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第19話 突入準備! 精霊木女神と猫妖精!!

迷  宮(ラビリンス)


 地中海、クレタ島にあるミノス王の宮殿といわれるクノッソス宮殿が迷宮然とした構造をしていたこと、牛をモチーフにした双  斧(ラブリュス)の飾りが宮殿内の随所にあったことなどから、ギリシア神話のミノタウロス伝説が生まれ、【迷  宮(ラビリンス)】という言葉ができたと言われている。


 ゲームだったときのZ F O(ゾディフロ)のときにもミノタウロス伝説を下地にして造られたクレタ国の迷  宮(ラビリンス)はプレイヤー間では有名であり、ギリシア神話に忠実に建築家のダイダロスがミノス王に依頼されて造ったとされていて、ご丁寧にダイダロスとイカロス親子は神話通りに口封じのため、迷  宮(ラビリンス)に閉じ込められて迷宮内を彷徨っている。


 ZFOがゲームだったときの迷  宮(ラビリンス)はポセイドン神域の1、2位を争う屈指の狩場であると同時に、踏破難易度もZFOダンジョン内で上位にくい込む難しさを秘めているダンジョンであった。


 ダンジョン解禁当初はあまりの難易度に安全に攻略する方法を廃神レベルのプレイヤーたちが試行錯誤を繰り返し、幾つかの方法をなんとか打ちたて、攻略サイトで比較的安全な方法が紹介され、稼げるがリスクも高い方法は玄人間で共有されて狩場として利用できるようになった。


 狩場利用できるようになったとはいえ、出現(ポップ)する魔物は危険な魔物も多く、どういう訳かミノタウロスの様々なバリエーション、下 級(レッサー)ミノタウロスや肌が黒いグレイタウロスなどが出現するのだ。初級から中級のプレイヤーたちは比較的安全な入り口付近で協力している光景が日常茶飯事だった。


 期間限定のイベントダンジョンとなっていた時期もあったが、結局の所、ダンジョンボスだろう純粋な”ミノタウロス”は遂に姿を見せることなく、ミノタウロスがこのダンジョンでどうやって増えたやバリエーションが発生した理由などの謎を残したまま、ZFOの世界が現実化した。今では狩場として利用する冒険者の姿はない。




 ZFOゲーム時代は召喚獣の育成スポットの1つとして、俺は迷  宮(ラビリンス)に引きこもっていた時期もあり、慣れているといえば慣れてはいるが、現実化してからは初めて(・・・)なので、俺は慎重に進むつもりだが、リリィたちが捕まっていることもあって、気持ち早めに進むことにした。

助けに行って遭難したというのは笑い話にもならないからな……。


「ん!?」


「? どうしたんだ?? 兄貴?」


迷  宮(ラビリンス)に入ってすぐ襲ってきた違和感に俺は足を止め、

非戦闘時に使用できる魔術を確認し、違和感の正体に辿りつき、背筋に冷たい汗が流れた。


「ヘンリー、クオル、アン。

いつものダンジョンと違って緊 急 脱 出(エバック)が封じられているから気をつけろ」


「へ?」


「……本当だ。緊 急 脱 出(エバック)様のアイテムが反応しませんね」


「旦那様、どうするの?」


ヘンリーは間の抜けた返事を返し、クオルは脱出アイテムを確認し、アンは俺に対応を尋ねてきた。ゲームのときになかった緊 急 脱 出(エバック)封じ。


 その理由を調べるため、俺は精霊木女神(ドリアード)を召喚した。


精霊木女神(ドリアード)

緑色の髪を持つ美少女の姿をした精霊木の神霊であり、女神。直接的な戦闘能力は高くはないが、生命の象徴である樹木を司り、大気中の魔力(マナ)の流れや大地の中の|魔力の流れである龍脈を探し出したり、限度はあるが魔力(マナ)の流れを操ることができる】


(お呼びですか? ご主人様)


鼓膜を通した声ではなく、直接、脳に澄んだ声が響きわたった。

それに反応してアンが驚いていた。

ヘンリーとクオル2人の表情に全く変化がないので、どうやら俺とダークエルフの血をひくアンには聞こえているようだ。


「ああ、この辺一帯の魔力(マナ)の流れがどこ(・・)に向かっているか教えてくれないか?」


(畏まりました。少々お待ちください……確認しました。

大気中及びこの辺一帯の龍脈は全て迷宮の最深部へ向かっています。

火を熾すなどの魔術には影響がありませんが、転移系魔術は龍脈と大気中の

魔力(マナ)を利用するため大きな影響がでます)


俺の問いかけに答え、淡い緑色の光に包まれ、それが治まった後に回答してくれた。


「転移魔術を使用した場合はどうなる?」


(迷宮内に意図的に造られた最寄の龍脈の穴、龍穴に転移させられると思います)


淡々と答えてくれるドリアードの言葉に俺は顔をしかめる。


「なんて言われたんだ兄貴?」


ドリアードの声が聞こえないヘンリーが俺にドリアードの答えを訊いてきた。

他の2人も気になるようだ。


「こちらが意図した場所ではなく、迷宮内にむこうあつらえた場所に強制転移させられるらしい。おそらく、この方法でリリィ達は迷宮内に転送されたのだろう」


 捕らえた神官から拷も……尋問担当の召喚獣が聞き出した迷宮の情報を確認したところ、生贄の転送方法として、使っている一方通行の方法らしい。


 リリィたちと合流するなら転移術を使って龍穴に出た方が確かに早い。

だが、自分達が何処にいるか分からない状況はリスクが高い。


「ドリアード、魔力(マナ)の流れで人、魔物の位置を把握することは可能か?」


俺は再びドリアードに問う。俺は探索系スキル【探 知(サーチ)】を持っているが、【探 知(サーチ)】では大雑把な情報、対象の種族と彼我距離、攻撃態勢に入っているかなどは分かるものの、間に分厚い障害物がないなどの条件があり、今回の様な間に幾層もの壁が重なる迷宮では視界不良によって、利用効率の悪化とスキルスロットを1つ埋めてしまうデメリットがあるため、他の代替手段がないか常々模索していたのだ。


 蛇足だが、これまで訪れたダンジョンの壁の厚さは【探 知(サーチ)】を問題なく貫通したが、ここ、迷  宮(ラビリンス)の壁は厚く、残念だが【探 知(サーチ)】が効かなかった。


(……範囲に限りがありますが、壁の影響を受けることなく位置の把握は可能です)


俺の意図に気づいてドリアードが満足のいく答えを返してくれたので、ドリアードの送還は迷  宮(ラビリンス)を出るまで行わないことが決定した。


 【セイント】にクラスチェンジしてから順調に経験値を集め、上位クラスへのレベルアップの道を順調に進んでまだ先は長いが【サモンマスター】へ着実に近づいている。また、限界と思っていた召喚獣の召喚可能枠が増加して、大型~超大型1種類、中型4種類、小型10種類になった。


 とはいえ、召喚師の極みまではまだまだ遠く、先は長い。

迷宮(ここ)の様な狩場に篭ってレベルアップできればいいのだが、生憎今回は時間がない上、変質して緊 急 脱 出(エバック)ができないも問題だった。


 不意にこのダンジョンの宝箱が手付かずの可能性があることに思い至った。

自称有能な連中は緊 急 脱 出(エバック)ができない危険性を無視して、

迷  宮(ラビリンス)の魔物の餌食になっていることだろう。


 俺が目覚めるまでかなりの時間が経っているが、ドリアードに確認した比較的出入り口に近い安全なこのエリアですら人の気配が全くないとのことから、本当に有能な連中も手を出していないのだろう。


 現実化してから宝箱の中身が補充されることが稀であることから、

危険なダンジョンである迷  宮(ラビリンス)の有用なアイテムたちを

ハイエナの如くやってくる輩に易々と渡すことに抵抗が出てきた。


 そこで俺は以前から考えていた手段を試すべく、召喚陣を展開してある召喚獣を召喚した。


「よばれて、飛び出て、にゃんにゃかにゃーん!」


辺りに煙幕を放ち、貴族服に身を包み、長靴を履いた黒猫が空中できりもみ回転して、着地。

『仏血義理』、『俺、参上!』と書かれたプラカードを懐から取り出して両手に持っていた。


「お久しぶりですにゃ隊長。隊長のたいちょう、たいちょうぶですかにゃ?」


召喚した猫妖精(ケットシー)はプラカードをしまい、ビシっと敬礼してそう言ってきた。


「25点だな。」


「にゃんと!!」


ショックを受けてケットシーは尻尾をビンとたてた。

ヘンリー達からは駄洒落にはつっこまないのかという視線が送られている気がするが、気のせいかもしれないので放置。


「演出として煙幕はありだが、放つタイミングが早く、かつジャンプするタイミングが悪かった。煙のなかを飛び出してくるようになれば良かったが、周囲に煙が充満して見物人も煙に包まれていたから裏目にでている」


「ふむふむ、にゃるほどにゃるほど、……次の機会に活かしますにゃ。

それで隊長、我輩のお仕事はなんですかにゃ?」


律儀にメモりつつ、用件を尋ねてくるケットシー。


「お前にダークナイトとホーリーナイトを1体ずつ預けるから、

この迷宮内を探索してマッピングと共に、宝箱の回収を頼む。

戦闘は極力避け、マッピングを優先して進んでくれ」


「アイアイサーにゃ。隊長たちはどうにゃさるおつもりで?」


「俺達は転移魔術で龍穴へ転移して、リリィたちとの合流を急ぐ」


言いつつダークナイトとホーリーナイトを召喚した俺を見て、

ケットシーが一瞬驚きで目を見開き、すぐに何事もなかったかの様に

すっとその目を細めた。


「了解しましたにゃ隊長。早速いきますにゃ。御武運を」


「ああ、お前も気をつけろよ。今回の報酬は好物のマタタビ酒の30年ものだ」


「ッ! おおおおお! 絶対任務を完遂しますにゃ!! 

ご期待以上の戦果を挙げてみせますにゃ!

あねさん(ドリアードのこと)隊長をお願いしますにゃああああぁぁぁぁ」


そう言って、猫妖精はドップラー効果を出しながら、

黒と白の護衛を引き連れて迷宮を駆け出していった。


猫妖精(ケットシー)

二足歩行をする猫の妖精。知能は高く、複数言語を話すことも可能。

王制社会を形成しているのが伺える言動をしている。戦闘能力に関しても、

個体差はあるが総じて高く、探索なども得意。容量無限の魔法の鞄を持っている】


「さて、俺達も行くが準備はいいか?」


そう言って、遠ざかっていったケットシーたちの背中からアンたちの方を向くと、アンがヘンリーたちに手にしたメモを読み上げ、時に書き足していた。

同じくヘンリーたちもメモ帳片手にアンの発言を要所でメモしているようだ。


「何しているんだ?」


「旦那様に教えてもらったことでヘンリー達と意見交換していたところです」


「兄貴に教えてもらってなかったことが結構あってびっくりだぜ」


「参考になることが沢山あります」


そういえば、ヘンリーとは数回、クオルを連れてダンジョンに潜ったことってなかったことに思い当たった。アンに至ってはカリュクスで簡単な構造のダンジョンには一緒に潜ったが、迷宮クラスは初めてであったことを思い出した。


(ご主人様。念のため、基本事項を確認されたほうがいいと思います)


「そうだな。今回はケットシーたちにマッピングをお願いしたけれど、

マッピングの重要性も説明しとくか」


 そして、俺は幾つかのダンジョン攻略の注意点などをアン達に教え、

準備を整えた俺達はドリアードの転移魔術で龍穴へ転移した。


 




御一読ありがとうございました。

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