第23話 続ハッチャけるケレシス! 親子対面はあっさりと!!
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身だしなみを整えた俺と、ソフィは連れ立ってサラたちのいる
浜辺の方へ歩き出した。
ソフィは終始ご機嫌で、今も俺の腕に自分の腕を絡ませて、
更に指同士を絡ませてきて、腕に水着と共に女性特有の温かくて
柔らかい感触が伝わってくる。
既に大人の階段昇ってしまっている俺は精神的な余裕があるので、
必要以上に焦って、当たっていることを指摘しない。
最も、頭で分かっていても赤くなる体の反応まではどうしようもないのだが。
幸せそうなソフィに向かってそれをするのは野暮ってものだろう。
ソフィの上機嫌に振られている髪と同じ銀色の尻尾もそれを指摘した途端、
止まってしまうのは分かりきっている。
銀狼の女性は情熱的というご他聞に漏れず、ソフィも普段は楚々としているが
情熱的な女性なのだ。
「どうやらお楽しみだったようデスネ」
首から下を砂浜に埋め込まれた変 態が俺達を出迎えた。
「なにやっているんだ、お前?」
「うむ、実はようやく落ち着いたから、マチルダたちに妹狼ちゃんたちと
合流して親睦を深める機会を作る約束をしていたのだが……」
「見事に忘れてしまっていたと?」
「ああ、新キャラの褐色ロリ巨乳のアンちゃんたちの水着が見れると聞いて、
ドキがムネムネして、うっかり忘れちゃったからお仕置きとして
埋められちゃった☆テヘ、ペロ」
俺の問いに答えるケレシスをソフィは無言ジト目で非難する。
しかし、冷たいソフィの非難する視線すらケレシスにとっては
ご褒美でしかないのか、寧ろ、元気になってテヘペロをかましてきた。
すごくウザクて殴りたかったが、俺が手を下すまでもなく、
ヘンリーたちにビーチバレー用に渡していたボールが
ケレシスの後頭部に直撃した。
ヘブシッと奇妙な声を上げてケレシスは気絶する。
宙に跳ねたボールはパシッとソフィが手で受け止めた。
ナイスキャッチだ。
「うちの団長がご迷惑をお掛けしまして、すいません」
激しいラリーの末にケレシスにアタックをかましたのだろう、
息を切らせて駆け寄ってきたマチルダが頭を下げてきた。
彼女はケレシスが言っていたようにスクール水着を着ていた。
ケレシスのつむじを狙い済ましたかの様な鮮やかな一撃であったが、
気のせいであろう。
「いや、問題ない……ソフィ、マチルダさんたちと親睦を深めてきなさい」
「……よろしいのですか? マスターは参加されないのですか?」
「丁度、男性陣VS女性陣としていたようだが、
俺が入ると戦力バランスが完全に傾いてしまうな……」
審判役をやっているマチルダと同じスクミズを着たヒルダとカサンドラの傍にある
スコアボードから、12VS12の接戦であることが分かった。
俺は後衛の分類されるはずの召喚師系の職業でありながら、
下手な前衛職よりも強い力をもつ[セイント]が今のメインクラスで、
サブクラスは素早さが戦士系職の中で上位の[サムライ]の最上位隠しクラスの
[サムライマスター]であり、既に最上位クラスを4つ極 めている
俺が男性陣に加わると、簡単に勝負が決まってしまうだろう。
それでは面白くない。
ちなみに男性陣の内訳は、ケレシスが連れてきていたカリュクス冒険者で
メインが重 戦 士でサブが格闘士のペータと、
メインが魔法剣士でサブが僧 侶のパルド。
身内のメンバーで、メインが軽戦士でサブが格闘士のヘンリー、
そして、メインが剣 士の最上位クラスのソードマスターでサブがランサーのクオル。
対して、女性陣はケレシスの団員でパーティの壁役を勤めているメインが
騎士でサブが僧 侶のルイスと、メインが軽 戦 士で
サブが魔術師のマチルダ。
メイン職が後衛寄りのプリンセスでサブが至高の魔術師であるアンネと、
メイン職が後衛のスナイパーでサブが治癒術のサーラ。
チーム構成と戦力バランスもほどよい状態だが、
ここで俺とソフィが入ってしまうと主従と師弟という関係もあるが、
俺とソフィには能力的に大きな開きがあるので、
一方的な試合展開になるのは目に見えており、ハンデ付きだと禍根残りそうだなと
考えていると、
「この瞬間を待っていたんだ!!」
浜辺に首から下が埋まって気絶していたはずのケレシスが
ロケットの様に地面から飛び上がり、空中できりもみ回転して、
芸術的な着地を決める。しかし、どうやって脱出したんだ?
ちなみに、こちらの様子を伺っていたペータとパルドが
盛大に揺れていたケレシスの胸をガン見して、前かがみになっていた。
ドヤ顔さえしなければと思わずにはいられないケレシスの
無駄に洗練された無駄のないアクションに内心ため息を吐くが、
ステータス的にソフィと大差ないケレシスを男性陣側に送り込めば問題が
解決するので、俺はそれぞれの陣営にエールを送り、ビニールシートが敷かれて、
ビーチパラソルなどで日除け対策が万全なリリィたちがいる観戦スペースへ
移動した。
「あの、シオン様、どうでしょうか?」 「う~ん、どうかな? シオン兄様?」
リリィとローラのエルフ姉妹がカリュクスのデザイナーであるヨーコさんが
作った水着を纏って、俺を迎えてくれた。
2人とも普段よりも肌の露出が高いため、顔が少し赤い。
リリィは白いホルターネックビキニに鮮やかな緑色のパレオを腰に巻いている。
陽の光を反射する綺麗な金髪と翡翠色の瞳と王侯貴族に勝る
エルフの美貌に加え、胸の大きさもケレシスに劣らぬ大きさで、
スタイル全体のバランスもいい。
成熟した女性の魅力を放ちながらも楚々としたその姿は身内贔屓抜きにして、
女神と言われてもいいのではと思えるレベルである。
一方、ローラはリリィと同じだが、緑色のホルターネックビキニで、
腰に白いパレオを巻いている。
リリィとは真逆の配色であるが、こちらも見事に似合っている。
流石、カリュクス1のファッションデザイナーのヨーコさんである。
ローラのスタイルもこの世界の一般的なエルフ像に比べ胸が豊かな方で、
この件に関してはサラから羨望されているそうだ。
リリィに比べて少しだけ釣り目なところを除けば他は文句のつけようのない
美少女であり、まだまだ成長中とのことなのだ。これからが楽しみって、
まだ早いおっさん思考になってきているな。危険な兆候だ。
「ありふれた評価で悪いが、2人ともよく似合っている。
色も2人のイメージに合っていいね」
「ありがとうございます。シオン様、どうぞ」
「ありがとう。ささ、シオン兄様、座って」
「ああ、ありがとう」
俺の反応に照れつつも、癒される笑顔を浮かべたリリィが
用意してくれたグラスを受け取り、飲み干してグラスを返して、
ローラに勧められてシートの上に座る。
『主よ、我も実体化するぞ』
機を伺っていたのか剣精霊いや、刀精霊である黄金刀も
淡いピンク色のチューブトップの水着を纏って実体化した。
そういえば、ヨーコさんはアリスにもデザインしていたっけと、
カリュクスにアンと戻ったときのことを思い出した。
『どうだ? 似合うか? 可愛いか?』
子犬のように褒めて褒めてとソフィたち同様に尻尾があったら
盛大に振っているだろう金髪灼眼の幼女。
「ああ、似合っているよ」
「ええ、可愛らしいですね」
「うんうん、似合っているよ」
そう言って、俺は頭を撫でてやる。リリィとローラも同意する。
『えへへ~』
俺の膝の上に座って俺に頭を撫でられつつ、ご機嫌な表情のアリスに和む。
まだ子供はいないけれども、可愛い娘を持った父親の心境って
こういうものなのかなと思った。
ああ~、平和だ。
と思っていたのも束の間、その平和は早くも打ち壊された。
「ああ、危な~い(棒読み)」
ケレシスがスパイクしたビーチバレーのボールが唸りをあげて
俺目掛けて飛んできた。
次いで、メールの着信音が聞こえる。送信者はケレシスだ。
内容を確認すると、
[ Σq(`Д´) ぜつゆる! ]
エルフの美女に挟まれ、刀精霊の美幼女を膝に乗せて頭を撫でた俺に
大変ご立腹らしい。
「2人ともいける?」
「ええ、姉様」
『我はいつでもよいぞ』
3人が俺を守るように立ち上がり、迫りくるボールに立ち塞がる。
「姉様!」
「アリス!」
『うむ、アターック!!』
即興とは思えない絶妙なコンビネーションでローラがレシーブし、
リリィがトスを上げ、アリスが自分の身長の倍以上の高さにジャンプして
ボールを撃ち返した。
バシッ……ゴスッ
「ゴホウビデスッ……グハァッ」
アリスのスパイクしたボールを派手な音をたてて顔面に受けたケレシスは
奇声あげ、気絶して倒れた。
不意に背中に柔らかくて温かい感触が密着してきた。
自己主張の激しいモノを俺の背中に押し付けている。
「なにをやっているんだ? イリア? どうしてここにいる?」
「う~~ん……兄さん成分補給中。しばらく待って」
コアラの様に俺の背中にしがみついているサンク王国国王、
アテナ神域の聖騎士極王である元妹、
現恋人の1人に問うと理解不能な返答が返ってきた。
「ようやく仕事が一段落したので、サンク王国からとんできたのよ。
それと怪しげな成分補給中は建前で、長く離れていた寂しさと水着姿を
見せるのを照れているだけよ」
「ちょ、勝手にひとの心理を分析して解説しないでよ!」
長く伸ばした見事なプラチナブロンドを揺らして、
イリアは赤髪で魔導具の片眼鏡を掛け、
オレンジ色のワンピースの水着を着た、自身の右腕、サンク王国宰相、
ケイ・オルニスに抗議した。
人の耳元で大声だすのはやめていただきたい。
大声に俺が渋面するとイリアは気が済んだのか、解放して俺のほうに向き直った。
イリアは淡い水色のビキニ姿であった。スタイルはリリィに勝るとも劣らず。
「改めて、お久しぶりです兄さん。リリィも元気そうね。
こちらがリリィの妹でアルテミス神域の巫女候補だったローラさんね。
はじめまして、イリア・スペクルムです。よろしくお願いしますね」
俺とリリィに再会の挨拶、ローラに初対面の挨拶を済ませ、
イリアはアリスの方へ視線を移した。
瞬間、俺の直感がアリスに危機が迫ることを訴え、俺は即座に反応して
念話で繋がっているアリスに指示をだした。
『アリス、一旦、人化を解除して俺の手元に戻れ! 早く!!』
『ん? 分かったぞ、主よ』
そう言って、金髪灼眼の幼女アリスは掻き消え、鞘に納まった黄金刀が
手元に飛んできたので、パシッと受け取めた。
「ふむふむ、その子が報告にあった剣 妖 精、
黄金剣のアリスか。イリアのいつもの発作が出る前にアリスを
避難させたのは流石ですね、シオン」
「むぅ、人を危ない人みたいに言わないでよケイ。私は正常よ」
「はぁ、先ほどのアリスを見つめていたときの貴女を撮ったスクショを見ても
同じことが言える?」
「うう…。兄さんからもなんか言ってよ」
「すまんが、俺はこの件に関してイリアを弁護できない」
「そんな、私に味方はいないのか……」
ケイの言葉に反論して、俺を味方にしようとしたみたいだが、すまない。
あの”獲物を見つけた猛獣の様な目”でアリスを見る姿を見せられたら、
俺は擁護できない。
イリアがorzの体勢をとった。
「なにを仰る白猫ちゃん! 味方ならここにいるぞぅ! とうッ!!」
再び復活したケレシスが無駄に洗練された無駄のないきりこみ回転を交えた
跳躍をして、イリアの傍に着地した。
そして、おもむろに屈んでイリアの手をとった。
「同志イリアよ。我々は危ない人ではない、ただ、可愛いものが好きなんだ!
可愛いは正義! 可愛いは無てぎっ」
大仰なポーズを決めていた所へ団員達の投げたボールが殺到し、
三度ケレシスはその場に沈んだ。
ビーチバレーをやっていた面子がぞろぞろとこちらに移動してきている。
試合結果は18VS20で女性陣の勝利だったようだ。
「やれやれ、話が進まないから、アリスは一先ず刀状態で話を進めるぞ。
イリアは剣の状態のときは見たことがあるだろう?」
「もしかして、メデューサ起源種討伐のときにドロップした黄金の剣のこと?
なんで刀になっているの?」
「ああ、エティオピアで怪獣退治したときに吸収した魔力で剣 妖 精として覚醒したんだ。
そのあと度々使用して魔力を吸収して順調に成長し、【形態変化】を覚えて、
制限付きながらいろいろな武器に変化できるようになったんだ。
だが、アリスの真価はそこじゃない。
アリス、お前のステータスをイリアとケイに伝えていいか?」
『我は主の判断に任せるぞ』
本人(?)の許可が下りたので、2人とケレシスに最近撮った黄金刀のステータスの一部を撮ったS Sのを送信した。
「マジかよ……これチート武器ってレベルじゃねぇ、完全にバグじゃねぇか!」
普段とは打って変わったケレシスの声と表情。
イリアとケイの表情も強張っている。
武器名:剣妖精 アリス 黄金刀(形態変更残り:3)
武器ランク:EX
保有能力:神 殺 し 魔 獣 殺 し
蟲 殺 し 亜 人 殺 し
魔 物 殺 し
魔力侵奪 魔力吸収 魔力変換 魔力解放
武器破壊 防具破壊 設置物破壊 障壁破壊 結界破壊
障壁展開 結界展開 自己研鑽 形態変化 剣妖精
通常、武器は能力を追加できても、慎重に最上級鍛冶クラスのブラックスミスが
神経を擦り減らしてやっと成功、それも運が良くて3つまで。
能力追加に大幅な補正が掛かる精霊憑きの武器でも多くて6つまで。
それなのに黄金剣はその3~6倍以上の能力を保有し、
いづれも特定種族に致命傷を与えたり、戦闘を有利に進める破壊系、
自分のみならず複数パーティを護る結界展開。
そして、自己研鑽と剣妖精。俺の見立てではまだ増加するだろう。
今のところ何処まで伸びるか分からない。引く手数多の超強力武器である。
「たしかにアリスは報告にあったとおり、絶対にアレス神域の連中に渡してはいけませんね」
「そうね。この娘は戦争狂のアレス神域に取られたらどの神域も一方的に蹂躙されるわね。兄さんはどうお考えなのですか?」
「俺はたしかにアリスの能力は類を見ないと思うが、
それだけガイア神域を護っている魔物が手強いのではないかと考えている。
黄金剣のレベルに匹敵、もしくは近い武器を多数用意しなければ、
俺達が敗北する可能性が高いのではないか?」
「なるほど、その可能性もあるか、そうなると騎士団の方でアテナ神域のダンジョンを探し回る必要がありそうだね……おや?」
ケレシスが高ランク武器の探索を提案していると、近くで結界が破壊される音が響いた。
ポセイドン神域にある大神殿付近の結界だから簡単に破れない代物なのだが、強引に突破されたようだ。
最も、ポセイドン神域は神官たちの権力が強いくせに魔術関連のレベルは低く、実際はアレス神域に次ぐ筋力重視だから、
結界の強さはあまり期待できないんだよなと考えていると、水面に影が差し、
直後に巨大な水柱をあげ、巨体が姿を現した。
俺はすぐに【看破】で敵のステータスを確認する。
名称はギガオクトープス……んん? これってつまり、
「「「タコ??」」」
イリア、ケイ、ケレシスの声が重なって言葉通り、目の前に現れたのは
8本足の巨大なタコであった。
「そういえば、こっちに来てからまだタコって食べたことなかったのよね」
「たしかに」
「うんうん」
ケレシスの言葉にケイとイリアが反応する。
俺もポセイドン神域の料理を何回か食べたが未だにお目にかかっていない。
ではここはヘンリーたちに頑張ってもらうとしようと思い、視線を向けたが、
ビーチバレーをやっていたヘンリー達の一団はタコの吐いた先制の墨で真っ黒になっていた。
ペータとパルドは某大佐の如く、目がッ!目がッ!と悶絶している。
ちなみに、アンとソフィはぎりぎりで回避に成功していたようだが、
サラはヘンリーとクオル同様被弾。ケレシスの部下たちも避けれなかったらしい。
「ねえねえ、兄さん、久しぶりに殺りましょう? いいでしょ、ケイ?」
「そうですね。デスクワークばかりだと体が鈍りますからたまには動かさなければなりませんね」
「あらあら、それじゃ、ワタシとケイ女史で援 護するから、
しおんと白猫ちゃんはサクサク片付けちゃって。
勿論、倒した後はたこ焼きにしましょう……ジュルルル」
「しょうがない。さっさと片付けるか」
墨まみれのヘンリーたちにはもれなく暗闇のバッドステータスがついていたため、
使い物になりそうにないので、俺はイリアたちの提案を承諾した。
イリアと久しぶりに一緒に戦うのは嬉しくはあるが、ここには休むためにきたんだよなと嘆息する。
「さあ、いざ尋常に勝負!!」
そう声を上げつつ、練者の腕輪のメニューコマンドで装備を変えたイリアは
愛用の聖剣をもって、レーザーの如く墨を吐くギガオクトープスに向かって
ジグザグ軌道で接近する。
無事なソフィたちはヘンリー達を退避させたので、心置きなく……この景観を壊さないよう、
俺は黄金刀の能力【結界展開】で一帯を保護した。
ごっそりMPをもっていかれたのでハマナポーションで回復するのを忘れない。
俺は再び漆黒の召喚覇王の聖衣を纏い、
ペガサスを”憑依”して、ペガサスの飛行能力で空中から接近する。
触腕の攻撃範囲に入ってからギガオクトープスは俺を叩き落そうと波状、連携と次々に攻撃してくるが、特殊固有スキル【第 七 感】によって回避補正が掛かっているので、4回攻撃を難なくかわす。
残りの4回はイリアにむかうがイリアはサブでセイントを入れているので、
同じく【第 七 感】が発動して全部回避している。
ちなみにイリアが装備している鎧は[処女座の白 金 聖 衣]といって、
名前どおり黄道12星座の処女座を模った聖衣の1つで、
これは最高難易度のクエストの攻略と特定条件を満たして、
初めてもらえるもので、この世界に2つとないレアアイテムである。
俺の召喚覇王の聖衣同様、装着中は徐々にMPを消費し続けるデメリットがあるが、
全ステータスに補正が掛かるうえ、聖衣の装着は【第 七 感】の発動条件でもあるのだ。
ちなみに双子座の仮面を装備していれば例外的に発動条件を満たせるので、
MPを徐々に消費する聖衣の装着は確実に相手を仕留めるときなど
以外は装着しないようにしている。
イリアは回避と共に反撃しているが、的確にダメージを与えているが……。
「【自動回復】が厄介だな」
斬った傍から回復されるので、徒労感が強い。
このままでは堂々巡りになるから、なにを召喚しようかと思案し始めると、
「【真名解放】! 【聖 剣 抜 刀】!!」
イリアがギガオクトープスの巨大な触腕4本を一気に切断した。
イリアが【真名解放】を使うということはどうやら遊びはここまでのようだ。
「やれ」
俺が短くそう告げると残った触腕の付け根にダークナイトが出現し、
触腕を容赦なく切り落とした。
俺は続けて左掌に通常の召喚陣を作成し、右掌に召喚スキル【セフィロトの召喚陣】を作成。そして、左手を手前に重ねて二つの召喚陣を合成、展開して、
トドメを刺すべく氷結の女帝を召聘した。
『【極小細雪氷晶】!!』
足を削がれたギガオクトープスは【極小細雪氷晶】で氷漬けになった。
イリアとダークナイトが切り落としたタコ足はその場でここまでの旅で集めた
魔物肉とともに調理され、美味しくいただいた。
氷漬けにした本体は研究都市セーメンに送って養殖研究に使ってもらうことにした。
後日、この旅の主目的だったポセイドンとクオルたちの親子対面が果たされたのだが、
ポセイドンの正妻、海の女神アムピトリテがポセイドンを連れて”降臨”した。
ポセイドンの神子への”憑依”での対面になると思っていただけに、
予想外の展開だった。
女神アムピトリテはクオルの礼儀正しい態度にご満悦で、
実は手元に置きたいと思っていたそうだが、クオルがこちらに残ることを
強く希望したのでクオルの意向を汲んでくれた。
ペガサスはゼウスの雷を運ぶ仕事の件もあり、現状維持。
黄金の剣に関してはポセイドンが口を挟む間もなく、
アムピトリテ俺に一任すると言われてしまった。
肝心の海皇ポセイドンはクオルたちを自分の子供として認めるが、
自己責任で自由に生きろと言って、今回の対面をしめた。
ともあれ、無事ポセイドン神域での目的を果たせた。厄介ごとがあったけど、
もうちょっとゆっくりしてから俺達はカリュクスに戻ることにした。
御一読ありがとうございました。




