類の剣撃は、レミリアの周囲に渦巻く武器を破壊し、妖力を消滅させる力を持ってレミリアを切り裂いた。

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