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Flight18‐強制デートは天国or地獄?

是非、今回から後書きまで目を通すことをお薦めします。




 ……お。俺に視点が回って来たんか?

 まぁひさびさの登場やから、作者も気ぃ使ってくれたみたいや。

 ほんま出番少なかったからありがたいわぁ。



《‐光、そのような露骨な裏話はやめておけ》



 俺の片耳につけたイヤホンから、いつも通りの冷めとる声が聞こえてきた。

 やけど、その声の本人さんは近くにはおらへん。

 その代わり、俺は右手に持っとる小型マイクに話し掛ける。



「そんぐらいええやん。てか、なんで俺の考えとること分かんねん」

《‐簡単なことだ。最近お前が自分の出番が少ないことを気にしてるのは知っている。さらに、作者の情報を事前に入手していれば容易に予測できる》

「……なんちゅーか。俺の悩みは後で相談するとして、後半は冒頭の考えより露骨な裏話やん」

《‐なに、それぐらい露骨な方が面白い》

「その露骨な話をやめろっゆうたのはどこの誰や?」

《‐それは多分俺の事か?》

「その言葉から『多分』と疑問形の『か?』を抜いてみぃ?」

《‐それは俺の事》

「正解や」



 会話の相手……玲は淡々とした口調で俺と喋っとるけど、いつもはゆわへん冗談をゆうとる。



「玲? 今日はメッチャ気分いいやろ?」

《‐……なぜだ?》

「玲が冗談ゆうんは、気分がいい時と情報が欲しい時だけやさかい」

《‐成る程、自分の情報は盲点だった。後で情報収集をしよう》

「あぁ、後にしてくれや。今は目の前のことを思う存分楽しむで」

《‐無論。人の不幸は蜜の味……特に駆の不幸は極上の嗜好だからな》



 俺は心の中で玲に賛成しながら、視線を動かす。

 それで、視界に入ってきたんは風情のある日本家屋。

 その入り口に立っとるのは、この家に住んどるメッチャお人好しな俺の親友と、そのお人好しな親友の家に居候してるちっちゃい後輩。



「さて、そろそろ出発するみたいや。そっちはどうや?」

《‐こちらはすでに待ち合わせ場所に向かっている。大体、九時十分に到着するだろう。あと、四谷姉妹が合流することになった》

「ホンマに? 彩貴は校外で発砲せんと思うけど……彩さんは抑えきれるん?」



 彩貴は周りの目を気にする事ができるからなんとかなりそうやけど……彩さんは駆に関することに見境無いからなぁ。



《‐問題は既に解決済みだ。今回手を出さなければ、駆の私生活を写した画像データを数枚差し出す交渉は終えている》

「……用意周到やな」

《‐とある友人の言葉で『伏線さえしっかりしてれば、どんな状況も容易に覆せる』と言っていた。その言葉を見習っただけだ》

「その友人さんはきっと玲と似てるんやろな」



 その友人さんの事は知らんけど、そんな小難しいこと言うんやから、多分玲みたいな人やと思う。



《‐フッ、まぁいい。そろそろ開始するぞ》

「なんやねんその不敵な笑い。別にかまわへんけど」



 そして俺達は行動を始める。

 多分、最高におもろそうな事を見るために。

 ……玲にはこの情報を手に入れたことを誉めてやらなあかんなぁ。



《Missionplan‐駆の初デートを楽しめ。Missionstartだ》

「おっしゃ、なら行くで!」



 貴重な休日を潰すんやから、駆にはしっかり楽しませてもらうでッ!
















―――――――――――――――













 僕は自家の玄関先で矢沢君と向き合っていた。

 理由は、矢沢君に留守番をさせるため、注意事項を教えているのだ。

 ……そこッ! 『別にそんなこと適当に任せりゃいいんじゃね』とか考えたでしょう?

 しかぁし!! 家主が居なくなるのは責任者が居なくなると言う事で、住人にとっては重大なことなんです!!



「はぁ……じゃぁ、お昼ご飯は作っといたから、レンジでチンして食べてね。帰りは遅くならないと思うけど、もしもの時はメールするから、出前でも取って先食べちゃっていいからね?」

「はい、分かりました」



 目の前で頷く矢沢君。

 ちゃんと答えてくれるなんて、いい子だなぁ。



「後、留守にする時はちゃんと戸締まりしてね。セールスマンとかが来たら、玄関横のボタンを押してね。鉛の玉がその人を追い払ってくれるから」

「はい、分かりました」



 さっきと同じように頷く矢沢君。

 ……やっぱりいい子だぁ。



「他に何かあったら僕の携帯に電話してね。あとは……留守番、本当に大丈夫?」

「僕だって子供じゃないんですから大丈夫ですよ!」



 あまりに心配しすぎたせいか、矢沢君は頬を膨らまして僕を見る。

 子供を否定しながら子供っぽい動作をするって……天然でやってるなら相当ヤバい。

 僕の知り合いのお姉さんに見せたら、『萌ぇぇぇぇええええ!!』とか言って確実に拉致監禁しちゃいそうだ。



「伊達さんこそ大丈夫ですか? 朝からため息ばっかりですよ」

「大丈夫だよ。ちょっと地獄を前にして過去の失態を後悔してる状態だから」



 いくら懺悔しても時既に遅し、地獄行きは決定ってわけですよ。

 それでも懺悔してしまうのが人間らしさだよね。 



「地獄って……デートですよね? 相手がそんなに嫌いな人なんですか?」

「いや、どっちかって言えば好きだよ。綺麗だし、アネゴ肌で面倒見がいいし……サディストなのが玉にきずだけど」

「ならいいじゃないですか。デートは初めてじゃないんですよね?」

「いや、初めてだけど」

「そうそう、初めてなら仕方ないですよねぇ……………ってぇぇぇえええええ!?」



 いきなり大声で叫びだす矢沢君。

 なに? そんなに驚くことあった?



「伊達さんってデートしたことなかったんですか!?」

「う、うん。なにか変かな?」

「変ですよ!! 生徒会長とか校医さんとか、相手は沢山いるじゃないですか!!」



 生徒会長とか校医さんって……? もしかして彩貴と彩さんのこと?

 ……あの、一言いいかな?



「矢沢君は勘違いしてるみたいだけど、彩貴は僕の事を目の敵にしてるだけだし、彩さんは僕で遊んでるだけ。それに、僕みたいな人がデートなんて出来るわけないよ」



 なんたって僕はヘタレだぞ?

 デートなんてしたことないし……精々女性と出掛けた時だって、結局は荷物持ちぐらいだ。



「伊達さん……鈍感すぎでしょう」

「へ? なんか言った?」

「いいえ、なんでもないです。それより、そろそろ出掛けなくていいんですか?」

「余裕あるんだけど……先輩を待たせるのは悪いよな」



 指定された待ち合わせ場所は駅前の変な銅像前だから、今から行っても約束の五分前には着く……てか、待ち合わせ場所&時間以外は全く知らされてない。

 ……でも、先輩より遅く着いたらなんか言われそうだ。



「んじゃ、出掛けるから留守番よろしくね」

「はい、伊達さんも楽しんできてくださいね」



 僕は『地獄は楽しめないよなぁ……』とか心の中で思いながら、矢沢君の見送りを背に受けて待ち合わせ場所に向かった。















→→→→→目的地到着→→→→→













 この戌神地区は四谷財閥の力で発展した五地区で一つで、名前の由来は犬をまつった神社があったらしい。

 しかし、その既に神社は焼け落ちてしまい、今は跡地である駅前に犬の銅像が立っているだけである。



「でも、これを見るたびハ〇公のパクリに見えてしまう僕は不謹慎なのかな?」



 僕は先輩との待ち合わせ場所である駅前の銅像を見ながら、一人呟いていた。

 一人で居るのは待ち合わせ時間になっても先輩がまだ来ていないから、ただそれだけの事だ。



「……つか僕、変な格好してるのかな?」



 現在、ただ駅前の銅像近くのベンチに座ってる一般高校生の僕に、不自然に多くの視線が向けられてるのは確かだ。

 服装が変なのかな?

 白いシャツは……第二ボタンまで開たって変じゃないし、黒いジャケットは……皺になってるわけじゃない。

 ま、まさか!? 黒いデニム……よかった、チャックはしっかり閉まってた。



「ねぇねぇ♪ そこの君、よかったら私たちとお茶しない?」



 自分の服装を確かめてる僕に、突然かかる女性の猫なで声。 その声のするほうを見ると……ブランド物で完全武装している派手なお姉さん×3がいた。

 お茶か……待ち合わせ時間過ぎてるから、先輩がいつ来るか分からないからなぁ。



「……すみません。人と待ち合わせてるんで」



 僕は無難に断って、その場を離れようと立ち上がった。



「えぇ〜、チョットぐらいつきあってくれたっていいじゃない」

「絶対その人より私達といる方が楽しいわよ〜」



 シカシ、マワリコマレタ。



 な、なんだこのお姉さん達、ドラ〇エか!? 名前の後にA、B、Cがつくのか!?

 ひのきの棒さえ持ってない僕に倒せる相手じゃないぞ!



「ねぇねぇ、どうするのよぉ〜」



 僕は自問自答してる間に三人に囲まれ、さらに傍観してる人達からの熱い視線を感じていた。

 こ、これは、必死に逃げ切っても二、三歩進んだらまた敵が出てくる最悪なパターンか!?

 遭遇率高すぎてのびた君並みに泣きたくなるぞ!!

 た、助けてドラ〇も〜ん!!







「そこのお嬢さん方。ちょっとどいてくれ」



 なんか、正面にいるお姉さんAの後ろから、タイミングよく知ってる声が聞こえる。

 あ、知ってる声といっても、大〇のぶよさんでも水〇わさびさんでもないからね。

 僕を含めたお姉さんA、B、Cも、その声のした方を向く。



「それ、アタシのツレなんだ。ちょっかい出さないでくれないかい?」



 僕の視線の先には、純白のワンピースを可憐に着こなした……



「「「「誰?」」」」

「オイ、なんか一人多いだろ?」

「その反応は……先輩?」

「よし伊達、後で覚えとけ」



 目の前に現れた萩野先輩は、目の笑ってない笑顔を浮かべながら、僕に向かって中指を突き立てる。

 いや、だってさ、しょうがない。

 いつもサバサバしてる先輩が、こんなお嬢様みたいな雰囲気を出して現われるとは思わなかった。

 髪もいつもと違ってヘアピンで止めてるし……髪色がオレンジじゃなかったら未だに誰だか分からなかったと思う。



「なによ〜。いきなり出てきて」

「そうよそうよ。私達が目をつけたんだからどっか行きなさいよ」

「邪魔しないでよ」



 突然現れた先輩に対して、お姉さんA、B、Cの口攻撃。

 さっきまでの猫なで声から、敵意丸出しの声に変ってる。

 しかし、その攻撃にも先輩の顔色は変ることなく……




「もう一度だけ言う。それ、アタシのツレなんだ。ちょっかい出さないでくれないかい?」



 清楚な見た目とは裏腹に格好いい事を言う……いや、こういう格好いい所が着飾っても変らない先輩らしさなのか。

 そして、先輩の声はさっきまで騒いでいたお姉さん達を黙らせるプレッシャーを含んでいた。



「こんな女たちに囲まれたのがどんな奴かと思って来てみれば、まさかあんただったとはね」

「アハハ……とにかく助かりました」

「まぁ、ちょっと待たせたからね。これでチャラにしておくれよ」



 そう言いながら笑う先輩は、僕の手を掴んで、まだ硬直してるお姉さん方の中心から僕を引っ張りだす。



「さて、こんな所で時間を食うより、とっとと目的地に行くよ!」

「あの、僕はどこに行くか知らないんですけど……」

「あんたは行ってからのお楽しみだよ♪」

「いや、教えてくださいよ……っちょっとぉ!!」



 先輩は笑みを浮かべ、僕の手を掴んだまま走り出す。

 いきなり引っ張られた僕は、前につんのめりそうになる。

 なんか、今日は先輩に振り回される予感がする……



「ほら! しっかり走れ!」

「ちょッ! だったら手を離してください!!」

「それは無理だね!」



 ……けどまぁ、今日は地獄じゃなさそうだ。

 矢沢君の言った通り、僕も楽しめるかもしれないな。



 そう思うと、僕も自然と笑っていた。

 僕達は周囲の目線なんか気にせずに、人込みの中を走り抜けた。









 こんにちは夷神酒です



 今更ですが……この小説はどうですか?

 なるべく読みやすいように+一人称と三人称を混ぜないように+伏線を振りまくように気をつけてきました。


 それでも、やっぱりド素人の私の文章は分かりづらい所が出てしまいます。

 そこで、次更新から後書きに小説に出てくる人物や用語について説明&裏話を改めて書いていきたいと思います。




「よく分からない」や

「……の裏話が聞きたい」等のご要望があれば、感想やメッセージを使って私に伝えてください。

 そうして頂ければ、ネタバレに片足を突っ込むぐらいの情報は余裕で書き入れます。



 第一回目は……多分ヘタレ主人公、伊達駆ノーマルについてです。


 読者方の貴重な意見を、神酒は首を長くして待っております


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