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第5話 苦戦必至! 怪獣ケートスの脅威!!

しばらく不定期更新になります。

「ちょッ、ちょッ待てぃ」


俺はその光景、ケートスへの対策ばかり考えていたので、

予想の外に置いていた事態に大いに慌てるはめになり、

大急ぎで練者の腕輪のアイテムボックスから、

非常時用に入れている大きめの毛布を取り出した。


 そして、視線を彼女から逸らし、召喚しているシルフたちを使って眠ったように動かない

生贄として大岩に繋がれている小柄で一糸まとわぬ(・・・・・・)彼女の体に

毛布をまとわせた。


 そういえば、伝承の一部では服を着てないまっぱの状態で繋がれているのもあったなと、

遅ればせながら思い出し、自分の迂闊うかつさを呪った。


 不可抗力で日光を反射している綺麗な褐色の肌とか、

150cm位の身長に不釣合いな見事な大きさの胸とか、その先端の桃色部分など、

不可抗力で目に入ったが、俺は強引に意識の外に追い出した。


 ここはまだ警戒を怠っていい場所と状況ではないからだ。


 俺は護衛のためにダークナイトを2体召喚して警戒する。


ZFO( こ )の世界での召喚において、魔力が多ければ、

個体別の召喚に制限がないのかと問われれば、答えはノーだ。


 ダークナイトを召喚して、ケルベロスを召喚して、フェンリルを召喚する

ということは勿論可能だが、さらにフレスヴェルグというのは召喚魔術を極める

一歩手前の俺でも不可能だ。


 アザトースは流石に例外というか規格外だが、

どうやら、同時に召喚できるのは大型召喚獣〜超大型召喚獣は1種類まで、

ケルベロスクラスの中型召喚獣は3種類まで、

ダークナイトクラスの(普通の人から見ればダークナイトも大きい部類にはいるかもしれないが)

小型召喚獣は5種類までといった法則がある。


 そこにさらに希少性(レア度)といった個別の召喚可能枠が存在するが、

今は割愛しよう。異変に気付いたのか、目の前の少女が目を覚ましたからだ。


「ん……貴方あなたは誰?」


陽の光を綺麗に反射する長い銀の髪を風に揺らしながら、

目を覚ました女の子は青い瞳を俺に向けて誰何すいかした。


「俺は<ぐきゅるるるぅぅ>……」


俺が名乗ろうとした瞬間、不意に目の前のややしたの部分から、音が鳴った。


 俺はシリアスさんが裸足で全力で逃げ出すのを感じつつ、

こめかみに冷や汗と苦笑いを浮かべざるを得なかった。


「……ごめんなさい」


目の前の女の子は顔を真っ赤にして俯いてしまった。


「俺はシオン・スレイヤ・ヴァイザード。召喚士の冒険者だ。

ここにある大きな岩を目印に仲間と合流するために来たのだが、

君は?」


俺は強引に自己紹介の流れに戻した。


「……アンは、私はアンドロメダ。エティオピア王国の王女です。

シオン様、ご配慮ありがとうございました」


「ご配慮?」


「……この毛布のことです……アンの、私の身体……見られましたよね?」


「……ああ、すまん。ところで、こんなところで何をやっているんだ?」


自分の身体に巻かれている毛布を赤くなった顔で見ながら、

尋ねてきた王女に俺は短く肯定し、俺はおおよその事情は知っているが、

確認のつもりで、敢えてアンドロメダ王女に尋ねた。


「アンは、私は…ポセイドン様の、怪獣ケートスの怒りを静める生贄いけにえとしてここにいます……」


一瞬悲しそうな瞳をして目の前の王女は答えた。


「『私』と言い辛かったら無理に直さなくていい、

それは自分で生贄になると言い出したのか?」


「……はい」


「ふむ……まあ、その鎖に繋がれた恰好かっこうは見ていて気分が悪いから鎖を断ち斬るよ」


俺は王女にそう告げると愛刀天叢雲(あまのむらくも)でスキル『居合い』を

2回使ってアンドロメダ王女を岩に繋ぎ止めていた鎖を難なく断ち切った。


「え?」


「さて、食事にしようか」


困惑する王女に俺はそう言って、アイテムボックスからテーブルとテーブルチェアを

2つ出してやや強引に座らせて、

リリィが作ってくれたサンドイッチとオレンジジュースを2人分取り出し、

1人分を王女の前に置いて、もう1人分から1つを手に取り、よく味わって食べた。


「うん、美味い。ささ、どうぞ」


「……なぜ?」


「ん?」


「なぜ、アンに食事を施すのですか?」


「空腹だとろくな考えが浮かばないし、イライラしてまともな判断ができないから、

俺がする質問にきちんと答えてもらうために腹を満たしてもらおうかと」


俺の言葉を訝しく思い、俺が出した食事を王女は警戒していたが、

空腹には勝てなかったようで最終的に俺が出した食事を全て平らげていた。


「それで、質問てなに?」


「アンドロメダ王女は怪獣が倒された後はどうするつもりで?」


「…考えてない。アンは生贄。貴方はあの怪獣を倒すつもりでいるの?」


「ああ、仲間と協力して倒すつもりだ」


「倒すの無理。これまでも多くの冒険者が挑んでやられた」


「怪獣のことはとりあえずおいていい、アンドロメダ、君は生贄から解放されたら、

どうしたいのか、生き永らえたならなにをしたいのかを俺は知りたい」


「……」


「……やれやれ、今はどうやら、時間切れみたいだ。倒した後にまた聞くから、

それまで考えておいてくれ」


アンドロメダの怪獣ケートス討伐後について話あっていたかったが、

テティスとディーネからケートスが接近している連絡が入ったので、

俺はアイテムボックスにテーブルとチェアをしまった。


 ちなみに、俺は会話中にスキル『看破リード』でアンドロメダのステータスを確認していた。

予想通りというべきか、戦力には考えない方がいいレベルであったが、

熟練度倍加と経験値倍加の両スキルの効果をもつ称号、『天才』もちで、

回復魔術の素養があるのもわかった。

 このことはとりあえず頭の片隅においておく。


<こちらシオン。生贄の解放には成功したが、目標が接近中。間もなく交戦を開始する。

そちらの現在位置は?>


<まもなく馬車は崖下に到着します。現在、ヘンリーとクオルが先行して崖を登っています。

あたしたちの到着にはあと1時間程度かかると思います>


<ああ、リリィたちは風の精霊に、ソフィとサラはソフィが召喚したフレスヴェルグに

ここまで運んでもらうと時間が節約できると思うぞ>


<ッ! 分かりました。その方法でいきますので少々お待ち下さい>


ソフィとのシルフを介した通信が終わるとほぼ同時に海に水柱が立って、

巨大な怪物がその凶悪な姿を現した。


 その怪獣、ケートスの姿はくじらイルカの様な大きくふくれた胴体に

獰猛どうもうな牙をもつ犬の頭部をもち、下半身が尾びれが扇形で二つに割れている魚だった。


 犬の頭部をもつからてっきり鳴き声も犬のものかと思ったが、

特撮ものにでてくる怪獣のもと全く変わらなくて、不思議と期待を裏切られたような気分に

なってしまった。


 ケートスは俺の姿をその瞳に映すと、尾びれをこちらに振り下ろしてきた。


「いきなりか」


巨体故にその攻撃はわかりやすかったが、その攻撃範囲は十分に脅威であったので、

俺はアンドロメダ王女を俗に言うお姫様だっこの形で抱きかかえ、

尾びれの攻撃範囲から退避した。


 圧倒的な質量が数瞬前まで俺たちがいた場所に激しい破壊音とともに落ち、

落下地点の岩石が大きく削れた。


 俺は待機させていたダークナイトたちに振り下ろされた尾びれと胴を攻撃するよう指示をだした。

 そして、油断なく『看破リード』を発動してケートスを視る。


 怪獣の名が付くだけあり、HPと攻撃力、防御力が際立って高い。

スキルに毒無効があるので持久戦は無理。『狂暴化』があるから、

追い詰めたら攻撃力が更に上がって危険極まりない存在になる。


 更に、頭、胴体、尾びれが別々にHP表示されている。

これは別部位扱いということなのだろう。


 そして、名称のあとに起源種(オリジナル)が付いていた。

メデューサ起源種(オリジナル)の首でしか倒せないなら、

俺たちは詰んでいる。

 なぜなら、既にメデューサの首(勝 利 の 鍵)はアテナ様に渡しているからだ。


 最悪、一時撤退を考えなければならないなと4プラン目を追加して、

目の前の戦闘に専念することにした。


 ダークナイトたちはその手に持った漆黒の大剣を振り下ろして攻撃した。

鋼鉄の鎧ですら軽く両断する一撃たちだが、何故かケートスには効果が薄かったようで、

舞散るはずのケートスの体液は1滴も辺りを汚していなかった。


「お〜い、兄貴!」


「シオン兄さん、大丈夫ですか?」


俺が状況の不可思議さに頭を悩ませているとヘンリーとクオルが到着した。

その間にケートスは尾びれを海中に戻し、火の出るような勢いでこちらを睨んでいた。


 俺はアンドロメダをおろして、駆けつけた2人と合流し、

2体のダークナイトを近くまで戻した。


「兄貴、この人が?」


「ああ、アンドロメダ王女だ」


ヘンリーの言葉に俺が答えると、不意に頭上に影が差した。


「まずい! 二人ともこの影から大きく離れろ!!」


俺は大声で2人に指示をとばし、再度アンドロメダを抱きかかえて、落ちてくる影から大きく離れ、

念のためホーリーナイトを召喚し、俺たちを護らせ、俺はアンドロメダをかばった。


 周囲に先程とは比べ物にならない轟音が響き、岩塊が辺りに散った。

ダークナイトたちに襲い来る岩塊を破壊させつつ、

舞い上がった土煙のなか、ボディプレスを仕掛けて横たわって、

隙だらけなケートスへ向かって再び攻撃指示を出したが、やはり攻撃が効かない。

というよりも、体の表面を滑っている様に見えた。


「おりゃああああああっ! ってうおぉ」


「はぁっ! え?」


ケートスのボディプレスと岩塊の攻撃を避けたヘンリーとクオルが

土煙を物ともせず、気合一閃と、共に各々の大剣と槍で強力な攻撃を繰り出すも、

直後に驚嘆の声を上げて、攻撃を外したあと、

その場からまた大きく跳躍して離脱していた。


「どうした2人とも?」


「兄貴、こいつの表面ヌメヌメして、俺の剣が滑って攻撃が当らない」


「僕の槍も同じで攻撃がらされてしまします」


なるほど、うなぎのような粘膜ねんまくおおわれているのか。

冒険者たちの攻撃が全く効かなくて全滅したのもうなずける。


「うおおおおっっと」


「くっ!」


俺たちが会話をしているとケートスはその巨体で暴れて、海中に戻っていった。

ヘンリーとクオルは防御と回避に成功したようだ。


 あとには大きく穿うがたれたあとが残り、

しかも、ケートスの動きは巨体に似合わず、俊敏しゅんびんでダメージが全くないのがわかった。


「シオン様、2人とも大丈夫ですか?」


そこにリリィたちが到着した。


 さて、必要な情報と人員が集まったことだし、第2ラウンド開始といきますか。

御一読ありがとうございました。


次話の更新、進捗に関しては今後も活動報告で連絡します。

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