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第4話 悪事千里! 嵐の前の騒がしさ!!

<という訳で、エティオピア王国の現状は怪獣と王の暴政で正に内憂外患と

言った状態だ>


<それで、兄さんはどうなさるおつもりですか?>


冒険者ギルドから戻り、皆と夕食をとった後、

俺はキングサイズのベッドがある部屋で『双 魚 の 鏡(ピスケス スペクルム)』を使い、サンク王国にいるイリアと通話している。


 『双 魚 の 鏡(ピスケス スペクルム)』は鏡に通話相手の顔が映るテレビ電話機能をもつ稀有な魔導具だ。


 練者の腕輪保有者同士のメールのやりとりはあれども、

携帯やスマホがないこの世界ではリアルタイムで通話できる希少な魔導具で、

俺は音声通話だけでも遠隔地とできるものができないか時間があるときに研究している。


 この鏡は2枚で1組で、メデューサ起源種(オリジナル)が棲息していた

廃神殿の破壊の依頼の報酬として、アテナ様から貰った物だ。


 討伐に協力してくれたがサンク王国に帰らなければならないイリアに

いつでも連絡が取れるように片方を渡したのだ。


 ちなみに現在、同室のリリィとソフィの2人はこの宿『ニョルズル』の大浴場へ入浴へ行っている。


 貿易の活発化による利用客を見越して新しく設置して、

設置当初は好評らしいのだが、怪獣の影響で客足が途絶えて、経営側としては頭が痛いらしい。


<怪獣には関わらないで大神殿に行きたいところだけど、

関わらなかったら、それはそれでなんか厄介ごとに巻き込まれる予感がして不安でならない>


<その根拠はなんですか?>


<なんか俺がギリシャ神話のペルセウスのイベントをなぞる様に消化していっているから>


<なるほど。たしかに兄さんはアテナ様にアイギスとハルパーなどの

メデューサ殺しの武器を借りて、メデューサ起源種(オリジナル)を倒して、

ペガサスを従えてますものね>


そう。ギリシャ神話において、メデューサ殺しの英雄ペルセウスが

こなすイベントを俺は只今望んでいないのに順調に消化しているのだ。


 この世界にいた英 雄(・・ペルセウス)はアテナ様に不逞ふていを働こうとして、断罪されて冥府行きになった。

女性をしかも、処女神アテナ様を襲おうとしたのだから、

当然の報いであるし、同情の余地はない。

冥府行きだけってぬるくね? という意見がアテネ神域統治者一同と俺の仲間たちの総意であった。


<こうなると怪獣退治もしないといけないかもなあ。となると、アンドロメダ王女を助けないといけないのか……>


<そうなりますね。このままアンドロメダ王女が生贄にされたら助けがこなくて、怪獣の餌食ですからね>


<ううむ……、やっぱり見殺しにはできないか>


<そうですね。兄さんが血も涙もない冷血漢ならば素通りされるでしょうね。

生贄と出したという情報がまだ出てないようですので、

まだ、そうなると決まったことではありませんが、

状況的にアンドロメダ王女を救えるのは兄さんだけでしょうから、

お助けになるのがよろしいでしょうね……そのあと、アンドロメダ王女を

どうなさるおつもりですか?>


話しがアンドロメダ王女の救出後の対応に及び、

なんか鏡に映っているイリアの笑顔が怖い。全然目が笑ってない。


<本人の意思を尊重するよ。

ギリシャ神話ではペルセウスは強奪したみたいな感じで

アンドロメダ王女を国に拉致したみたいだから、

残りたいというならそれでいい。

とはいっても、集めた情報から考えると、

この国にアンドロメダ王女は残ってもいいことはないと思うんだけれどもね>

<では本人が国を出たいと言えばどうされます?>


<武器と魔術の適正を見て、適正のある身を守る手段と実力をつけさせて、

冒険者としての道を提示する。それ位しか俺にできることないかな>


<そうですね。それが妥当な線ですかと

|《(これ以上のライバル増加は、わかっていたことですが、

遠恋の私には圧倒的に望ましくないですね。

近々、なにか手を打たねばないませんね)》


<あとはケフェウス王が無茶な要求してこなけれ…っ!>


会話中に突然大きな爆発音、まるで打ち上げ花火があがった様な炸裂音が聞こえた。


 俺はすぐに部屋の窓から無詠唱で召喚したシルフたちに爆発音がした所が

何処で、何があったかを調べに行かせた。


<兄さん、今の爆発音は?>


<今、シルフに確認に行かせているが、なにかを打ち上げたみたいだ>


「「「ご主人様、どうやら王宮でカシオペア王妃が縛り上げられて

魔導具で天空へ打ち上げられたようです」」」


「ありがとう、はい。褒美のネクタルドロップ」


「「「ありがとうございます」」」


俺はアイテムボックスからネクタルドロップを取り出し、

シルフたちに渡して、送還した。


<……城の警備が想像以上に薄いな。シルフがすんなり行って、帰ってきたぞ>


<……そうですね。余程、王に人望がないのでしょうか?

これでは間者が入り放題ですね>


<全くだな。それで、結果は聞いた通り、カシオペア王妃がさっき打ち上げられたな>


<ええ、ケフェウス王はカシオペア王妃を処刑しましたね>


<ああ、そうだな。国を衰退させた元凶だから王妃といえども。

処罰は免れないよな。どうやら、この国をはやめに出た方が良さそうだな>


<そうですね。念のため、早朝から怪獣が出ると思しき場所に

アンドロメダ王女がいないか斥候役を派遣されてくださいね。

助けるのが間に合わなくてというのも後味が悪いですから。

……では、そろそろ時間ですね。今日はこの辺で、おやすみなさい兄さん>


<ああ、斥候の件はシルフに頼んでおく。おやすみイリア>


俺は通話を終え、『双 魚 の 鏡(ピスケス スペクルム)』をアイテムボックスにしまった。

丁度、しまい終えたタイミングで扉がノックされ、リリィたちが帰ってきた。


「シオン様、詳細不明ですが王宮でなにかあったようですね。

下の食堂が騒がしくなっていました」


「ああ、シルフたちに調べさせたら、

どうやらカシオペア王妃が魔導具で打ち上げられて処刑されたらしい」


「処刑ですか?」


リリィの報告に俺は先程シルフたちに調べさせた内容を伝えたら、

ソフィが王妃が処刑? と疑問を口にした。


「ああ、今回の怪獣を呼び寄せた責任を取らせた形なんだろうな。

それよりも、明日は地図を手にいれて怪獣討伐の準備ができ次第、

ここを発つぞ」」


「理由をお聞かせ願えますか?」


俺の予定変更にリリィが理由を少し考え込んだ表情で尋ねてきた。


「ああ、王妃を処刑したところで怪獣がいなくなるとは考えづらい。

となれば、ここの王は生贄でも差し出して怪獣のご機嫌をとろうとする

だろうからな」」


「そうですね。私が知る限り、ここの王はシオン様がお考えになさった通りの行動にでると思います」


そう言って、リリィは納得してくれた。」


「怪獣は討伐するのですか?」


「依頼は受けないで討伐して素材と魔石を回収しようと考えている。

討伐部位を持ってここの冒険者ギルドに行ったら、

ここの王に報告がいく。それで、王に絡まれるのは避けたい」


ソフィの問いかけに俺が答えていると、


「この神域の地図でしたら、詳細な最新版を既に入手しております。

……こちらです」


リリィがこの神域の地図とエティオピア王国の地図をベッドの上に広げてくれた。


 既に手に入れてくれていたか。 しかも、怪獣の襲撃ポイントも分かりやすく書き込んである。

流石、リリィだと感心しつつ、地図を見るとご丁寧に被害が徐々に

王城がある海岸に近寄っているのが分かる。


 被害規模の大きさから推測したら、あと2日で王城に到達しそうだ。


「シオン様? どうかされましたか?」


地図を見つめて、黙り込んだ俺を心配してリリィが話しかけてきた。


「大丈夫だ。これから、シルフを偵察兼監視役として派遣しておく。

生贄がだされるなら、阻止すべきだろうな」


「マスター」


「ん? なんだソフィ?」


「人助けなのはわかりますが、どうして、怪獣を倒す気になられたのですか?」


「ああ、どうも今回の怪獣は別の適任者が倒すはずだったんだが、

そいつが馬鹿やった所為で冥府行きになって、俺にお鉢が回ってきたようなんだ」


「もしかして、ペルセウスですか? マスター?」


「ああ、その通りだ」


ソフィは呆れた顔をしていた。


「あの方の所為で私たちは慌しく動かねばならないのですね」


笑顔だけれども、こめかみに青筋が浮かんでいるリリィが怖い。


「ところで、シオン様。熟練の冒険者でも海にいる怪獣にてこずっている

らしいのですが、なにか良策でもあるのですか?」


怒りを静めたリリィが心配そうに俺に尋ねてきた。


「ああ、その件に関しては、俺に考えがあるから大丈夫だ。

明日みんな集まってから説明する。それじゃあ、俺はこれから汗を流してくるな」


「はい、いってらっしゃいませ」


「あたしはみんなに明日発つことを伝えてきますね」


俺が話しを終えて、浴場に向かうと告げると、

リリィは地図をしまいつつ、送りだし、ソフィは皆に今話したことを

伝えるために部屋を後にした。





 翌早朝、女将のマリナにチェックアウトの件を伝え、

支払った料金はこちらの都合で引き払うことになったからそのままでいいと伝えると、


「そいつはすまないね。折角だから、いただいた料金分の弁当を人数分用意するから、それを食べとくれ」


と言われて、大容量の弁当を渡された。アイテムボックスがなかったら困る量なのだが、マリナが笑顔で渡してくれたので俺は大人しく受け取ってアイテムボックスにしまった。




「ご主人様、こちらです」


俺は先導しているシルフにペガサスに乗ってついていっている。

陸から行けなくはないが、空を飛んだ方が速いからだ。


 現状、俺1人で先行している。

理由は単純で皆へ説明する前に偵察に出していたシルフから連絡が入ったからだ。


 どうやら、生贄の女性がエティオピア王国兵によって、崖に鎖で繋がれたらしい。

 ついでに王国兵たちは生贄の女性によからぬことを仕出かそうとしたらしいので、シルフに撃退させた。


 俺は怪獣ケートスの奇襲を警戒するためにケートスが出てくる海に慣れた斥候役を放つことにした。


 左掌に通常の召喚陣を作成し、右掌に召喚スキル【セフィロトの召喚陣】を作成。左手を手前に重ねて二つの召喚陣を合成、展開して、

覚えたばかりの召喚獣を召聘(しょうはい)する。


「シオンさん。なんでしょうか?」


「海中なら私たちに任せて」


俺はテティスとディーネを召聘(しょうはい)した。


「2人には怪獣ケートスが接近したら教えて欲しい」


「……分かりました」


「攻撃しろとは言わないから安心しろ。同じポセイドンの眷族で争わせることはしない」


「それを聞いて安心しました」


俺の言葉を聞いてテティスの表情は不安げなものから

安心したものに変わった。


「ところで、ポセイドンはまだエティオピアへの怒りがおさまらない様子だったか?」


「いえ、ポセイドン様は今は別の国におかんむりで、

この国のことはもう忘れてますね」


ディーネの疲れた表情とテティスの苦笑いから2人の苦労を伺い、

俺は改めて警戒をお願いした。


[こちらシオン。ペガサスで崖に到着して今登っている。そっちは今どの辺を移動中だ?]


[はい。マスター。現在あたしたちは門を出たところです。

出る前に言われたとおり神殿に確認しましたが、

生贄を出す旨の神託は出ていないそうです。

そちらにはあと1時間後くらいで到着しますね]


[分かった。先に生贄を解放しておく]


[了解です。怪獣がでても無茶はしないでくださいね]


[分かっている。待っているから早めに来てくれよ]


[はい。では]


俺はソフィの召喚したシルフを1体連絡役として、連れて崖を登りながら、

ソフィと連絡をとった。


 ソフィたちには準備が出来次第、ソフィのシルフの案内で崖に来るよう指示している。

召喚者が同じ3体1組のシルフはお互いの位置を把握し合っているので、

合流するのに役立つのである。


「生贄の女の人はあの大きな岩に鎖で繋がれています」


「そうか、周囲に隠れられそうなところはあるか?」


俺の問いに偵察に出していた俺の召喚したシルフは首を横に振った。


「身を隠す場所はありませんので、戦わないなら、

ひたすらこの崖を降りて逃げるのが安全だと思います」


「なるほど、ありがとう」


そう言って俺は崖の頂上にある大岩に辿り着いた。

御一読ありがとうございました。

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