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Flight20‐苺のバベルと断罪

この話は後で書き足すかもしれません。とはいえ、内容は変えないので問題ないです




 なんでかなぁ……

 今日は萩野先輩とデート(強制)してたはずだったのに、なんでこうなるんだ?

 ……あ、冒頭早々すみませんが、僕は正直困ってます。結構本気で。



 面前にはサングラス+黒スーツの男。

 右手にはサングラス+黒スーツの男。

 左手にはサングラス+黒スーツの男。

 背後にはサングラス+黒スーツの男。



 今現在、僕はとある公園で同じ姿形の人間に四方を囲まれてます……この状況なら困っても仕方ないでしょ?

 なんか、エージェント・ス〇スに囲まれたネ〇の気持ちが、約一割ぐらい分かった気がする。



「「「「さて、このまま立ち去ってくれると、私としては助かるのだがね少年君」」」」



 怖ッ!! 声がピッタリ被ってるせいで威圧感も四倍だ。

 普通だったら、絶対逃げ出したい状況だけど……



「離せッ!! この変態ッ!! 強姦魔!! クソ野郎!!」

「立ち去るんで、そこで暴れてる先輩も一緒に返してもらいたいなぁ……なんて思ったりして」



 僕を囲む四人から二、三歩離れた所に、五人目と六人目のエージェントが立っていて、先輩はその二人に捕まっていた。

 てか、女性が強姦とかクソとか大声で言うのはどうしたものかと思う。

 ……あっ、片方に先輩のキックが顔面にヒットして倒れた。うわぁ、かなり痛そう。



「「「「……少年君、ちょっと待っていろ」」」」

「いや、立ち去れとか待ってろとか、言ってること矛盾してるからね」



 僕のツッコミを無視して、四人のエージェントは先輩の方に向かってしまった。

 ……でもまぁ、この状態からして、エージェントの五人や六人じゃ、今の先輩は止められないだろう。



「それにしても……」



 なんでこんなことに巻き込まれなきゃならないんだろう……

 僕は心の奥からため息を吐いた。















←←←←←回想開始←←←←←←













 “季節のフルーツてんこ盛りスイーツ 〜苺の天達塔バベル〜”


 生クリームやアイスといったパフェの基礎に、イチゴジャムやドライストロベリー、『とよのか』『女峰』『とちおとめ』『越後姫』など、日本各地の大粒苺がこれでもかと使われた、苺づくしの春季限定パフェ。

 全長約六十センチにもなるその巨大な姿は、天に達した伝説の塔、まさにバベルの如く。

 その値段も伝説級の¥6980……庶民的カフェのスイーツとは思えない(店の最高額)。

 また、その甘い誘惑の中には、巨大な姿から予想できるように桁外れな糖分とカロリーを所持しており、周辺では『ダイエットの天敵』とされている……らしい。

 主に、パーティーや打ち上げ(大人数)、失恋後の自棄食い(個人)等に注文される……らしい。(ちなみに『……らしい』はすべて先輩の受け売り)



「〜〜♪♪」

「先輩……随分と上機嫌ですね」

「そりゃ、伊達が奢ってくれるって男前なこと言ってくれるからねぇ♪ お姉さん喜んじゃうよ」



 僕は先輩と向き合いながら、そのおふざけとしか思えないパフェを見ていた。

 ……まぁ、実物が目の前にあるわけじゃなく、その写真が載ってるメニューを見てるんだけどね。

 こんな化け物メニュー、先輩でも注文しない。

 てか、注文されたら僕のお財布は阿鼻叫喚の地獄になる。

 僕は『アサリと茸のパスタ』(¥980)を既に食べ終え、先輩が『ガトーショコラ』(¥480)を食べているのを見ていた。



「てか、それだけでお昼大丈夫なんですか」

「ん? 全然平気だよ」



 ……おかしいな。

 いつもは僕のお弁当を平らげる先輩が、デザート一つで満足するとは思えないんだけど……なんてことを思っていると、先輩は怪訝そうな顔で僕の顔を覗き込んできた。



「あんた。私がこんなもんで足りるのか? とか思ってんだろ」

「……バレました?」

「バレバレもバレバレだよ。これでもかってほど顔に出てる」



 僕ってそんなに考えが顔に出やすいのか?

 じゃあ、僕のプライバシーはどこに行ってしまったんだ? 

 そうなると、今後の行動も考えなきゃならないなぁ。



「……まぁ、伊達がそう思うのも仕方ないねぇ。実際全然足りないし」



 先輩はガトーショコラの最後の一口を口に放り込んでから、手に持ったフォークを自分の目の前でクルクルと回す。



「でもね、明日ハイジャンの大会があるんだよ。だから、極力脂肪分とかは取りたくないのさ」

「明日!? 大会前なのに、こんな所で油売ってていいんですか?」

「フッ、お姉さんをナメちゃいけない。日頃の練習で体はしっかり作ってあるから、大会前日は精神メンタル面を休ませるのさ」



 先輩は自慢気に胸を張って言った。

 なるほど……今日は俺をイジメ倒して、精神的にリフレッシュさせようって魂胆なのか。

 ドSな先輩らしいリフレッシュ方法だけど、俺を生け贄にしてほしくなかった。



「さて、じゃあ行きますか♪」

「午後はいったいどこに行くんですか?」

「どっか行く」

「……決まってないんですね」



 まぁね、と言いながら早々に席を立つ先輩。

 僕は伝票を持ってその後を追うように立ち上がる。

 ……あ、いいこと思いついた。



「先輩、ちょっと」

「ん?」

「午後は一時間程度、各自で自由行動しません?」

「なんで? せっかくのデートじゃないか」



 僕の提案に先輩は少し眉間を寄せる。

 本当に付き合ってるわけでもないのに、せっかくのデートとか言うのはおかしい気がするけど、あえてツッコまない。



「午前中に行った店にめぼしいものが出来たんで、買いに行くんです」

「それで、一度行った店に行くから、あたしに気を使って一人で買いに行くってわけか」

「その通り。……すいません。お会計お願いします」



 さすが先輩。察しがいい。

 無駄な事が嫌いな先輩に、僕個人の買い物につき合わせるのはどうしたものかと思ったのだ。



「ちょっとつまらないけど……まぁ、使われた気を無下にすることもないね」

「じゃあ、集合場所はどうしましょうか? ……あ、すいません。大きなのしかないんです」

「人込みは面倒だからねぇ……ハチ公なんてどうだい?」



 ハチ公とは戌神之鉢公園いぬがみのはちこうえんの略称で、この駅前繁華街から少し離れた場所に存在している。

 適度な樹木の中に適度な遊具が存在する、どこにでもありそうな平々凡々な公園だ。

 特徴と言えば……この公園からは騒音やゴミのポイ捨て、ホームレス等の問題点が発生しない、とっても平和な所かな。

 時々、僕も散歩がてらに立ち寄る公園の別名が『ハチ公』なのだ。

 この略称が某忠犬のことを意識しているのは明白だよね。


 でもまあ、その公園が集合場所ってことに、反対する理由は僕にはない。



「いいんじゃないですか? じゃあ、一時間後ハチ公で……あ、レシートいります」

「んじゃ、あたしは適当に他の店見とくわ」



 お会計を済ませながら、落ち合う約束をした先輩と僕は、店の外に出ることに……



「……ご注文を繰り返します……い、苺の天達塔バベル二点、でよろしでしょうか……?」



 ふと、店の奥から聞こえた、引きつったウェイターの声。

 ……なんか不気味なオーダーが聞こえた気がしたけど、きっと気のせいだろう。うん。

 僕は耳の調子が悪いんだなぁと思いながら、そのウェイターがいる方向を見ないように、僕達は店の外に出た。



















→→→→→回想終了→→→→→→















 はい、大体分かったでしょ?

 僕はカフェを出てから先輩と別れ、あるものを買ってから待ち合わせ場所のとある公園……つまりハチ公に来た。

 そしたら先輩がエージェントに捕まえられてて、僕も囲まれる羽目になっていたのだ。

 僕がいない間に、先輩はなにをしたんだろうか?

 喧嘩でも吹っかけたのか? ……無論先輩の方から。



「「「「「「「「「「「「待たせたね、少年君」」」」」」」」」」」」

「まぁ、回想してる間暇でしたからね……って増殖してるッ!?」



 先輩の行動を想像することに集中してた僕は、声を掛けられて……驚いた。

 だって、エージェントが六人から十二人(先輩に倒された人も復活)になってるんだもん。

 こ、これがエージェント・ス〇スの執念が生み出した増殖コピー能力なのか!?



「「「「「「「「「「「「増殖ではない。増援が来たのだよ」」」」」」」」」」」」

「は、はぁ……」



 僕の叫びに、全員で律儀に答えるエージェント達。

 ……でも、なんか普通すぎて拍子抜けした。

 って、そんなことより先輩はどこ行っ……!?



「先輩!?」



 僕の視界に入ったのは、エージェントの一人にお姫様だっこされた先輩だった。

 ……相手が六人でもなんとかなる先輩でも、その相手の人数が二倍になれば人海戦術で負けるのは仕方ないことだ。

 先輩は何かで気絶させられたらしく、さっきまでの元気な姿は消え、ぐったりとしていた。



「「「「「「「「「「「「さて少年君、君はこのことを忘れた方がいい。それが君のためになる」」」」」」」」」」」」

「…………ちょっと待ってください」



 僕は立ち去ろうとするエージェント達を呼び止め、ジャケットの内ポケットに手を入れる。

 取り出すのは前回使った扇子じゃなく、輪形に纏めた黒皮製の細い紐。



「あなた達に二つほどお願いします。一つは同じこと言うんだったら、誰か一人が代表して言ってください。正直「」が多過ぎて見苦しいです」



 その紐を手を振り上げるだけで解き、後ろ髪を簀巻すまきのように巻いて纏め上げる。

 この間ジャスト3.4秒。これぐらい出来ないと『朔望月相』を使いこなしてるとは言えない。



「もう一つは……」



 先輩は気絶してるから、『俺』の姿を見られる心配はない。

 つまり、僕が裏側になっても問題はないってことだ。

 だったら容赦はしない……なんせ、このエージェント達は『僕の前でやっちゃいけないことベスト3』に入ることをしたんだから、それなりの制裁を受けてもらわなきゃならない。



「そいつから手ぇ離せゴキブリ共。さもねぇとテメェ等……命を手放すことになっぞ?」



 俺は久しぶりにブチキレた。

 いやぁ、いわゆるプッツンってやつだな。こりゃ。

 この怒り沈めるには、誰かを一方的に圧倒的に壊滅的にブッ潰さなきゃ気が済まねぇ。

 てか、もう対象ターゲットは決まってんだけどな。



「「「「「「「「「「「「雰囲気が変わった……少年君、君はいったい何者だ」」」」」」」」」」」」

「一気に喋んなって言っただろうがこの低脳生物。出来ねぇなら黙ってろ害虫コックローチが。テメェ等が知っとく必要があんのは一つだけだ」



 俺の変化にクソ野郎達の顔に緊張が走ったが、もう遅ぇ。

 さっきのプッツンで、自分の中の制限装置リミッターは破壊されちまってるから……手加減は出来ねぇ。

 てか、元々手加減なんて生ぬりぃ真似する気はサラサラねぇけどな。


 俺は一度視界を閉じて大きく深呼吸した後、ゆっくりと目蓋を持ち上げる。

 そして……



「テメェ等は俺っていう猫の尻尾を踏みやがった。それで十分だ」



 萩野杏子って女は、気兼ねなく俺に話し掛けてくる珍しい先輩。

 いつも弁当か勧誘を目的に来る迷惑なオレンジ頭の女。

 そして……俺が守ると決めた人の一人。

 だから俺は……許さねぇ。







 一方的に動きを封じ



束縛しばれ……黒一夜‐天奏てんそう



 圧倒的に心を堕とし



腐食おかせ……黒二夜‐地颯ちそう



 壊滅的に精神を砕く



破断れ……黒三夜‐人葬じんそう




 俺は名も知らねぇ野郎共に、絶望の絶望の声を出す暇も与えない、私刑の断罪を食らわせた。





















 これはヨーグルトですか?

 いいえ、後書きです。(某CM風)







四谷よつや彩貴サキ



四谷財閥次女

戌神高校二年

特級生制度適応者

戌高生徒会所属‐役職:生徒会長(三期連続就任)

・身体的特徴

身長:160後半

体重:○○後半

頭髪:栗色髪。頭の頂点から少し後ろで纏められたポニーテールは、腰まで達している。

・内面的特徴

性格:強気で積極的。天性のリーダーシップとカリスマ性を持っているため、人望が厚い。

駆に対しては素直になれず、ことあるごとに射撃、砲撃による攻撃が目立つが、泣くとガタが外れて甘えん坊になる。

鎖骨フェチ。

自分に厳しく、他人に優しく、駆にはとっても厳しいけど少し優しい女の子。

成績:主席

一人称:私

大切なもの:意志、責任、約束

ポリシー:すべての事に努力を惜しまない。







 今回彩貴のプロフィールを書いてみて、駆以外の精神面が整理できてなかったことに深く反省している夷神酒です。

 基礎設定がなってないキャラは、いつか話の波に飲まれてしまいますからね……うん、これからは気を付けよう。

 次回は…………誰になるでしょうか? 見てのお楽しみって事でお願いします。




 あと、読者の皆さんに真剣な質問をします。


 この小説は面白いですか?


 ……唐突でシンプルな質問ですが、これでも結構悩んでます。

 自虐が入りますが、私は元々文才なんて持ってなく(どっちかと言えば理数系)、更新スピードや執筆努力も誉められるものではありません。

 そのくせに、二作品同時連載なんて……二兎を追うもの一兎を得ず状態になってるんじゃないか?と思ったのです。

 皆さんの意見によっては、この状態を維持するかも知れませんし、こっちを一時連載休止にして片方を仕上げるかもしれません。

また、最悪の場合はこの小説が消えるかも知れません。


 ランキングも個人サイトもなく、人目につきづらいこの小説を読んでくれている皆さんの意見を、どんな方法でもいいので神酒に教えてください。


 お願い致します。





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